三章 4月1日〜5月9日
古巻視点
第110話 4月6日 新しい学年の始まり
今日は新学年、新学期の始まりだ……と言うことはクラス替えがある。
1年のクラスは今思えばとても恵まれていた気がする。
出来れば2年のクラスも凪、美月、正樹、舞とは一緒になりたい。
そう思いながら僕は準備をしていた。
「おはようございます!翔斗くん」
「おはよう翔くん!」
玄関を出ると待ち伏せしていたのか、2人が待っていた。
朝から2人と登校できるなんて、前世の僕はどれだけ素晴らしいことをしていたのだろう。
「うん!おはよう2人とも!」
クラスが変わったとしても、登下校が一緒にできるならまだ大丈夫かな……僕はそう思った。
僕たちの学校ではこんなクラス替えを行う。
よくあるクラス替えは玄関先とかに張り出されているものなのだが、この学校は1年の時のクラスで一度集まり、先生から1人ずつクラスと番号を告げられていくのだ。
そんなことするなら張り出せばいいのにって思うが、これはこれでドキドキするので楽しみではある。
元のクラスに集まった僕たちは、早速先生から順に告げられていく。
「朝露凪、B組、1番」
凪はB組らしい……。
1年の時は出席番号が2番だったので一つ昇格?なんとなくそんな感じがした。
「市川正樹、A組、5番」
正樹はA組か……早速クラスが分かれてしまった。
2年のクラスはA組からD組まで存在する。
分かれてしまうのはしょうがないとしても、1人だけとなる可能性もある……それだけは絶対に避けたかった。
と言っても、結果は既に先生の手の中。5分後には全員のクラスは発表されているのだ。
そんなことを思っていると、あっという間に舞の番が来ていた。
「新庄舞、A組、15番」
A組と呼ばれた瞬間、大喜びをする正樹と舞。
…………なんと運のいい奴らだ、全く。
もうそろそろ僕の番が来る。
近づくにつれて緊張感が増していく。
気付いたら、凪、正樹、舞から視線が飛ばされていた。
美月に関しては僕のいくつか後ろにいる為わからないが多分見てると思う。
ついに僕の番が来た。
「古巻翔斗…………B組、26番」
僕はその瞬間、思わずガッツポーズをしてしまった。
少し大きめにしてしまったこともあり、恥ずかしかった。
正樹、舞と離れ離れになったことは寂しいが、凪と一緒になれたことがとても嬉しかった。
凪の方を見ると、小さくガッツポーズをした後僕の方を見てピースを送ってきた。
……………………可愛い。
そんなこと思っている場合ではない。
すぐに美月の番が来る。
凪と同じクラスになれたのは嬉しいが、やっぱり美月とも同じクラスになりたいのだ。
「夜光美月…………B組、32番」
「やったーーー!!」
美月がみんなに聞こえるぐらいの声で喜んだ。
僕も声には出さなかったが心の中でよっしゃー!!と叫んだ。
凪、美月と同じクラスになることができたのだ、これぐらい喜んで当然だろう。
登下校もできる上に同じクラスだなんて僕は本当になんて幸せ者なんだ。
僕がこれほど喜ぶのにはもう一つ大きな理由がある……それは、3年ではクラス替えがないと言うことだ。
2年で決まったクラスで卒業まで過ごすと言うことは、このクラス替えが意味する重要さがよくわかるだろう。
その重要なクラス替えを僕は勝利したのだ。
とても嬉しいことだった。
最後の人が発表され、クラスを移動することになる。
僕が席を立とうとすると、いつも一緒にいる4人が近づいて来た。
「翔斗くんやりましたね!同じですよ!!」
「そうだね!めっちゃ嬉しい!」
最初に話しかけて来たのは凪だった。
とても嬉しそうな笑顔を浮かべている。
「舞とは同じになれたんだけどな……隣のクラスだからいいけどよ、」
次の正樹は結構しょんぼりしていた。
ここまで肩を落とされると、さっきB組になって喜んでいた僕がひどい様に思えてくるよ。
「たまにどっか遊びに行こうな!毎日は会いにこなくていいけどたまには会いに来いよ!」
「ちょっとなんで毎日はいいとか言うわけーー翔斗ひどいよ!!2人と一緒になれたからって喜びすぎだし」
舞は舞でいつも通りだったが、何気に仲良しだった女子と別れたことが寂しそうだ。
「喜んでるけど、舞たちと一緒になれないのは寂しいと思ってるからね」
「そう?……ならいいけど」
「翔くんやったね!!私ずっとドキドキしてたよー」
美月には手を握られブンブンと振られてしまった。
美月の無邪気な喜び方は、とても可愛いかった!
これからもこの2人と一緒に居られると考えると本当に嬉しかった。
「てか、そろそろ移動しなきゃやばくない?」
案外浸っている時間はなかったみたいで、舞からそう言われてしまった。
「そうだね……行こうか。じゃーね、正樹、舞」
「おう!」
「うん!またね!」
僕たちはそれぞれの教室に向かった。
「楽しみですね!新しいクラス!」
「そうだね!凪」
「なんで凪ちゃんも一緒かなー、私だけなら翔くん、独り占めできたにさー」
「ふふ、残念ですね。神様もそれだけは許したくなかったみたいですよ」
「ふんっ!」「ふんっ!」
僕と話していたはずなのに、いつの間にか2人だけの会話になってるし……。
4月から同棲を始めた2人は前よりも仲が良くなっている様に感じる。
そんなこんなで3人で話しながら2年の教室、2年B組についた僕達は一緒に入ることにした。
「じゃー行くよ!せーの」
新しいクラスメイト。
これからどんな2年になるのか楽しみでもあり、少し心配でもある。
だとしても、凪と美月が居るなら僕は頑張れると思う。
3人で教室に入ると、既に教室に来ていた人の視線がこちらに向く。
凪と美月を見た男子達から喜びの声が聞こえてくる。一部、凪や美月と一緒にいる僕への誰だ?みたいな声も入っているが………………それどころではなかった。
2人のことを見てみると、2人とも僕と同じ方向を、人を見ていた。
その人物とは……川谷花。
凪、美月と同じまではよかったのだが、まさかの花とも僕は同じクラスになってしまったみたいだ。
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110話読んで頂きありがとうございます!
三章開始早々波乱の展開ですね笑
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