第6話 名店

ここは惑星TOCIの飲食店が並んでいる地区の何回層も下がった地下街。

といっても迷った末に辿り着いたところだが。


人通りの無いシャッター商店街なのに一軒だけ洋食屋が空いていた。

店の名前は無く、ただただ洋食店という看板と、メニュー表だけが出ている。


「いらっしゃいませ。お一人様ですか?そちらの席へどうぞ〜」


さて、洋食屋へ来たら普段なら鉄板焼きのハンバーグとか、コロッケ定食とか、そういった物を頼むが今回は違う。とても気になるメニューが、、、


その名も、、、



"リヨン風ハンバーグ"




今までミラノ風とか、中華風、トルコ風なら聞いたことはあるが、リヨン風とは、、、初めて聞いた。

しかも890Gと安いのに定食なので、ご飯、サラダ、それに食後のドリンクまで付いてくる。


ええと、ドリンクは、、、

どうやら50G足すとフロートにも出来るようだ。

じゃあ、洋食屋と来たらあれしかない。



「すみません。リヨン風ハンバーグ定食を一つお願いします。ドリンクはクリームソーダでお願いします。」


「は〜い。しばらくお待ち下さいね〜。」



楽しみだ。


特に食後のクリームソーダ。

古い喫茶店なんかでも基本的にクリームソーダを注文する。

メロンソーダの上にソフトクリームを載せているだけなのに、なぜここまでも人の心をワクワクさせるのだろうか?


メロンソーダとは言うものの、基本的にメロンは入っておらず、ただ緑色のソーダだ。

これを香料入りやメロン成分の入っているメロンソーダでクリームソーダを作っている所はわかっていない。メロン入りだと生臭くなってしまう。


氷多め、甘さ強めのメロンソーダに、サラッとしたあっさり目なソフトクリームをのせることにより、溶けたクリームとソーダの混ざりあったものが氷と触れ合い、シャリシャリのクリームソーダシャーベットが出来上がる。

そこをスプーンですくって食べるのが最高に美味しい。

これは作るのにかなりバランスを求められるため、実は難しいメニューなのだ。


語っているうちに料理が運ばれてきた。


「熱いのでお気をつけくださいね。クリームソーダの方は後ほどお持ちしますね。ではごゆっくりお召し上がりください。」



なんと!?定食にスープが付いていないと思ったら、こういうことだったのか!

陶器のカップにスープに浸ったハンバーグ。

これは美味そうだ。


いただきます。


最初にサラダを、、、

キャベツのせん切りの上に手作りであろうポテトサラダ。

最近は真空パックになった業務用のアイテムもあるというのに。

こういったところを手抜きしていないのは高評価だ。


次はご飯を一口。すぐさまリヨン風の部分であるスープを口に、、、

う、美味い!

沢山の野菜が溶け込んだブイヨンのスープに少しのデミグラス風味。そこに濃いミルクが一回しといった感じだ。


ハンバーグは焼いてあり、香ばしさが残りつつスープも滲みている。上にはフライドオニオンものっている。

パクッ

んん!口の中に広がる肉のジューシーさとスープの旨味成分!


さらにこの旨味が残っている間にご飯を!


これは箸が止まらない。

旨味の余韻が残った後のご飯、からのジューシーなハンバーグ、スープの旨味を吸ったニンジン、、、


無限ループである。


とりあえずハンバーグと野菜、ご飯半分を食べ終わって、ご飯半分とスープを残している。


残ったスープ部分にご飯を投入。

置いてある粉チーズと胡椒を少し振り掛けミルク分を足す。

これでスープリゾットが完成。

さっきと違って、少しパンチの効いた味になり、飽きることがない。

これもスプーンが止まらない旨さだ。


これこそあとを引く旨さと言うやつだ。

まだまだ食べていたいがもう食べ終わった。


つづく

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