第74話 バリン!
次の瞬間、師匠の杖の先が青白く光り、魔力の塊が現れました。その大きさは、旅人さんが放っていたものの二倍はあるように思えます。
それを見た旅人さんは、素早く杖を振るいました。すると、旅人さんの目の前に、透き通った薄緑色の壁が現れました。おそらく、師匠の攻撃に備えたのでしょう。
「…………」
無言のまま、師匠は、魔力の塊を旅人さんに向けて放ちました。ものすごいスピードで飛んでいく魔力の塊。それは、あっという間に旅人さんが作った壁まで到達し……。
バリン!
「……え!」
壁を貫通した魔力の塊。それは、勢いそのままに、旅人さんにぶつかりました。
「きゃあああああ!」
吹き飛ばされる旅人さん。その悲鳴が、辺り一面に響き渡ります。
「旅人さん! 大丈夫ですか!?」
「うう……」
地面に横たわる旅人さん。僕の言葉に、うめき声だけが返ってきます。大丈夫でないことは明白でした。
「……弟子君、とりあえず、家に運んで治療しようか」
「りょ、了解です!」
こうして、師匠と旅人さんとの勝負は決着を迎えました。結果は、師匠の勝利。いや、圧勝と言ってもいいでしょう。
この日、僕は、はっきりと理解しました。師匠が、想像以上にとんでもない力を持っている魔女であることを。そして、僕が、師匠と対等の存在になるなんて、夢のまた夢であることを。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます