川谷視点
(番外編) 12月26日〜(3月) 本当の後悔
翔斗とまた友達になるため、まずは両親に翔斗とのことを伝えることにしました。
薄々気付いてはいたと思いますが、私が言おうとしなかったため聞かれることがなかったのです。
「あのさ、話があるんだけど」
リビングで楽しく話していた2人に声をかけ、対面の席に座りました。
「ん、どうした?」
お母さんとの話をやめ、お父さんが聞き返してくれました。
「翔斗とのことなんだけど……」
「あら、話してくれるのね翔斗くんのこと」
やっぱりお母さんは待ってくれていたみたいです。
「うん……全部話すね」
私は、浮気をした上に翔斗を振ったこと、浮気をしていた彼が体を求めてきた時に翔斗の大切さを知りその彼と別れたこと、現在翔斗と友達に戻りたいと思ってることを話しました。
私の話を聞いていく中で、お父さんとお母さんの顔が段々と暗くなっていくのがわかりました。
どんな表情なのかはわかりませんが、自分のやったことがどれほどのことなのかを改めて理解することができたような気がします。
私の話を聞いて最初に口を開いたのはお母さんでした。
私のお母さんは翔斗の事をとても気に入っていました。
翔斗が家に遊びに来ている時は買い物を2人で行くぐらいには気に入っていたでしょう。
「花……もうしてしまったことに対して何かを言うつもりはないわ。この経験を経て花が学ぶことが出来たのなら親としてはよかったと思う……浮気していた彼と別れるところまではね。友達に戻りたいと思うのは良いとは言えないわ。いや、私は絶対に許せない」
「え……」
まさかお母さんから反対されるとは思っていなかった私は、思わず声を漏らしてしまいました。
「え、じゃないわよ。花がしたことは、ごめんねこれから反省するから友達に戻ろうねって、言えるほど簡単な話なの?そう思ってるなら尚更友達なんて戻らない方がいいわ。いくら翔斗くんが優しいからってその優しさに漬け込むなんて、そんな子供に育てた覚えないわよ」
「いや……だから私も変わろうとLINEとかを……」
「そんなの自己満足でしょ。翔斗くんが変わってくれたら友達戻るよって言ったの?言ってないわよね?
翔斗くんだけよ、振られたのを花のせいだけでなく自分にも悪いところがあったと言える子は。花はそんな優しい子を裏切ったの。それなのに……友達に戻りたいなんて、翔斗くんがもし許したとしても私は絶対に許さないからね。今から土下座でもしに行きたいわよ。翔斗くんの心を傷つけてしまったこと、娘がした事を」
翔斗と友達にも戻れない……そんなの受け入れたくなくて、認めたくないのに、何も言い返すことができませんでした。
お母さんが言っていることはその通りだったから。
自分を変えれば翔斗が友達に戻ってくれる……どうやったらこんな考えができるのだろうか。
とことん自分の考えの甘さに腹が立ちました。
私がそう思っていると今度はお父さんが口を開きました。
「お母さんの言う通りだと思う。もちろんこの話は花だけの問題ではない。私たち2人にも問題はある。異性との関係について詳しく話したことがなかったからね。ちゃんと話し合っていればって後悔しているよ。でも、今はその話ではない。この話で問題となっているのは花が翔斗くんと友達に戻れると思ってることだ。お母さんは反対したけど私は反対する気はない。しっかり罪を償い翔斗くんが許してくれたのならね。その上で聞くけど、花は翔斗くんと友達になってこれからどうして行きたいんだ?花からしても裏切ってしまった罪悪感、翔斗くんからしたら裏切られてしまった記憶そのものが傷となって残っていくだろう。それでも友達に戻れると思うのかい?」
お父さんの意見は私の甘さを突いてくるものでした。
私は考えてもいなかったのです。翔斗と友達に戻れた後のことなんて……。
そもそも、今の翔斗に私は必要なのでしょうか。
翔斗がどちらを好きなのかはわからなかったですが、朝露さんと夜光さんが翔斗に好意を抱いているのは一度みただけどわかりました。
その中で私が友達に戻るとか邪魔にしかならないのではないのか。
「そうだよね……私には翔斗と友達になる権利もないよね」
ここまでで私には限界でした。
泣いちゃいけないとわかっていても、色々な感情が入り混じりすぎて涙が止まらなくなったのです。
「さっきは絶対に許さないと言ったけれど、それは今の花ならの話しだわ。これからしてしまった事を背負って花自身が変われたのであれば友達に戻れる努力はしてもいいと思うわよ」
「そうだな。どんな事をしても花は私たちの娘だ。見捨てることはしない。お母さんも言っている通り、しっかり自分を見つめ直して本当の意味で変われたのであれば、チャンスは与えられていいと思う。泣いて後悔した後こそが大事だよ」
2人との話し合いが終わり、私はもう一度だけこれからの事を考えることにしました。
案自体は沢山出てきます。
しかし、出てくる答えは結局のところ、自己満足しかならないものでした。
当分の間は翔斗と距離を置く事がいいのかもしれないと思いました……答えが見つかるまでは。
その後、3月になっても答えは見つかりませんでした。
卒業までもう少しで2年を切ってしまう……。
翔斗と友達に戻りたい、また笑い合って話したい。
その気持ちを秘め私は春休みを迎えるのでした。
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番外編読んで頂きありがとうございます!
次から3期となります。
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