古巻視点
第132話 5月25日 体育祭、実行委員決め
凪の誕生日会から1週間程がすぎた5時間目――先生の一言から僕はあることを思い出した。
「今日は6月にある体育祭に向けて体育祭実行委員とこの時間が終わるまで各自が出る種目を決めてもらう」
そう、6月に体育祭が待っていることを思い出したのだ。
少しめんどくさいなと思っていると、スマホから振動が伝わってきた。
多分2人からだろう。
――――――
美月:いつかは来るだろうなと思って話しようかなって
思ってたのに、今日来るなんて!
翔くん私と一緒に実行員やろう!!
――――――
すぐ横にいるのだから声で言えばいいのにと思いながらもどうしようか考え始める僕。
もちろん凪が黙っているわけがなく、
――――――
凪:どうして美月ちゃんがやる必要あるんですか?一緒
にやったことがある私の方がふさわしいに決まっ
てるじゃないですか!
――――――
と言う文章と共に、マウントを取るようなスタンプが送られてきた。
また始まるのだろうな僕はそう直感する。
とりあえず返信するのをやめ、先生の話を聞きつつ僕はこの状況をどうするべきか考え始めた。
実際のところ実行委員をするのはめんどくさい。
やらなくていいのならやりたくないと思う。
だが、やりたくない理由として、あまり関わったことのない人と協力しなくてはいけないと言うことが理由の一つにあった。
もちろん、凪や美月であるなら嫌ではないし、むしろ進んでやりたいと思っている。
文化祭実行委員をやった時だってそうだ。
凪が一緒にやって欲しいと言ってくれたからやることになったのだ。
今回の体育祭実行委員も2人のどちらかとできるならやることはできる、しかし、2人のうちどちらかとしかできないこの状況は僕が望むものではなかった。
だから、2人には申し訳ないが、2人のうちどちらかとしかできないのであれば、僕は体育祭実行委員をやるつもりがない。
そう結論付け、未だにやり取りを続けている2人に返信しようと文字を打ち始めた時、先生からまた声がかけられた。
「あ、そうだ言い忘れていたが、今回の体育祭実行委員はこちらで作ったくじ引きで決めてもらう」
その発言と共に、クラス中から非難の声が殺到した。
凪と美月も先生に聞こえないよう、ブーブーと口を尖らせている。
「何と言われようと、今回はそうやって決めてくれと校長先生から頼まれてな……すまん。さぁ!どんどん引いてくれ。男女で別れているからな!」
先生の有無を言わせない言葉で諦めたのか、みんな前へ出て引いていく。
僕と凪、美月が並んでいるのは最後の方であった。
着々と順番が進んでいく中、男子も女子も一向に当たりが引かれない。
本当にこれはくじ引きなのだろうか。
もしかしたら、先生が誰かに買収されていて――とかはあるわけないけど、なんだか嫌な予感が漂っていた。
順番的にあと5人ほどで僕の番が回ってくる。
先程、凪と美月はくじを引き、見事ハズレを引いていた。
勢いそのまま僕もハズレを引きたいところ。
ついに僕の番が来た。
……当たるなよ。
…………絶対に当たるなよ。
そして、引いた時に僕は気がついた。
めっちゃ、フラグ立ててるじゃん……と。
背中から冷や汗を垂らしつつ、恐る恐るくじを開いた。
見事!!僕は「当たり」と書かれたくじを引いたのである。
やっぱり無闇やたらにフラグを立てるべきでは無いなと思いつつ僕は仕方なく先生へと報告をする。
「先生、僕のが当たりみたいです」
そう言った途端、思いも寄らぬところから声が上がった。
「え……」
その声を聞いて僕は先程までとは比べ物にならないくらいの冷や汗が噴き出てくるのがわかった。
その声は凪と美月以外に僕がよく知る声だったからである。
「あ……うそ」
「なんでそうなるかなー」
凪と美月に関しては誰が「当たり」を引いたのかわかったみたいでなんとも言えない顔をしている。
と言うことは大体僕の予想は当たっているだろう。
答え合わせも兼ねて、僕は「当たり」を引いたであろう女子の方を振り返る。
案の定、僕の予想はあっていた。
そこには、顔を引き継がせながら「当たり」と僕を交互に見て気まずそうにしている花の姿があったのだった。
そして、僕のことを見つつ花はポツリと呟いた。
「やっぱりフラグ経っちゃってたか……」
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132話読んで頂きありがとうございます!
今回から体育祭編が始まります!
投稿のムラはあると思いますがよろしくお願いします。
応援、コメントいつもありがとうございます!
またお待ちしております。
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