川谷&美香

第113話  4月6日 決まった答え

 どうしたらいいのだろうか……。


 まさかこんな早く翔斗と再会することになるとは。






 2年生となった私は、クラス替えにて2年B組になった。


 結局春休みが明け、学校が始まっても翔斗のことに関する答えは出ず、ずるずると来ていたのだが、そのバチが当たったとでも言うのか私は翔斗と同じクラスになってしまった。


 しかも、翔斗のことが好きな朝露さんと夜光さんも一緒に……。




 とりあえず私が出来ることは、翔斗と接触をしないと言うこと。


 これは両親と話をしてから私自身で決めたこと。答えが出るまではなにがあっても守ろうと決めたことだった。





 だと言うのに……どうしたんだろう……私。


 気にしないようにしてるのに、気にしたくないのに、楽しそうに話す夜光さんと翔斗のことを気にしてしまう。

 また、あの頃のように楽しく話したいと思ってしまう。




 …………私と一緒にいた時、翔斗はあんな楽しそうに話をしていたことがあったのだろうか。


 ……私は夜光さんのように心から楽しそうに翔斗と話すことができていたのだろうか。


 私が浮気なんかしないで翔斗だけを見ていたら、私たちもこうなっていたのだろうか。


 そんなの見ればわかる。私が何年付き合ったってあんな楽しそうな翔斗の顔は見ることはない。


 見れると言いたいところだけど、口が裂けても言えない。

 私には………………翔斗からあの笑顔を引き出す事なんてできない。




 自分の願う未来と現実があまりにもかけ離れていて、どうすることもできないと感じてしまう。


 私の歩く先が富士山であるかのように私が目指すものは険しい道のりなのだと思い知らされる。





 現実を受け止めようとしてもできない私に、更なる追い討ちがかかる。


「さっきから聞いていましたけど、どう言うつもりで翔斗くんの悪口を言っているのですか??」


 声の正体は朝露さん。話の内容は翔斗のことだった。


 なにが起こったのかはわからない、けど、話しかけられている男子がなにか翔斗のことを悪く言ったことだけは理解できた。


 同じクラスになったことがないから朝露さんが日頃どの様な人なのかはわからない。わからないけど、好きな人のためなら恥も忍ばず意見を言える人だと言うことはわかった。


 やはり、ここでも私は自分を比べてしまう。


 そもそもの話、朝露さんや夜光さんだから翔斗が男子に妬まれるのであって、私と付き合ってたら翔斗が男子に妬まれる事なんてない。


 その上で言えるのは、私は朝露さんみたいにはっきりと好きな人のため意見を言う事なんてできない。


 私は周りを気にして、聞かなかったことにするだろう。




 やっぱり翔斗とは、友達にすら戻ることができないのだろうと思った。


 もう諦めよう……。


 これからはただのクラスメイト。


 時間はかかるかもしれないけど、いつかは、翔斗がどちらかと2人と付き合えるように陰ながら応援できるようになれたら嬉しいと思う………………。










 そんなの嘘。


 いくら頭ではそう言い聞かせても、これっぽっちもそんな事思えなかった。


 翔斗と友達に戻りたい。もしできるなら、翔斗とまた特別な関係になりたい。


 クラスメイトなんて思えない。翔斗にだけスポットライトが当たっているかの様に、他は暗く、翔斗だけ明るく見えている。クラスメイトなんて思えるはずが無い。


 陰ながら応援なんてしたくない。私が浮気さえしなければしていなければ、今頃は私が翔斗と話していたのだ。




 私はやっぱり翔斗を諦めるなんてできない。


 付き合っていた時よりも、翔斗に対する想いは大きくなっていく。




 好き……翔斗、好きだよ……。




 だけど、同じくらい翔斗のことを傷つけたくないと思ってる。


 だからこそ、私に用意されている答えの中に、翔斗と友達以上に戻れるような答えなんて用意されていないことをまた、理解する。



 だが、実際を翔斗見て一つだけ答えが見つかった。


 翔斗に片思いをすると言うこと。


 これしかないと思った。


 もう…………この答えしか無いと思った。





 ――――――――――――

















「古巻さん、俺と付き合ってください」











 これで何回目なんだろう……。


 正直な話、あと3回告白されたら2桁に届くところまで来てしまっている。


 まずさぁ、学校始まって3日目にして告白って本当になんなの??


 美香の何を知って告白しているわけ?本当に怖すぎる。


 凪さんや美月さんから話を聞いたことはあったけど、本当に心の底からめんどくさすぎるよ……。


「あの……ごめんなさい。付き合えません」


 そう言って、美香はまた1人振ってしまった。


 罪な女だね〜美香って!!


 でもしょうがないじゃん。小さい時から好きな人がいるんだからさ。




 と、言うわけで美香の登場を待っていてくれた方も、お初と言う方もこんにちわ、そしてこんばんわ!


 古巻美香だよ〜!


 高校に入学したのは4月4日。入学したのはおめでとうだけど、ちょっと4のゾロ目はいい気分しないよね……。



 話が逸れちゃったけど、中学の時も告白されたことあったとは言え、流石に入学して3日目で告白されるのは美香も驚き。


 またお兄ちゃんに報告しなきゃいけない。あ、ここ学校だから呼び方は、翔斗先輩♡だった。

 報告する時に少しだけ翔斗先輩♡がムッとした顔をするから、最近の美香のハマりなんだ!!「告白された〜♡」報告。





 最初の2日間は色々なガイダンス等があり、一年生だけだったから、一人登校。


 と言っても、駅までは毎回翔斗先輩♡が送ってくれてたけど。


 今日初めて翔斗先輩♡と登校できると思ってたら、クラス替えがあるせいで先に出なくてはいけないらしく、また一緒に行くことができなかった……。


 悲しみが深い……。


 まぁ、明日からは一緒に登校できるしいいけど。





 もうお兄ちゃんでいいや、先輩呼び飽きちゃうし……。




 お兄ちゃんは今日、クラス替え。帰ったら、どうだったか聞かないと。





 美香の気持ちは相変わらず変わってない。 


 LOVEである。お兄ちゃんに対してLOVEである。


 だけど、決して何か行動を起こしたりとかはしない…………まだ、ね。


 今は、凪さんと美月さんのことを平等な立場から応援するつもり。


 そう言うことなんで!これからも美香をよろしくね!


 多分定期的に顔出すと思うよ!だって美香JKになったからね!



___________________________________________

113話読んで頂きありがとうございます!


次かなー、いつになるかわかりませんが、久しぶりの内容が出てくるかも知れません!お楽しみに。


コメント、応援いつもありがとうございます!

レビュー、小説のフォローよろしくお願い致します!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る