朝露視点
第73話 1月10日 「はい!よろしくお願いします」
今の時刻は14時。
先程、翔斗くんと朝ご飯を食べたのが9時なので、私と翔斗くんはかれこれ5時間ほど書斎で本を読んでいたみたいです。
「そろそろお昼食べますか?」
私の質問に翔斗くんは、
「あ、もうそんな時間か。食べようかな。僕も手伝うね」
ん?翔斗くんって料理できるのでしょうか。
「翔斗くんって料理できるんですか?」
「え?できるけど。まさか、僕。料理できない奴だと思われてた?」
「いや……ずっと美香ちゃんがキッチンに立っていたので」
私がそう言うと、
「あ〜〜あれは美香がやりたいって言って、言う事を聞いてくれなかったんだよ」
「そうなんですか……」
そんなことを言われたら食べたくなってしまいました。
翔斗くんの手作り料理を……
「キッチン使ってもいいなら作ってあげようか??」
「え?」
まさか翔斗くんから言われると思ってはいなかったので驚いてしまいました。
「あ、ダメだったかな……」
「いえいえ、是非作ってください!」
そして、翔斗くんのクッキングが始まりました。
「すみませんこんな物しかなくて……」
私の冷蔵庫には、朝ごはん作りすぎたせいで材料がほとんど入っていなかったのです。
「いや、大丈夫だよ凪。これならあれ作れるし」
あれとはなんでしょうか。
そう思っていると、翔斗くんはウィンナー、玉ねぎ、卵、ご飯、ケチャップ、をキッチンに並べました。
ここまで来たら私でもわかります。
「オムライスですか!」
「そうだよ!!たまたま材料あったからね!」
そして10分後……
「え、これがオムライス?」
私の前に置かれていたのは、ラグビーボールを半分にしたような形で盛り付けられているチキンライスの上に、オムレツが乗せてある状態でした。
形はあれですが、味が美味しければいいのです。
食べてみようとスプーンを持った時でした。
「待って凪。まだ終わってないから」
そう言って翔斗くんが包丁を持ってきました。
包丁??何に使うんでしょうか。
すると翔斗くんはオムレツに包丁を入れ始めたのです。
「え?え?翔斗くん?何して、て、オムライスになった。え?すごい。そして美味しそう……」
翔斗くんがオムレツを切ったことにより、半分に割れたオムレツは綺麗に下にあるチキンライスを包み込みました。
そして半分に割れたオムレツは少し半熟感がありとても美味しそうに仕上がっていました。
「でしょ!僕の得意料理の一つなんだ!!」
自分以外の手料理を食べるのは本当に久しぶりな気がします。
「いただきます」
私は翔斗くんの作ってくれたオムライスを食べ始めました。
「お、おいしい……」
「本当?やったね!」
翔斗くんはとても嬉しそうです。
私は料理も得意です。
だってずっと一人で作ってきたから。
オムライスだってもう数え切れないほど作ってきました。
そんな私でも翔斗くんのオムライスは今まで食べてきた中で一番おいしい思いました。
「はい!本当です。とてもおいしいです。このオムライスならお店でも開けそうですね!」
「そんなことはないと思うけど、喜んでくれてよかったよ!」
昼ごはんを食べ終わった後、少し休憩したのち書斎にてまた本を読み始めました。
そう言えば翔斗くんは何時に帰るのでしょうか。
そう思った私は聞いてみることにしました。
「翔斗くん。今日何時ぐらいまで居てくれますか?」
私としてはできれば夜ご飯まで一緒に食べて欲しいなと思っています。
翔斗くんの家で過ごす時だって夜ご飯までは一緒に食べたことはありません。
私はいつも一人で夜ご飯を食べていました。
特に今まで寂しいと思ったことはなかったです。
ですが、翔斗くんの家に行くようになり、翔斗くんと美香ちゃんと朝ごはんや昼ごはんを食べていく中で私の中に夜ご飯も一緒に食べれたらいいのに、と言う思いが生まれてきました。
人と言うのは欲張りな生き物だと思います。
何かを得たらさらに良いものを得ようとする。
今まで私は夕方には帰るようにしていました。
なんだか申し訳ないと思うから。
邪魔なのでは、と思うから。
ですが今日は私の家です。
邪魔ということはないでしょう。
今日は出かけると言っていた美香ちゃんも夜はいるでしょうし私の家で一緒に夜ご飯を食べるのもいいのかと思います。
なので、私は何時まで居てくれますか?という質問をしました。
それに対して翔斗くんは、質問に対して質問で返してきました。
「前から思ってたけど、凪って夜ご飯、一人で食べてるんだよね??」
私は先程まで考えていたことが口から漏れていたのかと思い焦ってしまいました。
ですがこの質問的にはそれはないので少しホッとしてます。
「そうですね。いつも一人ですよ」
私がそう言うと、
「寂しくないの?」
さらに質問をしてきました。
私は先程まで思っていたことを言うことにしました。
「寂しくないと言ったら嘘になりますね……」
私が答えると、翔斗くんは「そうだよね。少し待ってて」そう言ってスマホを取り出し何かをし始めました。
少しすると翔斗くんは「よし!」っと言って、スマホをしまいました。
私には。何がよしなのかわかりません。
翔斗くんはまた話し始めた。
「前から思っていたんだよね。凪も一緒に夜ご飯を食べられないのかって」
それを聞いた瞬間、私はとてもドキッとしました。
だって私が願っていることが起きそうな気がしたから。
「それでね、今美香に聞いたんだ。今日は凪も一緒に家で夜ご飯食べていいか、てね。そしたらすぐにいいよ!ってきたよ。ごめんね。もっと早く気づいてあげていれば寂しい思いをさせなくて済んだのに……」
翔斗くんは謝ってきました。
でも、謝る必要なんてないです。
だって私が勝手に迷惑だと思って家に帰っていただけだから。
「謝るなんてやめてください。翔斗くん達は何も悪くありませんから。夜までいるのが迷惑だと私が判断して帰っていただけなので」
私がそう言うと、
「なら、一緒に夜ご飯食べよう。作るのは美香だから僕がこんなこと言うと怒られそうだけど。あはは」
そうやって笑いながら言ってくれました。
本当に翔斗くんはなんでこんなに優しい人なのでしょうか。
私が言えないこと、できないことを、簡単にやってしまう。
翔斗くんに対して好きと自覚してから本当に好きが止まりません。
止まって欲しくもないのでいいのですが。
私も笑顔で翔斗くんに言いました。
「はい!よろしくお願いします」
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75話読んで頂きありがとうございます!
もしかしたら、また夜ちゃんが書けないかもしれない。もしかしたらじゃないですね。
これはもしかしたらではありません。
夜ちゃんはまたお休みです。
ですがいつか凪ちゃんお休みです夜ちゃんタイムも来ると思いますのでお楽しみにしていてください!
お知らせと宣伝させてください。
新作としてこの間お伝えした。
「映画館で隣に座る美少女と友達になった。」
の1話を投稿しました!
よかったら読んでください!
よろしくお願いいたします!
コメント、応援いつもありがとうございます!
またして頂けたら嬉しいです。
レビュー、小説フォロー、して頂けたら嬉しいです!
よろしくお願い致します!
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