段階を踏んだ告白のためのショートショート
あきかん
第1話
年の暮れ。クリスマスも過ぎた頃。冬休みが始まる前にアカウントを交換してからやっと決心がつきラインを送った。
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薫、久し振り。
稲庭先輩お久しぶりです。ライン送ってもらえて嬉しいです。
こちらこそ。何か時間がかかってごめん。
本当ですよ。
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薫と知り合ったのは大学の講義の時だった。彼女が後から声をかけてきたのだ。
「稲庭先輩ですよね。あの、わたし、上代薫って言います。その、ライン交換してくれませんか。」
と声をかけられ圧倒された。そこでラインを交換したのだが、一向に返事が来ない。クリスマスになっても来なかった。
業を煮やした僕はラインを送った。思った以上の好反応が返ってきた。話の流れから初詣を一緒に行く事になった。
気温が一気に落ちた年末。薫は体調を崩してしまったらしい。薫にラインで連絡した時にそう返信がきた。このご時世である。帰省も出来ずに一人で過ごす薫をみかねて僕は世話をするため薫の家に来たのだ。
出迎えにきた薫は肩で呼吸をし顔はほのかに赤みがかっていた。
「気にせず寝てなよ」
と僕は言って買ってきたコンビニのフルーツとポカリを取り出した。薫をベッドに寝かしつけてフルーツを食べさせポカリのフタを開けて差し出した。薫はポカリを飲み終えると大人しく寝始めた。それから台所を借りてお粥を作り始めた。
1、2時間が経った頃、薫が目を覚ました。僕はお粥を温め直す。
「大丈夫?これでも食べて」
僕はお粥を薫のもとへ運ぶ。
「ありがとうございます」
と言って、薫はベッドから起き上がる。
「そのままでいいから」
スプーンですくったお粥をふーふーと冷まして薫の口へと運んだ。薫はあ~んと口を開ける。そこへスプーンを入れた。
僕は薫の額に乗せてあるタオルをとり、水で濡らし絞った。それをまた薫の額へと置く。
薫はすーと寝息をたて始めた。それを確認して僕はお茶を入れて飲んだ。少し疲れた気がする。眠気に従い僕は目を閉じた。
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