第116話
パルサー様の王族としての役割が潜在的な敵の調査・対策をする事ですが、私をディアマンテ龍王国に残した理由に疑問が残ります。
大使館の人間では気が付けない部分を調べさせる、というのが一番しっくりしますが、素人考えで発言しても意味が無いように思えます。
「とはいえ、こうやって毎日お城にお使いをさせるという事は、どうにかして調べ上げろ、という事なのでしょうね」
今日もお城にお使いに来ていますが、今日は手紙は手紙でも招待状です。
大使館で晩餐会をするのでその招待状になります。
流石にアウトランダー
今回はパルサー様の代理人なので正門からの入城となります。
要件は伝わっているのでスムーズに入城し、そして……いつものバルコニーに案内されました。
今日はないと思っていましたが……あるのですね。
今日は誰が来るのでしょうか。
ため息をついて庭を眺めて待っていると、随分と複数の声が聞こえてきました。
「待たせたなシルビアよ。今日は趣向を変えてバイキング形式と行こうではないか」
アウトランダー
そして背後に続く
そう、今日は五人兄弟が勢ぞろいしているではありませんか。
それは賑やかよね、五人がいてさらにメイドが複数、バイキング形式のため準備をする料理人などが大量に押し寄せてきたのですから。
せめてお手伝いを……いけないいけない、今の私はパルサー様の代理人、メイドの立場は一旦置いておきましょう。
「それでシルビアよ、今日は晩餐会の招待状を持ってきたのだったか?」
「父上、そういう事はこちらから聞く事ではありません」
「まあまあ良いではないかエクリプス。ワシ達の間で堅い事を言うな」
エクリプス王太子に注意されるも平然としていますね。
こちらとしてはさっさと用事を終わらせて帰れるのならその方がいいですね。
なので招待状を
「え? 帰っちまうのか? おいおいお茶の用意が出来てるんだから飲んでいってくれよ~」
と、
思わず振り向くとケーキを片手に手招きする
怖いはずの顔がニコニコ顔になり、五人の
ひょっとしてコレが素の態度なのでしょうか。
「あ、お父様のコレは気にしないでちょうだい。気が緩むとこうなるのよ」
第一王女のエルテナ様がお皿に並べられたケーキを手に取り、ご自身の小皿に移します。
小皿にはケーキが沢山……食べきれるのでしょうか。
「姉上、太りますよ」
「バッ! バカなこと言わないでコルト! 私は太らない体質なの! ケーキ一つや二つ、いいえ十個食べても太らないの!」
「十個食べたら間違いなく太ります……」
「エメロードまで! どうして意地悪いうのよ!」
それは意地悪ではなく事実なのでは? とこの場の全員が思った事でしょう。
甘いものがお好きなのですね、なら……あった。
「エルテナ様、こちらの紅茶をお飲みください」
茶葉が用意されていたので、私は手早く紅茶を淹れます。
「この紅茶? 少し酸っぱい葉だけど、なにかあるの?」
「こちらの紅茶は糖分の吸収を抑える働きがあると言われています。なので多少の糖分ならば体への影響は少なくて済むでしょう」
「まぁ! まぁまぁまぁ、まぁ!! そんな夢のような紅茶があったのね!」
「シルビア、私にも下さいな」
エメロード様も紅茶をご所望です。
やはり女性は体型に気をつけなくてはいけませんからね。
あれ? 私は何をしにここへ来たのでしたか?
結局招待状を渡して以降はいつも通りの雑談会になりました。
人数が多いのでいつもより疲れましたが。
さてパルサー様のお屋敷に……大使館に帰ろうと思いますが、昨日の事があったのでついついお城の中を見てしまいます。
単純な攻略の穴と考えるなら昨日思った通りですが、技術力の高いディアマンテ龍王国が穴を放置するはずがありません。
その穴を埋める技術があるはずですが……ハッ! いけません、私はそんな事をする為に来たわけでは……しかしパルサー様は
「やめましょう、私はメイドです、メイドはお屋敷を守り、ご主人様のお世話をするのが本分です」
しかしやはり気にはなります。
出来るだけ見ないように廊下を歩いていますが、見てしまいました、見たこともないモノが兵士の詰め所に置いてあるのを。
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