第2話

 目を覚ますと僕はベッドに縛りつけられていた。

「な!?なんで?」

 目の前には薫が見下ろしている。

「先輩が悪いんですよ」

 何を言っているのか。

「わたしがラインのアカウントを渡してから二週間も連絡してくれなかったじゃないですか。わたしがいつから先輩を見ていたかわかりますか。入学してからすぐ目につきました。それに先輩は有名人じゃないですか。人気者ですし。わたしがどれだけ不安だったか考えたことがありますか。まあ、それはもういいんです。先輩はわたしの物になったんですから。だから、これから1つになりましょう」

 薫はペットボトルに入った黒い液体を口に含み、俺に口付けをする。舌で無理矢理俺の口を開く。そして含んだ液体を流し込んできた。苦い。薬品臭い臭いが鼻を抜けた。そして、かなり強いアルコールの味がした。

「何だ、これは!?」

「アドンコです。ガーナの薬膳酒。あっちも元気にする効能もありますよ」

 あっちってどっち?わからない。何もわからない。

「つまり屍です」

 毒を盛られたか。思い返せばペットボトルのアドンコは始めから開けられていた。自分でもあれを飲んだということだ。薫は体調不良を偽っていたのか。

 思考しているうちに薫の左手が脇に差し込んできた。空いた右手は僕の臀部を弄る。両手を結ばれた僕はもがく。しかし、もがけばもがくほど薫の右手は奥に左手は絡まっていく。身体を密着させてくる薫。逃げれば逃げるほどより深くよりきつく絡まってくる。

 僕は抵抗するのを諦めた。ただ既に右手の指は奥深く前立腺まで到達している。左手は腹を擦る。

「あぅっ!」

「先輩かわいい……我慢できない……」

 薫は僕を離した。そして、右脚が肩に掛かり左脚が首を強く締めて股を僕の顔へと押し付けてきた。

 まるで虎に噛みつかれたが如く両脚で締め上げられる。このままでは殺される。股が口をふさぎ呼吸すらおぼつかない。

 雌虎に喰い殺されようとして怯える僕の意思とは無関係に、下半身の頭頂部はそそり立ちビクビクと震えていた。

 そして、僕の意識は暗闇の中へと墜ちていった。

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