朝露視点
第152話 6月29日 おかし凪
1時間前――美香ちゃんから落とされた爆弾。
『と、いうわけで美香とお兄ちゃんは義理の兄妹だったみたいです』
ついに、合法になってしまったと私は思う。
「どうしよう……どうしよう……」
と自室で頭を抱えながら私は呟く。
一昨日の美月ちゃんだけでも嫉妬やらなにやらで大変だったのに……。
そこに美香ちゃんも加わるなんて。
気持ちの整理が追いつかない。
あの後、「できれば美香も2人の中に入れて欲しい」とお願いしてきた。
まず言わせてほしい――美香ちゃんはずるい!とてもずるい!
だって、今まで助けられてきた私が嫌と言えるわけがない。
それをわかった上で美香ちゃんは私たちにお願いをしてきている。
さすが師匠――じゃなくて、とても卑怯だ。
もちろん、嫌だと思っているわけではない。
翔斗くんを想う人に嫌な人なんていないし、ましてはずっと翔斗くんに想いを寄せていた美香ちゃんなのだから。
だが、言わせてもらうと翔斗くんに取って美香ちゃんというのは本当に特別な存在で、私と美月ちゃんが彼女という立場になってやっと、妹の立場にある美香ちゃんに並べるというぐらいには特別な存在なのだ。
美香ちゃんのお願いに対して美月ちゃんが「もし嫌だと言ったら?」と質問。
美香ちゃんはなんて答えたと思いますか?
「それだと美香はお兄ちゃんと既成事実を作りにいきます」と言ったのだ。
なにそれ、既成事実?それはキスってこと?それとももっと……そ、そ、そんなこと絶対ダメ。
美月ちゃんならまだしも――いや、美月ちゃんもダメ。
あ〜この三日間で私の頭の中はグチャグチャ。
嫉妬したり、喜んだり、びっくりしたり、恐怖したりとこんな短期間でこんなに押し寄せるなんて本当に勘弁してほしい。
頭がおかしくなりそう。
最近美月ちゃんに、キャラ違くないとか言われるし。
もしかしたら既に頭がおかしくなっているのかもしれない。
まさしく、おかし凪〜なんちゃって!
……ふざけている場合じゃない。
「でも、実際なにがやばいって考えても思いつかないんだよね……只、なんかやばいって思っちゃってるだけで」
そう、だから私はわからなくなっていた。
痒いところがわからないけど痒いところはある時……的な?
なんか忘れ物したような気がするけど、忘れ物がそもそもわからない時……的な?
美香ちゃんがこれから私たちと同じ関係に加わるとしてやばいことは確実だが、やばいことの内容がわからない。
美香ちゃんが加わるとして、美香ちゃんが翔斗くんを襲えることが合法になるからやばいの?
それで焦ってるなら私が最初に襲っちゃえばいいだけの話。
襲える度胸あるのかな?てか、襲うってなに?それよりも美香ちゃんが家に帰ってもう1時間が経つ、既に襲ってるかもしれない……。
………………自分自身の考えがとてもしんどい。
あ〜しんどい凪〜。
こういう時はやっぱり話し合ったほうがいいのかも。
私がいくら考えても恋愛初心者の私じゃなにもわからない。
むしろ、1人だと余計なこと、変なことばかり考えて嫌になってくる。
これ以上1人で考えたら、ヘラるよ、ヘラるからね……。
ヘラるってなに?神様?凪わからんな〜い。
…………もうやめよう。
思考から逃げるように私はベットから起き上がる。
自分の部屋を出て、隣の美月ちゃんの部屋へといき、思いっきりドアを開けた。
「たのも〜」
「!……はぁ〜」
入って早々美月ちゃんからため息が飛んで来た。
なんか……最近美月ちゃんが私に冷たい件について。
小説を書いてみようかな?
タイトル――「最近一緒に住んでいる嫁が私に冷たい件について」
「まさかの同性で同棲だった?!」
「?……はぁ〜」
また、ため息つかれた……。
もう悲しい凪……。
「美月ちゃんは美香ちゃんのことどう思った?」
「え?美香ちゃん?別に翔くんのこと好きなんて今更じゃん」
「いや……そうなんだけどさ。美月ちゃんは美香ちゃんが私たちと同じ立場になることになんとも思わないの?」
「え、思わないよ?」
「え、なんで?」
「だってわたし、翔くんの彼女だもん」
やけに説得力がある――ような?ないような?言葉をかけられて私は首を傾げた。
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152話読んで頂きありがとうございます!
やっぱり凪ちゃん壊れてるよ。
どうにかしてください!
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