第66話
スリーヒルズ連邦のヒミコ様とのやり取りが終了して五日が過ぎました。
私とローレル様は料理を通じての交流を図るため、ソルテラ宮殿でエクシーガ大司教と打ち合わせをしています。
「うん、この料理ならプレアデス
「いえ、プレアデス
「なのでエクシーガ大司教しゃま、他国の使節団で料理を出す所との日程を調整して欲しいのでしゅ。こちらはいつでも大丈夫でしゅから」
「わかった。今のところ料理を出すと聞いているのは七か国。そちらの都合を聞きながらイベントを進めていこう」
「よろしくお願いします」
「よろしくお願いしましゅ」
さて、料理はこれで大丈夫なので、次にやる事の準備を進め……エクシーガ大司教が椅子に座ったままキョロキョロしているわね。
「エクシーガ大司教? どうかされましたか?」
「え!? い、いやいや、そのー何といいますか、料理が落ち着いたので、一緒に食事でもどうかと思いまして……」
「食事でしゅか? 今からだとお昼をご一緒する事になりましゅが……ああ」
ローレル様は何かを思い出したのか、少し天井を見上げて考えています。
「私はやる事がありましゅから、シルビアしゃんと二人で行って来てくだしゃい。シルビアしゃん、後は任せましゅ」
そう言ってそそくさと部屋を出て行きました。
ローレル様……わかっててやってますね?
しかしエクシーガ大司教にはお世話になっていますから、食事くらいご一緒して問題ないでしょう。
「それではご一緒致します。どちらに行かれますか?」
「市場から少し街寄りの場所に、キレイな店を見つけたんです! そちらに行きませんか?」
とても嬉しそうですね、食事をご一緒するだけで喜んでいただけるなら、たまにご一緒するのも良いかもしれません。
「はい、では参りましょうか」
ソルテラ宮殿を出て、エクシーガ大司教と雑談をしながら歩いていると、エクシーガ大司教はよく声をかけられます。
お店、街の子供、フードをかぶった女性、街を巡回する神兵(兵士)、大司教というだけではなく、エクシーガ様個人に人気があるように見えます。
そんな人と並んで歩いているというのは、どことなく誇らしく感じますね。
……逆に私なんかが一緒に歩いてていいのかしら。
「着きましたよシルビアさん。ここです」
到着したのは相変わらず丸い筒が並んだような建物ですが、お店の前にあるテラスで食べる事が出来るようです。
そういえばこの国に来てオープンテラスカフェのような形は初めて見ました。
「おしゃれなお店ですね」
「ぜひシルビアさんと来たかったんです! さあさあ、中へどうぞ」
案内されてはいると、中はプレアデス
なんでしょう、少し懐かしい感じがします。
「中はエルグランド王国みたいですね」
「ええ! そろそろ祖国が恋しいのではないかと思い、この店を探しました」
じゃあ少しは寂しいと思っていたのでしょうか。
「ありがとうございます。久しぶりにエルグランド王国の空気に触れられて、心が落ち着きます」
ニコニコなエクシーガ大司教と席に座りメニューを見ると、なるほど、食事もエルグランド風なのですね。
エルグランド王国と交易がされているので食材はあるのでしょうが……はい、割高ですね。
しかし出てきた料理は確かにエルグランド王国風、ええ、あくまでもこちらの人が思うエルグランド料理でした。
これは……早急にイベントを行いたい所です。
食事を終えて店を出ると、エクシーガ大司教がチラチラと見てきます。
「ありがとうございますエクシーガ大司教。久しぶりのエルグランド料理はとても美味しかったです」
「そうでしょうそうでしょう! プレアデスにはエルグランド王国の店がいくつもありますから、また他の店にも行きましょう!」
「ふふふ、ありがとうございます」
料理は美味しかったし、店の雰囲気も好みでした。
他のお店があるならぜひ行ってみたいですね。
「見つけました! シルビアさん、どこをほっつき歩いているんですか!!」
いきなり大声で呼ばれましたが、一体誰が……
「ヒミコ様? こんな場所で遭うとは奇遇ですね」
「なにを言っているの? さあ早くこちらへ!」
私は手を引っ張られ、それを見たエクシーガ大司教は慌てて追いかけてきます。
「ど、どちらへ行かれるんですか?」
「プレオ・ネスタ大聖堂に決まっています!」
プレオ・ネスタ大聖堂、ヴィヴィオ教の総本山ですか!?
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