1月19日 初めて会社に出勤したその日には(松下幸之助)
初めて会社に出勤したその日には、式典があったり、社長や幹部の訓示があったりするでしょう。また会社の内容や勤務についての説明もあると思います。それを聞いて家に帰ると、ご両親や家族がたいてい「会社の感じはどうだった」と尋ねるでしょう。そのときに、どう報告するかがきわめて大切だと思うのです。「あんまり感心しない会社だ」などと言えば、ご両親は非常に心配します。「まだよく分からない」と言っても、やはり心配が残るでしょう。「詳しいことは分からないけれども、きょう、社長や幹部の人からいろいろ話を聞いてみると、自分はなんとなくいい会社のように思う。満足して働くことができそうだ。だからここで、大いに仕事をしてみたい」と力強い言葉で報告したら、ご両親も「それは結構だ。大いにやりなさい」と喜びもし、安心もすると思います。そういう報告ができるかどうか、それが成功へのまず第一の関門です。
何でもないことのようですが、そういうことが言えない人は、私は成功しにくいと思います。“そんなことは言わなくても、両親はわかっている”などと決して考えてはいけません。自分で本心から、つまらない会社に入ったと思っているのであればともかく、大きく予想に反したことがなければ“これは安心だ。しっかりやろう”という心意気をまず言葉に出して、第一声として両親に言うことです。私はそういう心がまえから、すべてが生まれてくると思うのです。
『社員心得帳』松下幸之助
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