番外編 僕が師匠?
第1話 お久しぶりです!
「ふんふんふーん」
自然と揺れてしまう体。操るほうきのスピードはいつもよりも少し速め。パタパタと風になびくローブの音は、まるで優しい音楽のように聞こえます。
「いやー。まさか、こんなに早く仕事が終わるなんて。今日はいい日だなー」
町外れでの仕事が片付き、今は帰宅の真っ最中。本当は夕方くらいまでかかる予定でしたが、偶然が重なってお昼前に仕事を終えることができました。こういう時って、ついついテンションが上がっちゃいますよね。ふふふのふ。
ちなみに今、師匠はお留守番中です。仕事が朝早くでしたし、僕一人でもできる内容でしたから。
「師匠、さすがに起きてるよね。まさかこの時間まで寝てるなんてことは…………うん。ないと信じよう」
薄緑色の平原を飛び続け、見えてきたのは『迷いの森』。僕と師匠が暮らす場所。僕は、ほうきのスピードをさらに上げようと、手に魔力を込めます。
その時でした。
「おーい! 弟子さーん!」
不意に聞こえた大きな声。思わずそちらを向いた僕の目に映ったのは、平原の上で僕に手を振る一人の少女。年は、僕よりも下くらい。軽くウェーブのかかったブラウンヘアー。その体にまとうのは、ベージュ色のワンピース。
「あ。君、久しぶりだね」
僕は、ほうきを停止させ、彼女にヒラヒラと手を振ります。それを見た彼女は、嬉しそうに「お久しぶりです!」と元気よく口にしました。
彼女の正体。それは、町外れにある湖の一件で知り合いとなった少女でした。
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