第13話 約束
惑星リグーリア
[スペツィア造船所]
倉庫内
この見たこともない数百年前の小さなワープドライブ。
これを取り付けてもらうための工賃って普通のドライブ交換の工賃でよいのだろうか?
さすがに装着は初めてだろうし、AIを貸して装着方法なんかを学びながらワンオフで付けてもらうことになりそうだ。
さらに、元のドライブの廃棄費用も掛かるだろうし。
これは大仕事になる。
っていうか、その前に現代でも使えるものなのかアイに構造なんかの説明をしてもらいたい。
AI:このドライブは約500年前に製造されたドライブです。
現代の技術レベルでは到底実現しないワープV5まで加速できるものです。
現行のドライブではワープV4までが限界です。
エネルギー効率も、現行モデルの5/1~1/8程度まで抑えることが出来ます。
仕組みとしては宇宙船の速度を高速化するのではなく、外装を粒子の粒に分解しベアリング効果と気流の制御、抵抗軽減の効果を生み出す。
生物はV5の速度には対応できないため、人間も一度粒子に分解する。
そのため生物がナビシステムを操作することはできない。
ワープ時にはナビシステムが重要な役割を担い、計算や操縦をミスすれば二度と元の次元には戻ってこれない。
また、ここにあるドライブがオリジナルとなりコピーを製造していくため、
オリジナルに何らかの問題を抱えていた場合、コピーにも同じ問題を抱えたドライブになります。
さらに技術力的に、現代ではこのドライブの問題を解決し進化させていくことはかなり難しいと思われます。
~~~~~~~
長くなってきたので省略。
この後の詳しい説明は技術者でない自分では聞いていても意味が分からなかった。
費用問題は正直言うと一つだけ解決策が思いついている。
・AIを造船所のメカニックや技術者、工場長に貸し出し500年前の地球の技術を伝承してもらう。
・それを元に設計図を作りながら指導してもらう。
・ドライブ製造をAIに見守ってもらう。
自分としては信頼できる親友が工場長だし、悪用されないと信じたい。
が、AIから見るとどう映るのか。
アイにはかなり重労働をお願いすることにはなるが、許してくれるだろうか。
船の修理が終われば、地球に行ってAIの仲間を救出しに行きたい。
アイも心細いだろうから。
でも、我々人間には反乱分子とアイみたいな逃げ隠れたAIなのかを判断できない。
だから、地球に行ってもアイに仕事をしてもらわないといけないし。
だが、こんなところで弱気になっていてはいけない!
アイにも説明して、意見を聞いて、お願いして、そして工場長ルキノにも。
全員に説明しに行って、許可もらって書類作って、、、
それから一人でも反対する人がいたらやめる。
~数時間後~
「やったぜ~~~~~~~!!!」
さっき話していた内容で大幅な部分で了解してもらった。
話し合いによって変更された点は下記だ。
・代金は不要
・解明できていないことが多いため、いつでも連絡が取りあえるようにすること。
・ここにいる間は出来れば少し手伝ってほしい。
ということだ。
大切な技術を託すということになり、世界初のV5到達工場となるため、
これから警備や護衛なんかをつけないといけなくなる。
アイも仲間が生き残っているのかと気にしているようだし、
この工場も気に入っているようだ。
それに、ここの設備で大体の物は作ることが出来るようだ。
これから忙しくなるぞ~~~!
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