第132話

奏と通話を切った後にハルちゃんに連絡することにした。

文字で送ってもよかったのだが、長文になるし、口で伝えたほうが早いし感情も伝わると思って通話することにした。

3コールぐらいで出たハルちゃんは泣いていた。

「マジでごめんな。そんなつもりは全くなかってん」俺はひたすら謝った。

まさか泣いてるとは思ってなかったし何よりそこまで心配しているとは思いもしなかったからだ。

確かにアカウントを消して何人かは心配して連絡して来てくれた人もいたが、ここまで心配してくれていたかと言えばそうでもなかった。

中には心配はしてくれているみたいだが、弱っている時がチャンスとばかりに奏の変わりになろうとアプローチしてきた女性もいた。

気持ちは嬉しいが、奏ほどのいい女性なら弱ってなくっても好きになるだろうし、奏ならまずこんなタイミングでアプローチしてこない。

簡単に奏の変わりになろうなんて厚かましいにも程があると思っていたし、その程度の女性なら俺はここまで崩れるはずないし、忘れることにこんなに苦労する必要がないのだ。

そんな中、勘違いするような文章を送ってしまったばっかりに心配させて泣かせてしまって本当にハルちゃんには申し訳ない気持ちと感謝の気持ちでいっぱいだった。

だから純粋に奏のことをお願いしたかっただけでそれ以上の意味はないことを説明しハルちゃんが誤解するような内容を送って申し訳ないと謝った。

直前に奏と通話して結果が結果だっただけに気持ちはかなり弱っていたが、これ以上心配をかけたくない気持ちもあって、完全に吹っ切れた演技をして何とか安心してもらうことに成功した。

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