第116話 4月20日 凪の思案
「ほぅ……高橋くんが美月ちゃんを狙ってるですか……もしそうだとするなら、翔斗くんに接触した可能性は高くなりましたね」
美月ちゃんが話してくれた噂というのは、実は私も知っていました。
高橋くんは確か、かなり顔が良いとのこと。
そんな人が美月ちゃんを狙ったら一瞬でくっ付いちゃうよ……ってクラスの女子と男子が話して居ましたが、私からしたらだからどうしたのだろうと思うのです。
なぜ周りの人は顔ばかりを気にするのでしょうか。いくら顔が良くても、空気が読めない、性格が悪い、気遣いができない等でいくらでも宝の持ち腐れとなると思うんですけどね……。
それに、いくら高橋くんという人が美月ちゃんに言い寄ったとしても振り向くことはないと思います。
と言うか、そんな簡単に振り向いてもらっても困ります。
ここまで一緒に張り合って来ているんです。最後までやり切って欲しいものです!
まぁ、振り向いてくれたら、それこそ翔斗くんを独り占めできるので嬉しいんですけどねって心の中でダーク凪が仰っておりますがそれは無視しておきましょう。
「やっぱりそうだよね……」
美月ちゃん元気が無いですね。
翔斗くんがあんなに落ち込んでしまったのは自分のせいだとでも思っているのでしょう。
別に、美月ちゃんは悪いことしてないのに。
私は少しだけ翔斗くんに怒っています!怒凪です!
だって、高橋くんに何を言われたのかわかりませんが、もし高橋くんが関わっているなら美月ちゃん関連のこと。仮に、俺も好きなんだ的なこと言われたとしても美月ちゃんは翔斗くんのことを好きだと言っているんです。落ち込む必要なんてないじゃ無いですか。
逆に、「美月は俺の女だ」ぐらい言ってよって思うのです!
「美月ちゃんは悪くない。今回のことは」
「え?いや……でも、」
「でも、じゃ無い!考えてみて、高橋くんに何か言われて翔斗くんが落ち込んでいると言うなら、少なくとも高橋くんに美月ちゃんが取られるって思ったってことだよ?もしそれが私だったのなら、翔斗くんに対して怒ると思う。なんで私のこと信じられないのって。そもそもの話、直接話に来れない高橋くんなんて論外!」
最近、少し言葉遣いが悪くなっている気がします。反省凪です。そんなこと気にしている暇なんてありませんが。
「確かに……それ聞くとムカついて来たかも……でも、それだけじゃないと思うんだよね、私」
ん?それだけではない?
「どう言うこと??」
「いや、言いづらいんだけどね……私、翔くんと友達になるまで多分高橋くんの立場だったと思うんだよね。だからさ、もし高橋くんの噂が本当で恋敵に接触するのであれば、私は、宣戦布告するついでに相手を追い込むようなことを言う気がするんだよね……実際図書室の時そんな感じだったし」
なるほど……なんとなく美月ちゃんが言いたいことがわかりました。
「だから、二股しているのは私たちに失礼ではないかとか言ったかもしれないって感じかな??」
「そうそう!だからあそこまで落ち込んじゃったんじゃないかなって思って……」
ふふ、ふふふ、そうですか、そうですか、そうだとするなら高橋くんはやってしまいましたね。
高橋くんは翔斗くんのことをもっと知ってから声をかけるべきでした。
「え、凪ちゃんどうしたの??怖いよ?その笑顔……」
あ、いけないけない、ダーク凪が。
「それなら高橋くんには感謝しないといけないかもですね。翔斗くんが答えを出すのを早めたことになるんですから……」
「え……それって私か凪ちゃんどちらかを選ぶってことだよね??なんで感謝?」
「ふふ、さぁ〜どうでしょうね」
「なにそれ〜凪ちゃん最近腹黒くなってない?」
え〜私って腹黒凪なの??なんちゃって……
私が思うに、翔斗くんには四つ選択肢があると思っています。
どれを取ったとしても、翔斗くんは何かを背負わなければいけない。
いずれぶつかるであろう壁に少し早くぶつかっただけのこと。
これまでと変わらず私はアピールを続けようと思います!
正直に言うと、私の中にはこうなって欲しいと言う答えが存在します。
翔斗くんがそれを選ぶためには相当悩むことでしょう。
悩んでくれないといけないのです。悩んで悩んで悩みまくってもらいます!
ふふ、今の私は、the策士凪ちゃん!!可愛いでしょ!
「まぁ〜それはいいとして、そろそろ攻めようよ美月ちゃん!」
「良くわないけど…………攻める?と言いますと??」
こう言う美月ちゃんのノリがいいところ、私大好きです!
「ゴールデンウィーク、3人で旅行に行こう!!」
さて、翔斗くんに悩んでいる暇なんてありますか??
私たちからのアピールは止まりませんよ??
―――――――――
「ただいま……」
家でテレビを見ていると、玄関からお兄ちゃんの声が聞こえてきました。
あれ……早くない??帰ってくるの
そう思い玄関に行くと、明らかに元気が無いお兄ちゃんが……。
ふむふむ、これは何かあったな……私の直感がそう言っています。
「お帰りお兄ちゃん!」
「あ、うん。ちょっと疲れたから部屋で休むね」
お兄ちゃんはそのまま私に目もくれず部屋に入っていきました。
懐かしいなこの感じ。なんとなく、花さんに振られた時と被るものを感じましたが、凪さんや美月さんがお兄ちゃんをこうさせるとは思えません。
と、言うことでこんにちわ!こんばんわ!お久しぶり!美香です!
久しぶりに落ち込んでいるお兄ちゃんを見ました。
何があったかはわかりませんが、様子を見て話を聞こうと思います。
こう言うタイミングはアピールチャンスであり、好感度を上げるフィーバータイムなのです!
美香行っきまーーーす!
そ・の・前・に、作戦会議です!
今回のお兄ちゃんは落ち込んでいると言うよりかは、何かを考えなくてはいけないと言う感じでした。
となると、2人との関係について考えるって事かな??
あれ??思った以上に早いな……もう少しかかると思ったんだけどな。
なら、今回は元気よく行くよりも、寄り添う感じで行った方がいいな。
何があったかのを聞き出して、お兄ちゃんが望む道を理解し、その道に進むために誘導する。
その進む道が私だったのならって思うところもあるけど、美香は妹だからって、ダメダメ!!これは考えないと決めたの。
とりあえず、寄り添うやり方で決まりました!
いざ突入と行きますか。
コンコン
ノックして何も言わずに美香はお兄ちゃんの部屋に入ります。
ここで美香ポイント!
入っていい?と聞くのは良くないです!特に今回みたいに自分も相手のテンションに合わせて話しを聞こうとする時は。
いかに相手と会話せずに近くに行くかが重要なのです!
お兄ちゃんの部屋に入ると、お兄ちゃんはベットにうつ伏せの形で寝っ転がっていました。
ゆっくり歩いて行き、その横にベッドに腰掛けます。
よしここまでは、完璧!!
最後の仕上げに、
「お兄ちゃん、大丈夫??」
「ゆっくりでいいから何があったか教えて」
そう言って、美香は優しくお兄ちゃんの頭を撫でました!
では、次回、美香によるお兄ちゃんのための相談会を始めます!!と心で番宣しながら、お兄ちゃんが話すまで待つ体制に入りました。
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116話読んで頂きありがとうございます!
ご覧の通り、美香が次も出たがっているので次は美香視点からとなります!
応援、コメントいつもありがとうございます!
フォロー、レビューして頂けたら嬉しいです。
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