古巻視点

第26話  10月12日 初めての電話で実行委員をすること

「いや、今日は古巻くんと電話がしたいです」


先程、朝露さんから言われた言葉が僕の中でひたすら繰り返えされていた……




僕は今、朝露さんと約束した22時に間に合わせるためお風呂に入っていた。


「まさか朝露さんから電話したいと言われるなんて」


僕はお湯に浸かりながら独り言を呟く。


「電話かぁ〜女子とする電話は花、舞以外はしたことがないからなぁ。緊張するな」


僕は中学一年生から花と付き合っていたこともあり、幼馴染の舞以外に他の女子と電話する機会はなかった。

そして、初めて電話する相手が最近はあまり気にしてはいなかったが、学年で1番いや学校で1番可愛いとされる美少女の朝露さん。

全学年の男子がこの事を知ったら○ろされてしまうかもしれないと思い、僕は苦笑した。


「おっと、もうこんな時間だ早く出ないと」


そう言って湯船から出た僕は体を拭き、鏡を見る。


「髪の毛伸びたな……これだと根暗だと思われそうだ。今回のデートは美香が手伝ってくれたからよかったけど……」


僕は久々に美容室に行こうかと考える。

朝露さんと友達でいたいなら少しぐらいは見た目にも気を使わなければと思ってしまったのだ。


それに……


「かっこいいと言ってくれたのは嬉しかった」


僕は単純に朝露さんからカッコいいと言われたかったのだ。


「少しは努力するか……」


僕はそういい美容室に行くことを決意した。




やることを全て終わらせて、僕はベットの上で22時になるのを待っていた。


頭の中で色々な考えが浮かび上がってくる。

無言になったらどうしよう……

寝落ちしていびきをかいてしまったらどうしよう……

つまらなかったらどうしよう……

今まででは普通にしてきた電話がこんなに怖いものだったことに僕は驚いた。

でも、逆に少し自信もあった。

朝露さんとなら何も気にせず楽しく話せると言う自信が。


ベットの上で考えに耽っていると、

スマホからメッセージアプリ独特の音楽が流れ始めた。これは誰かから電話がくる時に流れる音楽であり今日僕に電話してくる人はもちろん、朝露さんしかいないのだ。

僕はスマホの画面を見ずにすぐ電話に出た。


「は、はい、も、もしもし」


少し吃ってしまった。とても恥ずかしい……

するとスマホからは、


「クスクス……クスクス……」


笑い声が聞こえてきた。

だが、どうもその笑い声は朝露さんとは違う笑い方のように思えた。


「まったく、緊張しすぎだよお兄ちゃん。

めっちゃ吃ってるじゃん……くっく」


やはり朝露さんではなかったみたいだ。

声の主は美香だった。


「おい、美香。流石にお兄ちゃん怒るぞ!」


ふざけが過ぎていると感じた僕は少し強めの口調で美香に伝える。


「いや、でもさっきからお兄ちゃん見てたけど心ここにあらずって感じだったからさ。このままだとなんかやらかすんじゃないかなって思ったの」


そう反論してくる美香に……僕は納得してしまった。


「あ、そっかそんなに緊張しているように見えたか……」


僕が聞くと、


「うん!でもこれで少しは緊張もほぐせたでしょ」


そう言って、美香は電話を切った。

でも美香の言う通りで先程よりは心も軽い感じがした。

10月に入ってから美香には助けてもらったばかりだな、と僕は改めて思った。


そんなことを思っていると、もう一度着信音がなった。そして、また美香かと思い今度こそ画面を見ると、そこには "朝露 凪" と表示されていた。

不意にきたことに心の準備ができていなかった僕は、一回深呼吸を入れてから、電話に出た。

今度は噛まないで言おう、そう心に決め話そうとした時、


「もしもし、こちらは古巻くんのお電話であっているでしょうか」


とても緊張した朝露さんの声が聞こえてきた。

それを聞いた僕は先程の美香のように思わず笑ってしまった。


「クッ……朝露さんテンパりすぎですよ」


そう言って僕は笑いを堪えながら言うと、

少し拗ねたように朝露さんは言った。


「しょうがないじゃないですか、緊張してたんですから……」


「すいません……僕も緊張はしてましたからね?」


そう伝えると、


「本当ですか??」


「はいもちろん」


そう言って僕たちのはじめての電話は朝露さんの面白い発言から始まった。


「あ、朝露さん今日はほんとにありがとうございました」


「いえいえ、私も最初から最後まで面倒見てもらってありがとうございました」


結局僕たちは電話でもお互いにお礼を言い合ってしまうみたいです……





話し始めて30分くらいたった時のことでした、

僕は何気なく朝露さんに質問をしました。


「そういえば、今月から文化祭関係が始まるはずでしたよね?」


「…………」


「あ?僕なんか癪に触ること言ってしまいましたか?」


「いや、違うんです。何かと文化祭は忙しくなるというか私的には疲れるので憂鬱なんですよね」


「そうなんですか??」


「まーそうですね……主に男子からのが多くなる行事ですので、」


「あ……なるほど、朝露さんならではの悩みってことですね。やっぱりそれなりにいるんですか??」


「はい……中学3年間は毎年あったので、高校でもあるんだろうなと思っています」


「なんかそれはそれで大変そうですね……」


「あと、もともと私自身あまり他の人と何かをすることに慣れてはいないので、文化祭自体好きではないですね。それなのにしっかりしているからって理由で毎回、実行委員会やらされたりするのでやっぱり文化祭なんて嫌いです!」


「なるほど……無理やりやらされるのは嫌ですよね。でも、今年は朝露さんが実行委員になった場合、僕も一緒にやりますよ!」


何気なく、僕は朝露さんに言いました。

対して朝露さんは


「それなら……私、今年は自分から実行委員やろうかなって思います」


そう言われました。

自分からやるよと言っておきながら、朝露さんが僕とならやりたいと言ってくれたことに驚きました。

そして朝露さんと何かを一緒にやりたい。

僕もそう思いました。だから、


「じゃー今年は僕たち2人で立候補しますか」


「はい!よろしくお願いします」




そうして僕は初めての電話で朝露さんと

     実行委員をすることに決めました。


___________________________________________

26話読んで頂きありがとうございます。


次は朝露視点で電話の続きを描きます。

今日中に出せたらなと思っております!


総合PV3万を超えました!今週だけで2万近く増えています。本当に嬉しいです!ありがとうございます。


誤字脱字報告ありがとうございます!

コメントもありがとうございます!

コメントしてくれた際は返せる時はすぐに返信する様にしていますので、どんどん送ってくれると嬉しいです。


レビュー、小説フォロー、応援もたくさんの方にしていただき嬉しく思います!まだされてない方していただけると嬉しいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る