寄り道なんか怖くない

買い物へ行くとき、寄り道をするようになりました。

まばゆい春光を公園の方に歩いて行きます。


昔は、寄り道なんて考えたこともありませんでした。

子どもの頃、『赤ずきん』を読んで、

「赤ずきんちゃんってバカみたい」

と思ったものでした。


おばあちゃんのお見舞いに行くはずが、

狼の口車に乗って、途中で寄り道したせいで

おばあちゃんは丸呑みされ、

自分も食われてしまうんですからね。


わたしだったら、寄り道しない。

目的があったら、それにまっしぐら。

それが、ほんとうのお使いというものだ。


固く信じて、二十歳まで生きてきました。

それが、なぜか夫と巡り会い、

やろうと思わなかった専業主婦。

いまや30年以上やってます。

なぜそうなのかな、と考えてみました。


病気をして、まともな仕事が出来ないせいだろうか。

それとも、こっちの方がラクだからか。


人生、まっすぐな道なんてないよ、という本もあります。

寄り道のおかげで、世界を変えるゲームを作れたよって。


今、わたしは公園へとしばしば、足を向けています。

公園では、幼稚園児たちの姿があったり、

横着なハトがすりよってきたり。


スマホゲーム(ピクミン・ブルーム)を立ち上げると、

そこにあるのは、大きな梅の花。

わたしが咲かせたんじゃない。

だれかが花を植えて、開花させたんです。


公園に行くたびに、違う花が咲いている。

ある時は、ただのふつーの白いマーガレット。

ある時は、グロくて赤いポインセチア。

ある時は、赤いつばき……

日によって、咲いている花が違います。

ユーザーが植えている花が違うから。

それが見たくて、寄り道しています。


そして、バーチャル道にあふれる

お花畑を見比べて、

近所の人たちが、一生懸命、

バーチャル花を植えている姿を想像します。

お疲れさま。

みんなで花を植えるのって、達成感あるよね。


わたしも寄り道人生、いろいろあった。

世界を変えることは出来なかったけれど

新しい希望がある。

寄り道なんか、怖くないよ。

今日も、あれこれチャレンジだ。

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