第157話 魔女ちゃんの……恋人?
「えっと……ごめん。急に泥棒扱いなんてしちゃって。普段、この家に魔女ちゃん以外の人がいることなんてなかったから、つい」
そう言って、ペコペコと頭を下げる彼女。そういえば、彼女がこんなにも謝っている姿を私は初めて見る。何という貴重な瞬間。写真か何かに残しておきたいところだ。
「い、いえ。大丈夫ですよ。ちょっと驚いただけなので」
「……君って優しいよね。普通、怒るところだと思うけど」
思わず呆れてしまう私。だが、彼は、「そうですかね?」と首を傾げるだけ。まあ、そういうところが彼の長所なんだろうけど……。
「と、ところでさ……この男の子って……」
「……ん?」
「魔女ちゃんの……恋人?」
「……はい!?」
私の口から飛び出したのは、これ以上ないというほど高いトーンの声だった。
からかい好きの彼女のことだ。ここで上手い返しをしなければ、これから先、ずっとからかわれるに違いない。だが、彼がいる本当の理由を説明してしまえば、それこそからかいの種になる可能性が高い。となると、もっと他にいい理由を……。
ちらりと彼の方に視線を向ける。彼は、「こ……恋……恋人……ふええ」と呟きながら、顔を真っ赤にしていた。頼ることなんてできそうにない。初対面の私にいろいろと指南していたあの図太さは一体どこに消えてしまったのやら。
「ど、どうなの? ま、魔女ちゃん」
「えっと……」
「…………」
じっと私を見つめる彼女。
私は、必死に頭を回転させる。彼女が納得する自然な理由。かつ、からかわれる可能性が低い理由。それは……それは……それは……。
「か、彼は…………私の弟子だよ」
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