第124話
新規事業計画用の書類を作成し、ついでに書類の書き方マニュアルも作成しました。
マニュアルは新規事業書類だけではなく他の書類にも使えるので、間違いが少しでも減ってくれればと思います。
「シルビアちゃん、この書類はこれでいいの?」
「えっと……はい、大丈夫です」
「おーシルビアいたいた、これなんだがな」
「なんでしょうか?」
グロリア様のサインが入った書類を各部署に持って行くと、色々な方に書類の確認を頼まれます。
マニュアルを渡したお陰で間違いは減っていますが、マニュアルで全てを賄えるわけではありません。
「いや~シルビアがグロリア
「お二人は人の意見をよく聞いてくださいますよ?」
「それはわかってる。わかっちゃいるが……やはりご機嫌を損ねないかと不安でね」
……ああ! そうです、そうでした! 最近はずっと王族と関わって来たから麻痺していましたが相手は王族、貴族といえども気軽に発言するのは
私はそんな方々を相手にズケズケと……すっかり慣れてしまいました。
そういえば最近はサファリ様が色々とやってくれています。
最強の三番手計画は順調ですが、私が思ったよりも成果が出ているようです。
私が考えた計画では、サファリ様が改心して真面目になるという物でしたが、今のサファリ様は遊び歩きながら成果を出しています。
これはサファリ様のファインプレイですが、あまり真面目に成果を出し過ぎるとグロリア様の王位継承に影響が出てしまいます。
なにせ今のサファリ様は騎士団副団長より強く、外交を成功させ、内政でも評価がうなぎのぼりです。
サファリ様の方が王に相応しいと思われては本末転倒、だから遊び回る事で『やはり国王にはグロリア様が相応しい』と思わせているのです。
サファリ様の昔からの目的である『兄弟を何としても護る』という目標は間違いなく達成されたでしょう。
おっと、まだ配る書類が残っていますね、早く配り終えないと。
その後も書類を渡すたびに質問を受けたため、書類配りだけでも午前中いっぱいかかってしまいました。
午後からは少し頑張らないといけませんね。
「シルビア、お前も明後日の会議に参加するのだ」
「明後日の会議というと、備蓄食料の調整と他国からの輸入量の見直しですか?」
昼の仕事開始と同時に、シルフィー様から会議に参加しろと言われました。
どうしてそんな重要な会議に私が? と思いますが、恐らくは文化交流でお邪魔したプレアデス教国とスリーヒルズ連邦からも参加するからでしょうか。
この二国は私宛に手紙をよく送ってきますから。
「わかりました。資料はすでに提出してありますが、あれで問題ありませんか?」
「問題ない、ああいや追加がある、城の備蓄食料を最小限にした場合、どの食料を残すか、その数も含めて報告を」
「かしこまりました。最低限というと飢饉が発生し、他国からの援助が来るまでと仮定してよろしいですか?」
「それでいい」
それなら今回の会議の為に集めた資料の中に、保存のきく物や入手が容易い物が書かれていたはず。
それを参考にしたら……第一稿はこんなものでしょうか。
「シルフィー様、出来ました」
「……う、うむ、後で確認しておく」
小麦やトウモロコシ、米あたりを援助物資が来るまでの二十日間持たせる条件で算出しました。
ただその時になると足元を見る商人が出て来るでしょうが、その為の対策としてステージア様やリック様がいらっしゃいます。
商人をやっていらっしゃるから、そちらで大量に仕入れることが可能でしょう。
そして会議当日、午前中はお城の備蓄食料の会議なので王族や貴族たちが参加します。
すでに資料は配ってあったのである程度の修正だけで順調に終わりました。
そして昼からの輸入品の会議。
私は午前中と同じくメイド服で参加するつもりでしたが、シルフィー様からストップがかかりました。
「お前、そんな姿で会議に参加するつもりか?」
そう言われても私服なんてずっと着ていませんし、そもそも会議に相応しい衣装なんて持っていま……どこからかステージア様が現れて私を連れ去りました。
「さぁ~ここからはウチの出番や! シルビアをお姫様にしたるで!」
怪しい魔の手が!!
お着替えが終わり、鏡が目の前に置かれます。
誰ですか? この人は。
淡い朱色にシルバーの刺繍が施されたドレスを着た女性が鏡に映っています。
耳の上から細い三つ編みが後ろでまとめられ、シンプルなティアラが乗せられている。
誰かは知りませんが、こんなキレイな人が会議に来るのでしょうか。
そろそろ会議が始まりますね、会場に向かいましょう。
そして会議場に入ると周囲がざわめいています。
何かあったのでしょうか? 気のせいか私を見てヒソヒソ話をしているような……は! やはりメイドなどがこの場にいるのが不快なのでしょうか!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます