夜光視点
第112話 4月6日 凪ちゃんとの差
翔くんと話していると、凪ちゃんの声が聞こえてきました。
優しく言ってるように聞こえますが、あの言い方の凪ちゃんは怒っています。
…………凪ちゃんが怒ることと言えば、翔くんのことぐらいだと思うけど。
「凪どうしたんだろう。ちょっと行こうか」
「そうですね。一応心配ですからね」
見るからに凪ちゃんに言葉責めされてる男子の方が精神的に心配ではありますけどね。
「どうしたの?何か言われた?」
翔くんが凪ちゃんに声をかけます。
凪ちゃんの顔を見ればわかりますが、とても言ってやりましたみたいな顔をしています。
本当にこの子は翔くんのことになると、なんでもできそうですね……。
「いえいえ!……………………」
最初は聞こえたのですが、その後は耳打ちをしたせいで全く聞こえませんでした。
最近凪ちゃんがどんどんあざとくなっているように感じます。
人前で耳打ちなんて、この間までなら絶対やっていませんでしたよ。
そのタイミングで担任の先生と思わしき人が入ってきたため、私と翔くんは席に戻ることにしました。
気になるし、後で聞いてみようと思います。
昼休みになりました。ちょうど翔くんも居ませんし聞いてみようと思います。
「凪ちゃん。さっきはなにを言われたの?」
「朝のことですか?まだ気にしてたんですね」
「気にするよ。凪ちゃんが怒ることなんて翔くんのことぐらいだもん。翔くんが何か悪口とか言われてるなら私だって許せないよ」
実のところはそこまで知りたいと思ってはいません。
大体予想は付きますからね。
では、どうして質問をしたのか……凪ちゃんとの差を知りたかったから。
「そうですか……と言っても美月ちゃんが想像している通りだと思いますけどね。私たちと翔斗君じゃ釣り合わない的なことでした。美月ちゃんが聞いていたら私と同じことをしたと思いますよ」
「そう言う内容だよね……。
ま、まーね私も凪ちゃんと同じこと言うと思うよ。ありがとう教えてくれて」
やっぱり私と凪ちゃんとの差は大きいと思います。
その時にならないとわかりませんが、朝の凪ちゃんみたいにはっきりと自分の意見を言えるかと聞かれると、自信を持って言えるとは思えなかったからです。
最近の凪ちゃんはどんどん成長していて、ゆっくりしてたらあっという間に背中すら見えなくなってしまいそうです。
もっと頑張らないといけませんね。
「ちょっとトイレ行ってくるね。今のうちに翔くんと話とけば?まだ学校来て全然話せてないでしょ」
「余計なお世話ですよ!」
「ふふ、はいはい」
私がトイレに入ろうとすると、中から話し声が聞こえてきました。
……トイレで話すのやめてほしいんだよな。入るの気まずくなるし。
とりあえず早めに行きたかったので入ろうとしたところ、話の内容に私は足を止めました。
「あの古巻君だっけ?夜光さんと朝露さんと一緒にいたの」
「そうそう。別に超絶イケメンって訳ではないよね」
「それ思った。なんであの2人は古巻君に拘るんだろうね。私たちからしたらライバル減るしいいけどさ」
「でも、同じクラスの高橋君が夜光さんか朝露さんを狙ってるって話、噂で聞いたよ」
「まじ??朝露さんの朝の感じを見ると夜光さんの方に行きそうじゃない?」
「夜光さんなんてすぐ靡きそうじゃない?」
「ふふ、確かにね」
聞いてれば聞いているだけ、怒りが込み上げてくるのがわかりました。
私はさっきまで、この場面に出会してもなにも言えないと思っていたのですか??あり得ない。私が他の男に言い寄られて気持ちが偏るとか本当にあり得ません。私のこと知りもしないで言わないでほしいです。
「なにを根拠に言ってるかわからないけど、そう言うこと言うのやめてくれませんか??」
「え?!あっ……夜光さん」
「その高橋君ってことがどんな人かも知らないですけど翔くんを思う気持ち、絶対凪ちゃんに負けてないから!!!」
「う、うん。わかった、なんかごめんね。ほら行こう」
さっきまで話していた2人はすぐさまその場から立ち去ろうとしました。ですが、後一つだけ言いたいことがありました。
「あ!最後に翔くんはカッコいいですからね!なにも知らないのに人のことを言うとか見っともないと思いますよ」
…………ふっ!言ってやりました。
凪ちゃんみたいにクラス全員の前とかではありませんが、私もしっかり言うことが出来ました。
まだ凪ちゃんの背中はしっかりと見えているみたいですね!
これからも頑張ろう!
「あ、やばい、漏れそう!」
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112話読んで頂きありがとうございます!
気付いたら総合PV29万を超えていました!!
あと少しで30万!これからもよろしくお願いいたします。
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