第7話 10月6日 私に、初めての友達ができました。
「えーと、確か同じクラスの古巻くんですよね??」
古巻くんは、まだ私が朝露 凪だと知らないみたいで
全然顔を上げようとしません。
なので、私はわかってて古巻くんですよねと聞いてしまいました。少し意地悪ですね……うふふ
声を聞いた古巻くんはすぐに顔を上げました。
そしてびっくりした顔を隠そうともせずに私に言いました。
「え???なんでここに朝露 凪さんが」
ちゃんと私の名前覚えていてくれてよかったです。
それにやっぱり面白い方ですね。
だから私はこう答えます。
「なんでここにと言われましても………私だってカフェに行ったりしますし」
それに気づいた古巻くんは、
「あ、そうだよねごめんごめん。あはは……」
古巻くんはばつが悪そうに謝ってきました。
でも、これっていわゆるナンパですよね?
私のイメージですけどこう言うチャラけたことはしない人だと思っていたんですが……まさか古巻くんがそう言うことをする人だったとは少しがっかりです。それに彼女も確か居たはず。
やっぱりこれでお話をやめて帰ろうかなと私は思いました……が、この折角のチャンスなので一応は聞いてみることにします。
「えーーとそれでこの感じを見ると、私とは知らずナンパをしたらまさかの私でびっくりしてしまったということで大丈夫ですか?」
さぁ〜なんて答える!古巻くん!
「すいません……そういうことになります。
とりあえず座ってもよろしいでしょうか??」
案外素直に認めました。やっぱり古巻くんはそう言う人だったみたいですね。でも、なんか事情があるのかな?もう少しだけ掘り下げて聞いてみることにします。
「そうですね。立ってるままだとあれなので。
それで、まさか古巻くんがナンパなんてするんですね。意外でした。」
よし……これでしっかり答えてくれるでしょう。
私の質問に古巻くんはかなり言葉を選んでいる様子でした。言い訳を考えているんですかね、と思ったら。
「いや、今日が初めてといいますか、、今日で終わりとも言いますので、ほんとに最初で最後だと思います」
またさらにばつが悪そうに言ってきました。
ですが私は少し安心です。古巻くんは日頃からこう言うことをしているわけではないとわかったから。
さらには今日だけと言うのがわかったから。
まぁ〜古巻くんの言い訳ではあるんですけど……少しは話を続けてもいいのかなと思いました。
「最初で最後ですか……でも私の見ている限りでも、
古巻さんはナンパ慣れている感じにも見えませんでしたしそうなのでしょうね。うふふ」
やっぱり今日の私はなんだか意地悪のようです。
絶対こんなこと言わないのについつい言ってしまいます。
……あ、大事なことを聞くの忘れていました。
古巻くんには彼女がいたはずです。そもそもの話ナンパすること自体、古巻くんはやってはいけないことでした。これは問い詰めなければ、
「でも、確か古巻くんはお付き合いされている人いましたよね?」
私が質問した瞬間古巻くんの肩が少し上がりました。
やっぱりそう言うことだったみたいですね。
がっかりです。これではっきりしました、古巻くんも
他の人と何も変わらない人だったと言うことです。
私は何を期待していたのか……っと思っていたら少しの沈黙の後古巻くんが話し始めました。
「いやーついこの間浮気されて、振られまして……あはは……」
浮気されて……振られた……
私は古巻くんにとてもひどいことを聞いてしまったみたいです。あんな顔で笑われたら私の方が辛くなります。でも、これならラノベのお話ができるのでは?と少しだけ心が弾んだのは内緒です。
とりあえずこのまま私が黙ってても古巻くんが可哀想なので何かしら話を続けます。
「あ、そうだったのですか……じゃーそれで悔しくてナンパに?」
「いや……悔しくてというよりかは、落ち込んでいたら妹に引きずってないで次に進みなよって自分の中でいいと思った人1人だけにナンパしてこいと言われましてですね、、」
え……と、なると古巻くんは私しか声をかけていないのか……
「いいと思った人1人だけ…………
ふふ、面白い妹さんですね。」
あ、危ない言葉に漏れてしまいました。
運良く古巻くんには妹さんのところしか聞こえてなかったみたいでよかったですが。
とりあえず私は古巻くんを信じることにします。
古巻くんは元・彼女さんとの過去を乗り換えるため、
妹に言われて、1人に絞ったナンパをした。
そして、それが私だった。いつもなら嫌な感じはしますがそこまで嫌な感じはしませんね。
私は、この機会に古巻くんと友達になることにします。そのためには彼のことを知りたい。自己紹介で、多少は知っていますがこれだと少なすぎます。
古巻くんはずっと黙っているので私が聞きます。
「まずは古巻くんのこと教えてください」
古巻くん、まさか私から話が振られると思わず、もう一度聞き直してきました。
「はい、私は古巻くんのことは知りません。
だから古巻くんがどういう人なのか教えてください」
とても動揺しています。見ていて面白いです。
「そうだね……そしたら朝露さんが聞きたいこと質問してくれないかな?」
そう……来ましたか。中々やるみたいですね。
古巻くんはそのあと何かを言いかけてましたが、
しょうがないので私は聞いてあげることにしました。
「古巻くんの好きなこと教えてください」
私はこの答えを知っています。なんて返ってくるかは知っています。でも、あえて聞きます。
……恥ずかしいから。
「は、はい!僕の好きなことはラノベや漫画を読むことです」
案の定、言ってきましたね。でも、ここからです。
ラノベはラブコメのことではありますが、
ファンタジーやバトルもの、異世界転生ものなども
一応はラノベだと思っています。私はラブコメ以外は滅多に読みません。なので、私にとってここが1番重要ポイントです。
「ラノベですか……どう言ったジャンル読むんですか?」
さぁ……どうだ……
「幅広く好きだけど、最近はラブコメにハマってるかな……特に好きなのは中学生の時に別れた彼女が再婚したお母さんの連れ子だったって作品で、「連れ○の」って呼ばれているやつかな……」
「連れ○の」!!!!まさか私が大好きな作品を古巻くんも大好きだったとは。やっぱり私の見立ては間違っていなかった。あ……
「それ私も大好きなんです。あの、付き合うのか、付き合わないとかいうもどかしい感じとか、途中から出てくる女の子のキャラとか振られちゃうけ何故か私すごく応援したくなっちゃう……しっ……てごめんなさいわたしつい……」
気づいたら勝手に大好きと言っていました。
とても恥ずかしいです。
私は顔が段々熱くなっていくのを感じました。
私がとても羞恥心を感じていると、少しだけ古巻くんが笑いながら言ってきました。何を笑っているんですか、もう……
「いえいえ……もしかして、朝露さんって
ラノベとか好きなんですか?」
ここまで話して隠すのもアレですし、内緒にしていると言えば他言はしないでしょう。
それにもう少しだけ、
ラノベについて話したい……
「……はい。他の人には内緒にしていますが。」
すると古巻くんはとても眩しい笑顔で堂々と言いました。
「いいじゃないですか!僕もラノベ好きですし、読んでて悪いことなんてないんですから」
やっぱり古巻くんはすごい。素直にそう感じました。
恥じなくていいと思っている。心から感じました。なので、
「そう……ですよね。ならもう少しだけ、ラノベのお話しませんか?」
私は初めて他の人とラノベのことについて話すことができました。
――――――――
古巻くんからそろそろ帰りますかと言う言葉がかけられ、話し始めてから3時間も経過していることに気がつきました。
外を見たらもう暗くなっています。時間ってこういう時だけ進むのが早いんですよね……
ラノベの話をするのはやっぱり楽しいことだったと心から思いました。また話してみたいとそう思いました。
……だけど、学校では話せない。だから私は古巻くんが最初に言ってきた言葉を利用することにしました。
ちょうど私のお礼に対して、深くお礼をする古巻くんに、
「ふふ ほんとに律儀なんですね。
古巻くん、はい、これ」
私は古巻くんに自分のスマホに入っている、無料でできるチャットのIDを見せました。
それを見て、困惑している古巻くんはとても面白いですね。
「これは……スマホですか?」
見ればわかるはずなのに。私はさらに意地悪を言います。
「いや、連絡先交換するんですよね?」
「え?僕なんかとしてくれるんですか??」
「元々は古巻くんから言ってきたじゃないですか。今日話してみてラノベのことを共有できる人がいるのっていいなと思いました。……それに古巻くんは他の人と違って私のこと……だから友達になりましょう。学校では話せないと思いますがこれなら話せますし」
小さな声だったので、古巻くんには聞こえなかったみたいですが……
古巻くんは他の人と違って私を友達として扱ってくれていることがわかりました。
多少可愛いとかは思っていると思いますが、
学年で1番美少女と呼ばれる朝露 凪ではなく、
同じ学校に通うクラスメイトで、同じ趣味を持つ1人の女の子、朝露 凪として接してくれているのだとわかりました。
だから私は古巻くんと友達になりたいと思いました。
そして私に、初めての友達ができました。
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7話読んでいただきありがとうございます。
レビュー、小説のフォロー、応援などとても沢山の方にしていただいてほんとに嬉しいです。
ほんとにありがとうございます。
そして、コメントも段々送ってもらえるようになっていて本当に嬉しい限りです。
コメントに対しては全て返信、お答えするつもりなので質問などもどんどん送ってもらえたら嬉しいです。
ちなみに私ごとではございますが、
こちらの作品をカクヨムコンテストに出すことに決めました。10万字まで行かなければいけないですが、何事も挑戦!色々な方たちにみてもらうため頑張りたいと思います。
今回も朝露視点でしたがあと一話だけこのままの視点でいくつもりです。よろしくお願いします。
朝露のラノベにかける思い負けてられませんね!私も家に溜まっているラノベを読まなければ笑開いてる時間で読みます。
誤字脱字、感想、ご指摘などのコメントお待ちしております!
レビュー、小説のフォロー、応援などもしていただけると嬉しいです!よろしくお願いします!
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