5章 6月29日〜
美香視点
第149話 6月29日 翔斗の誕生日?(美香)
※5章に入る前に間章を挟むと言っていましたが、5章に入ります。
その他の詳しい話や理由などはこの話の後書きに書きますが、間章にしようか迷っていた理由は多分本編を読めばわかると思いますのでよろしくお願いします!
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美香はお兄ちゃんとずっと一緒にいることを選んだ。
それは軽井沢へ旅行に行った時、決めたこと。
だから今日まで、異性としてお兄ちゃんのことを大好きだという気持ちは表に出すことはなかった。
でも、美香の中で気持ちは生きづけている。
この気持ちを伝える日は一生来ることはないのだろうなと美香は思っていた。
それがまさか、こんなことになるとは……。
――――
美香の個別デートの日。
朝食を作ろうと起きてリビングへ行くと両親が座っていた。
「あれ、おかえり2人共」
と美香は声をかける。
声をかけながらも美香は不思議に思った。
なぜ、帰ってくる時は先に連絡をしてくれていたのに今回はその連絡がなかったのだと。
それに、いつもより2人の顔が真剣そうに見える。
「ただいま美香」
「ごめんなさいね、連絡もせず帰ってきて」
「うんん、2人の家でもあるんだし帰ってくるのは普通でしょ」
「それより翔斗は?」
とお父さんが質問をしてきた。
多分まだ寝ていると思う。
今の時間は朝の6時――休みの日のお兄ちゃんは7時に起きるのが普通だ。
だから、1時間前に美香は起きて朝ごはんを作る。
これは美香の日課だった。
「まだ寝てると思うけど」
「そっか、俺たちもそんなに時間がある訳じゃないからちょっと起こしてきてもらえると助かるんだが、」
と申し訳なさそうにお父さんはお願いしてきた。
「わかった」
それだけ伝えて美香はお兄ちゃんの部屋へと向かう。
「お兄ちゃん、お兄ちゃん」
美香はお兄ちゃんの体を優しく揺する。
「ん……美香?……どうした」
お兄ちゃんって本当に寝起きいいよねって美香は思う。
美香だったらお兄ちゃんでも少しだけ不機嫌になる気がする。
「なんか、お父さんとお母さんが帰ってきてて」
「あ……え?そうなの?また急だね」
「うん。それで話があるからお兄ちゃんの事、起こしてきてって」
「あ、そうなの?珍しいね、起こしてまでの話って」
「美香もそれは思った。なんか大丈夫だよね?重い話だったりしないよね?」
美香は少しだけ心配になっていた。
ふとした時に家族の関係というものが終わる時というのはある。
美香にとって、その家族の関係が終わるというのは人生が終わることと引けを取らないレベルで大事。
だから今の雰囲気を感じて、心配でしょうがなかった。
「大丈夫だよ。あの2人が離婚なんて事はないから」
そう言って、パッとパシャマから部屋着に着替えたお兄ちゃんはリビングへと出ていく。
「おかえり2人とも。結構急な帰国だったんだね。行ってくれたらご飯でも作って待ってたのに」
とお兄ちゃんはいう。
「おはよう翔斗。そうだな、一本連絡は入れるべきだった」
「翔斗のご飯が食べれるのなら連絡入れるべきだったかもしれないわね……」
なんてことを言いながら、美香たちに座れと2人は促した。
久しぶりに家族4人が揃った。
ご飯はないが4人でテーブルを囲んでいる。
いつもは2人で座っているため広く感じているが、4人で座るとだいぶ狭い。
そんなことを思っていると、お父さんが口を開いた。
「まぁ、サプライズみたいな形で帰ってきちゃったのは悪かった。普通に連絡する暇がなかったというか、連絡する余裕がなかったというか……」
とお父さんが歯切れ悪そうにいう。
「それはいいよ。別に連絡されなきゃ帰ってきちゃいけないとかじゃないんだし。ここは2人の家でもあるんだからさ」
とお兄ちゃんはすぐさまフォローを入れる。
お兄ちゃんの意見に美香も賛成。
別にここは美香とお兄ちゃんの家じゃないんだから。
「そっか、ならもうそれは気にしない。ここからは本題なんだが、俺からでいいんだよな?」
「ええ、大丈夫よ」
「わかった」
何を確認したのかはわからないが、2人の中ではしっかり内容がわかっているようだった。
ふぅ〜と深呼吸をしてから、お父さんは口を開く。
「実はな、美香が高校生になったら伝えようと、お母さんと話していたことがあった」
とお父さんはいう。
「うん……」
恐る恐ると言った感じでお兄ちゃんは頷いた。
「実は、翔斗と美香、お前たち2人は本当の兄妹じゃないんだ」
「「え?」」
美香とお兄ちゃんの声が重なったと同時に、家の中は静寂に包まれた。
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149話読んで頂きありがとうございます!
まず、この話を本編にしようか、ifとしようかはずっと悩んできました。
結果が決まらず後回し、後回しにしていたらこの結果です、本当に申し訳ありません。
そして悩んだ結果、設定としては無理やり感はあるかも知れませんが本編でも幸せになってほしいためifではなくて5章として書くことを決めました。
暖かい目で見守ってもらえると嬉しいです。
というわけで、ある意味隠れたメインヒロインが本当にメインヒロインの仲間入りになるまで、の話となります。
改めてよろしくお願いします!
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