第24話  10月12日 お出かけ(デート)の最後は[上]

「おい!どこみて歩いてんだぁ?コラァ!」


そう言って僕たちを睨みつけてくる男性。


……どうしてこうなったっと僕は心の中で頭を抱えていた。



遡ること3時間前、僕たちは予定通りショッピングモールにある本屋に来ていた。


「朝露さんは今日何か買うんですか?」


僕の質問に対して、


「そうですね、今日は思い切って他の出版社様の本を買わせて頂こうかと思っています!」


そう張り切って声を出す朝露さんをみて僕は自然と笑顔が溢れる。

だが、僕は少し疑問に思った。なぜ朝露さんはラノベを出版社で選ぶのかと。

だから僕は朝露さんに質問してみることにした。



「なのー朝露さん質問なんですけど、なんで朝露さんは出版社でラノベを選ぶんですか?」


すると朝露さんは少し顔を赤く染め始めた。

なぜそこで顔が赤くなる?っと僕は首を傾げてしまった。少し待つと朝露さんは話し始めた。


「特に理由はないんです。はじめに買った本がたまたまあの出版社が出しているラブコメだっただけなんです。そして、私は古巻くんに教えてもらえるまで他の出版社でもラブコメ系が出てることを知らなかったんです……」


それを聞いて僕は納得が言った……

ずっと疑問に思っていたのだ、なぜ朝露さんという完璧な人が数ある本の中からラノベを選択したのかと。

だが、根本的に僕は違っていた。朝露さんはラノベを選択したわけではないのだ。偶然手に取った本がラノベだったのだ。

ラノベと言うものに知識もなかった朝露さんは、たまたま取ったラノベの出版社が自分に合っていると判断したため今までずっと同じ出版社でラノベを買っていたと言うことだろう。

そんな中、僕の紹介により朝露さんは知ることができた。面白いと思えるラノベが他の出版社からも出ていることを。


「朝露さんにとっていい作品が見つかるように僕も一緒に探しますね!」


色々言いたいことがあったが、それを心の奥にしまい僕は朝露さんに伝えた。


結局僕が5冊、朝露さんが8冊、ラノベを購入した。



今はショッピングモールから出てファミレスに向かっている。

隣で歩いている朝露さんはとても気分がいいのか、鼻歌を歌っている。

僕は朝露さんの可愛い姿をずっと見ていたいと心から思った。


上機嫌の朝露さんは、ついにこちらを見ながら後向きで歩き始めた。

僕はそれを見てドキッとしてしまう。

そして、そのせいで僕は気づかなかった。


「古巻くんはや……[ドンッ!]キャァ!」


朝露さんの後ろに人がいたことを……


「申し訳ありません。大丈夫でしょうか」


すぐに声をかける朝露さん

僕も追いつき、「すいません。大丈夫ですか?」と声をかける……


そして現在。


「おい!どこみて歩いてんだぁ?コラァ!」


このようになっていた。

僕は男の態度から少し危ないと判断、一瞬で朝露さんの前に出る。


「申し訳ありません。僕の連れが周りを見ずに行動したばかりにぶつかってしまって」


そう深々と頭を下げる僕に男の人は


「謝って許されるなら警察はいらないだろうがよ」


と、定番のセリフで返してきた。


「そう言われましても、こちらも当たったことは悪いですがそちらも当たったことは事実ではありませんか」


僕は引くだけでは相手が調子を乗ることをしっていたので、少しだけ威嚇する様に言葉を発する。


だが、それは逆効果みたいだった。


「坊主図に載ってるんじゃないか?あぁ?

こっちは当たった衝撃で服が汚れちゃったんだが?どう落とし前つけてくれんだぁ?

ん?ほぉ〜うよく見たらべっぴんさんじゃねーかよ。しょうがね〜からよ、そのお嬢ちゃんを借りるってことで許してやるよ」


そう言って朝露さんをいやらしい目で見始める男に僕は段々と腹が立ってきた。そして、さすがにいつもは堂々としている朝露さんも怖がっているのを見て、僕は守らなければと思ってしまった。


「いい加減にしろって。お前恥ずかしくないのか?大の大人が女の子に少し当たられたからって激昂してさ。こっちも謝ってるんだからそっちも謝って終わりでいいだろう」


僕は久しぶりに自分が怒っているのを感じた。

なぜなのかは明白だった。朝露さんを怖がらせたから。こちらが悪いのはわかっているがこれ以上は相手のやりすぎだと僕は判断した。


「舐めた口聞きやがって。一回痛い目見ないとわからないみたいだな」


そう言いながら拳を鳴らし、こちらに歩いてくる男。


「古巻くんさすがにあれは危ないよ。逃げましょう」


朝露さんが心配してくれているが僕は、


「大丈夫です。僕を信じてください」


そう言って自分から男に近づいていく。


そして、ついに男が僕に殴ろうと拳を振り上げた時。


[バンッ!]「え?」何かが地面に倒れる音と、朝露さんの驚く声が上がった。


それはそのはず殴ろうと拳を上げたはずの男は、気がつけば仰向けで気を失っていたから。


朝露さんはじっとこの状況を眺めていました。

そしてどんどん学校にいる時と同じ顔になっていくのがわかりました。自分を責め、他人と距離をとり、1人になろうとする朝露さんに……だから、


「とりあえず今はファミレスに向かいましょう」


そう言い、笑顔を作りながら唖然としている朝露さんの手を引いて僕はその場を速やかに立ち去った。


___________________________________________

24話読んで頂きありがとうございます。


今回のデートは定番が盛りだくさん笑

書いていて私はそう思いました。

でも定番だからいいって言うのもありますよね。うんうん!あります!


昨日初めてジャンル別ではありますが、順位が19位ととても嬉しいことがありました。

これも見てくれている皆さんのおかげです。

ほんとにありがとうございます!

これからもよろしくお願いします。


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