第14話 バイクは生き物

旧式だが世界最速のワープドライブを積むことになったのだが、俺達よりも前に入庫していた船の修理が終わるまでは積替え作業が出来ず、作業が始まっても完成するまで時間がかかる。

せっかくなのでバイクでツーリングしようと思う。


今日は快晴で少し寒い程度。

オーバーヒートも気にせず、気ままに走れる良い季節だ。


リグーリアは造船も盛んだが、乗り物全般を設計したり製造したりするのに長けている星だ。

ツーリングにピッタリな道やリゾート地も多く点在していて、景色もきれいだ。

昔からスポーツカーやフラッグシップ級の船を建造していただけあって、道作りも上手く、なんとも走り屋を楽しませる峠道が多い。

本当に良い休日を過ごせそうだ。


数日前に調整をしたばかりだから、もちろんエンジンは一発始動!

暖機をしていると感じるこのエンジン音、排気の香り、振動、、、

キャブ車というのは生き物のようだ。

しっかりとメンテナンスをして、暖機して、走り出して、、、

ちゃんと構ってあげないと拗ねて、うんともすんとも言ってくれなくなる。


それから高回転まで回したり、長距離乗ってエンジン内の汚れを飛ばしてあげたり、、、


走っている時も調子を尋ねながらアクセル開度を調整して、徐々にオイルも回って、それから音が整ってきたら、それからは全開走行してみたり、ゆったりクルージングしたり、自由自在。


こうなってきたら峠道や海岸沿いの気持ち良い道に行こう。

アクセル全開でストレス発散。高回転で繋いでいきパワーバンドを外さずに走ることほど心が躍ることは無い。もう一日中でも乗っていたい。


初めての土地のツーリングは、心地よい風と景色を眺めて、その地その地の空気間や香りを感じていく。


そして、その土地の水や食べ物を身体に入れていくと、徐々にこの土地に馴染んでいく。

何度か行ったり数日いた町は方向音痴でもなんとなく道を覚える。


未知の場所でも、一度走れば勝手知ったる道、二度走ればよく走る道、三度も走れば友達みたいなものだ。


こういった感覚というのは四輪車や船では味わえない空気感、緊張感だ。


バイクは孤独の乗り物だという人がいるかもしれない。

だがそれは違う。

バイク、景色、空気、道、天気すべてを味方につけ走っているのだ。


こうして二輪の楽しさを味わっていると、時間がすぐに消えていく。

もっと乗っていたい。もっと一緒にいたい。

そう思っている間にその日の走行を終わらせると、

「飽きずにずっと乗り続けられる。」


つづく



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