第12話 占い師

儂は何でも完璧に占いを当てる占い師さ。

今まで一度も私の占いは外れたことがない。

どんなことでも的中させちまうのさ!

競馬だの、競輪だの、何でも私にはお見通しさ!

当然、儂の名はかなり有名なもんに歳を重ねるにつれなっていったさ、、今日はそれのおかげでこのパーティーに来れたのさ!ここはとある占い好きの資産家のパーティー会場なのさ、、

ほれほれ見て見ろ、、ぞろぞろと儂の占いを受けにわんさか人が寄ってくる。

これ以上ない至福。そんなことを儂が思っていると一人の娘が私に話しかけてきおった。

「ねえ、おばあさんは何でも未来が分かっちゃうの?」

「ふーむ、、まあ、そう言われても間違いではないねぇ、、」

「じゃあさ!自分が死ぬとかも日も当てられるの?」

儂はそう言った娘の顔を思わず睨んだ。

なんて縁起でもないことを、そう思ったのじゃが言われてみれば確かにそうなのじゃろうか?

ここ数十年ありとあらゆる人を占っては来たのじゃが、自分自身の死ぬ日を当てることはしてこなかった。

パーティーが終わった後も、儂はその事を考え続けた。

試しに占ってみようと思い、占ってみると文字がテーブルの上の水晶玉から浮かんできおった。

その日は今日から数えて十年後じゃった。

十年後、儂は紅茶を飲みながらその日をただ過ごしておる。

儂は十年前に自らの死の日付を知った後、せめて後悔の内容に生きようと必死に頑張った。

おかげでこの日を何の不安もなく迎えられたのさ。

それにこの占いが当たっておれば、生涯一度も占いを外したことがないということになる。

そうなれば、これ以上ない幸福じゃ、、最後はどんな風に死ぬのだろうかのう、、

心臓麻痺じゃろうか?老衰じゃろうか、、

・・おかしい、もう深夜11時を回ったのに死ぬ気がしないのじゃが、、、

もし、このまま死なずに零時を回れば私の占いは外れることに、、

外れる?占いが?この数十年、一度も占いを外したことがない儂がか?

もう、時刻は11時55分じゃ。

本当に死ぬのか?外れれば儂の唯一の誇りが無くなってしまう。

儂は無意識に台所の果物ナイフを手に取った。

そして、自らの首にその刃を向けた。

このまま儂の首を斬れば占いは当たるじゃろう。

じゃが、これいいのじゃろうか?これで本当に儂の占いは当たったと言えるのじゃろうか?

どうなんじゃろう、どうなんじゃろう、、

(血飛沫の飛ぶ音)

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