第20話  10月12日 このデート、ショッピングよりもハードルが高いのでは?

ついに朝露さんとのお出かけの日がやってきた。


時刻は7時30分

僕は、8時の待ち合わせのために玄関で靴を履いて待っていた。


すると後ろの方から歩いてくる足音が、


「お兄ちゃんおはよう……って8時からって言ってなかった?なんでもう玄関で靴履いてるの??」


やっぱり30分前から玄関待ちはダメだったみたいです。


「おはよう美香。やっぱりまだ早いか」


そう言って僕は靴を脱ぎリビングに行こうとした時、


「待ってお兄ちゃん。ちょっとこっち向いて」


美香の言う通りに振り返ると、


「やっぱり、お兄ちゃんまさかその髪型で行くつもりじゃないよね?たしか今回一緒に出かける人は学年一番の美少女でしょ?」


「いや、学校1番だと僕は思ってるよ」


「そうじゃない。ばか!」


怒られてしまった。


「そんな髪の毛だと引かれるよ」


そう言って美香はリビングではなく洗面所に向かって歩き始めた。僕もなんとなく着いて来いと言われている感じがしたので、着いていく。


「はい、ここに膝立ちになって!」


そう言って美香のセッティングが始まった。


そして20分後、


「はい!できた!これでいつもの雰囲気を残しつつ、かっこいいお兄ちゃんが魅せられるね!」


そう言われて、僕は鏡を見た。


目の上の方まで伸びた髪の毛、マッシュルームみたいだった僕の髪型は、美香のアイロン技術、ワックス技術によりニュアンスパーマ系となり、前髪に重さを出した全体的にふんわり感が漂う髪型になっていた。

そして、何よりいいのは程よく決められているナチュラルな感じがとても良かった。


「うわぁ、美香すごいな。ありがとう」


僕は美香に率直な感想を述べる。


「いや、普通のことだし」


そう言って少し顔を赤く染めながら美香は手を洗いリビングに行った。

僕の方もそろそろ時間だったので、靴を履き、家を出るのだった。



家を出て朝露さんのマンションの下で待っていると、2分程度で朝露さんが出てきた。

そして、僕はおはようございますと声をかけようとして言葉が出なかった。


可愛いすぎたのだ。

朝露さんの私服が可愛いすぎたのだ。


朝露さんの格好はあの日曜日に会った時のラフな感じとは違い、とてもオシャレな服装だった。


顔はいつもと違い少し化粧が加えられている。

濃すぎないナチュラルな感じがとても朝露さんらしい。

服装は、青色のワンピース。

詳しく言うとポロネックハイウエストワンピース。

たしか美香と買い物行った時に可愛いと言っていたのを覚えていた。

その服の特徴として、

簡単に言うと上半身は長袖のポロシャツ

下半身はワンピースとなっていて。

その境界線を胸元下あたりでウエストを緩めに締め付けることにより表現していた。

上半身の襟と袖口の部分は白色になっていて、

全体的に青となっているこの服に白色の部分が強調され、とても可愛らしくなっている。

そしてなんといってもそのワンピースから出る、とても白くて長い足が服そのものを良くしていた。


頭の中で朝露さんを分析していると、


「そんなに見ないで……ください、

           恥ずかしいです。」


朝露さんからそう言われてしまった。

僕はその言葉すらも可愛く思ってしまい、


「ご、ごめんなさい。可愛いすぎてつい……」


…………つい、口を滑らせてしまった。


「……ありがとうございます。その、古巻くんも今日 はいつもと違ってとてもオシャレでカッコいいです。あ、だからっていつもかっこいいと思ってないとかそんなことじゃなくて…………すいません」


……カッコいい、、、そのあと何か言ってたけど、僕は最初のカッコいいでもう聞き取ることはできなかった。


「あ、ありがとうございます。とりあえず行きますか」


そう言って2人して顔を赤くしながら、今回の目的地に向けて歩き出した。



そして、1時間後。僕たちは目的地のラノベ・マンガ図書館に到着したのだった。



「わぁ〜すごいですねこの建物」


とても興奮している朝露さん。

学校では絶対見られない朝露さんが見れたことでもう僕はお腹がいっぱいになりそうだった。


「この建物の地下にあるみたいなんですよね。

上の階は、月ごとに色々な展示などがやっているみたいで、今日は外国の大人気映画の展示をしているみたいですね!」


僕は説明をしながら朝露さんをエスコートしていく。

そしてワンデーパス1人600円をお互いに払い、

(僕は朝露さんの分も払おうとしたのだが、申し訳ないと断られてしまった。少しは僕のこと立てて欲しかった……)地下にある図書館に入るのだった。


入ってみると、1階にはマンガ、2階にはラノベが置いてあるらしく、僕たちは2階に上がる。


「すごい……凄すぎます!見てください、この量のラノベ。夢みたいです!」


図書館なので小さな声で僕だけに聞こえるような朝露さんが話しかけてきた。

そのせいで肩が触れ合い僕は一瞬ドキッとしてしまいました。


「すごいですね!どう言う感じで読みますか?

いつものラブコメ系にしますか?それともラブコメ以外の作品にしますか?」


僕はどうにかドキドキしてしまっている心臓を抑え、提案するところまで持っていくことができた。


「そうですね……せっかくなのでラブコメ以外も読んで見ようかなって思うのですが、その前に古巻くんがおすすめする本を表紙と共に教えて欲しいです。折角今日は2人で見れるので」


そう言って僕のラノベオススメ会が始まった。

そしてジャンルは問わないこと。いつも買っている出版社以外からお願いしますと言われてしまったので、

とりあえずオススメ10種類を選んでみることにした。


選んでから僕たちは学校の図書室同様1番端っこの席で2人隣同士並んで座った。


今回は、個々の椅子ではなく長椅子しか置いていないこともありいつもより朝露さんとの距離が近くなっていた。学校では当たるか当たらないかのギリギリで保っている肩も今日はしっかりと当たっている。

そして、朝露さんから女子らしい甘い良い匂いがしてきて、僕の体が熱くなっていくのを感じた。チラッと

横をみると少しだけ朝露さんの顔も赤くなっているように見える。さっき止めたはずの心臓がまたドキドキ鳴り始める。それでも僕は無理やりにでも意識を集中させてオススメ会を始めた。これ以上はやばいと判断したから。

だって男子特有のものが、あ?俺の出番?と言っているように出てこようとしていたから。


「まずこの作品は……」


僕はそのあと全く集中できないまま朝露さんに

おすすめのラノベを紹介するのだった。



僕は思った。


……このデート、ショッピングよりも

     ハードル高かったのでは?っと


___________________________________________

20話読んで頂きありがとうございます。


今回の1日デートは2回に分けて、さらに視点をわかるので4話分となります。


なのでもちろん次は朝露視点

どんなことを思っているでしょうね!

楽しみです!


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