第16話 ワープV5

アルファ惑星は宇宙すべての始まりの地と言われている。

宇宙というものが出来た発端「ビッグバン」の中心地で、

この惑星の誕生には宇宙ひもが関係していると言われている。


宇宙ひもは端を持たない無限の長さ、または時空の角度欠損によって360°以下の閉じたループ状の形状をしていると言われている。


この角度欠損、無限の長さ、光速に近い速度での運動エネルギーによって、今でも宇宙は広がり続けている。(これをダークエネルギーという)


このダークエネルギーの元を辿っていくとこの惑星にあたるというわけだ。

アルファ惑星には時空的欠陥や宇宙ひもの形跡が多数残っており、大地にとどまっていられる時間や場所等が限られている。

もしくは多数の場所で永遠の時間を過ごすことになる。


これほどの歪みがある場所というのはここにしかないのだ。

知り合いが行ったときにはガラクタの山があったそうだが、気付いたら無くなっていたり、見たこともない物質が並んでいたりしたそうだ。

結局何も持ち帰れずに無駄骨だったそうだ。

このガラクタを発見して持ち帰り解析したり売ったりすれば一攫千金かもしれないということだ。


こんなにワクワクする場所は他にはない。

宇宙の端に行くより、ワームホールを見に行くより、何よりもロマンチックで夢があるのだ。


ただ、惑星に行くためには普通の船で行くと数週間から数か月の時間がかかってしまう。

だが、この新しいワープドライブで行くと数時間で到着する。

粒子加速をダークエネルギーの波に合わせて乗せることが出来、その計算もアイに入力してもらった。


「ジャック、そろそろワープしますよ~」


ガタガタガタッッ!!


「動くな!この船の秘密を洗いざらい吐いてもらう!」


急な来客だ。こんな時に、、、初のワープV5を楽しませてくれよな、、、


「おっと、誰だか知らねぇが、秘密なんてないただの中古のちっちゃい船だぜ?

どうせ帝国か連邦のスパイだろ?今からワープするからどっか掴まっといた方が良いよ。あぶねぇからな。」


「黙れ!早くこの船の秘密をしゃべるんだ!この船に秘密が隠されていることは知ってるんだ!これを持ち帰って、俺は帝国のヒーローになるんだ!」


「あ、あー、無理だと思うぞ?見ての通りのオンボロ船を持ち帰ったところで高々数万になるだけだし、俺は別に賞金首でもなんでもないんだが、、、」


「うるさい!喋らないなら船中探させてもらうからな!」


「ん~、うるさいのか喋れなのかどっちなんだよ、、、

あ、そういえばこの船にどこから入ってきた?」


「は、倉庫の出入り口が開いてたからそっからだが、、、

ってそんなこと聞いて何になるんだよ。もしかして倉庫に秘密があるのか!?」


「あの~、話しているところ悪いんですけど、ワープのスタート場所に到着したので、ワープしてもよろしいでしょうか、、、」


「おう、チャーリーでかした!やってくれ!」


キュイーーーーーンッッ!!

ババババッバッ


「うわぁ~~~~~~!」

シューーー



「あ゛ー、まあ、最適化登録してなかったんだし自業自得だが、可哀そうなことしたな。それに、まあ、死んだわけじゃないけど、この船も事故物件に、、、はぁ、、、価値が下がっちまったじゃねぇか、、、」


「そ、そうですね~。粒子のまま宇宙に漂う第一号になっちゃいましたねぇ。AIに聞けば、もしかしたら戻す機械なんかも作れるのかもしれませんが。

あと三時間ほどで到着しますので、それまで適当に休んでいて良いですよ。」


つづく


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