1月18日 そこにガンジーの、(斎藤茂太)

 そこにガンジーの、一生を平和運動に捧げた足跡が記されている。「立派な広告だなあ」と感心しつつ読んだ。Yという養蜂場の広告である。そこにはこんな一節もあった。「善きことはカタツムリの速度で動く」が語られる部分である。


 彼の運動を象徴したのは“塩の行進”。

 イギリス人に専売されていた塩を自分たちで作らんと、

 アーシュラムから海岸までの385キロを24日間かけてゆっくりと歩く。

「善きことは、カタツムリの速度で動く」

 それは数百万人の奇跡の大運動となった。


 いいじゃないですか。「善きことは、カタツムリの速度で動く」。……これこそが何かをなさんとするときにとても重要な真理なのではないのか。なにごとにも、この心がまえが大切なのではなかろうか。


 急いではいけない。早く結果が出ることばかり望んではいけない。ゆっくりゆっくりでも力が集まり、努力が積み重ねられれば、それは必ず大きな力となって良い結果を生みだす。これは、人が何か身につけよう、何か成し遂げようとするとき、もっとも重要なアドバイスではないか。自分自身に対してはもちろん、周りの人やあるいはわが子に対してもつねに語りかけてあげなければならない言葉。


「早く、早く!」ではなく、「ゆっくり、ゆっくり」がよい結果をもたらすのだ。


『「ゆっくり力」ですべてがうまくいく』斎藤茂太

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