第12話 10月20日

テスト前日。

隆に動画のことを聞いてみたかったが、どうやって話して良いかわからないまま過ごしていた、とりあえずテストが終わってから隆に話してみようと思う。




10月21日


テスト1日目、思ったより簡単だった。

孔明のおかげかな?

家に帰ると孔明から


『自己採点した?』

とLINEがきた。


『え?やってないけど』


怒りの諸葛亮のスタンプが送られてきた笑


『一応受験生だろ?それくらいはやれよ!』


『あっごめんなさい笑で、孔明はどうだったの?』


『多分3教科は全部満点だと思うけど・・・・』


え?まじで?こいつやっぱほんとに頭良いんだな・・・・







10月22日


2日目もなかなか良い出来だと思う。

家に帰って孔明に言われたから自己採点をしてみたが、予想通りまあまあ良かった。


中間テストが終わった・・・・


隆と話をしなくちゃと思った。

別に知らないふりをしたままでも良いのかもしてないが、やっぱりそれは違うと思った。

隆はバイトに行ったみたいだったんで、バイト終わりを見計らってコンビニに行くことにした。



「おつかれ!」


「おう、どうした?」


「いや、テスト終わったしさ、息抜き笑」


「もうちょいだから待って」


隆はジュースを2本もってコンビニから出てきた。


「どうだったテスト?」


「孔明に教えてもらったからさ、今まで一番良いかもな」


「やっぱ孔明ちゃんはほんとに頭良かったんだね」


「あいつさ、1日目の自己採点全部満点だったっぽいんだよな・・・」


「は?なにそれ?笑、やばくね?」


「ほんとに東大受かっちゃうかもな、あいつ」


・・・・・・


「あのさ、youtubeみたぞ笑」


・・・・・・・


「え?まじ?見つかっちゃった?笑」


もっと隆は動揺するかと思ったけれど意外といつもと同じような軽い切り返しをしてきたので


「タカシットって笑」


「おい!言うなよ笑、一度決めちゃうと後から変えられないんだよ笑」


「オリジナルのやつも聞いたよ」


「え?まじで?ちょっと恥ずいな笑」


「・・・なんか・・・ごめん、俺お前があんな風に思ってるって知らなかった」


思い切ってというよりは、素直に出た言葉だった。


「え?何が?笑、それよりちゃんと聴いた?『ジダンの頭突き』」

「オレあそこ気に入ってんだけど笑」


隆は反応は俺が想像した物とはまったく別のリアクションだった。

もっと深刻な話になるかと思っていた・・・・

隆がいつもの隆で少し安心したが、言い出せない間にずっと考えてきたことを隆に伝えたかった。


「お前さ、才能あるんじゃないかな?」

「このままyoutubeだけしかやらないのか?」


「え?」


「もっと、、、ライブとかやって色んな人にみてもらっても良いんじゃないか?」


中学の時、隆がサッカーを辞めると言った時、俺は素直に「もったいない」と思った、俺がどんなに努力しても追いつけない才能が隆にはあった。

こいつはプロになれるんじゃないかって思っていた。

俺も中学生だったし、隆が辞めるって言うんだから特には止めなかったが、今回は隆のラップを聴いて、その才能を試して欲しいと思った。

隆はやさしい、昔からそうだ。

多分、親父さんやお袋さんのことを考えて、この街に残って家の手伝いをすることを選んだに違いない、でも、サッカーを諦めた時みたいに、隆にこの才能を諦めてほしくないと思ってしまった。


「ライブ?お前文化祭の時断ったくせに笑」

「まあ、youtubeは世界中に配信できるしな、この街でもやりたきゃ出来るからな」


「いや・・・高柳さんの話じゃないんだけど。。。」

「あっ、高柳さんにさ、『俺みたいにこの街を出たことをない人間は外の世界をみた方がいいよ』って言われてさ」

「俺も隆も、この街以外知らないだろ・・・」

「俺、孔明や折原みたいに東京から来たやつとこんなに話したの初めてで、いろんな人間がいるんだ・・・ってちょっと思ってさ」

「ひょっとしたら、世界って俺が思っているりもう少し広いんじゃないかって思うようになってきたんだ・・・」

「お前、東京とか行ってみたら?」


・・・・・・・


「お前が一緒に行ってくれるなら考えてみるよ笑」


「なんで、俺まで?笑」


「オレ、こうみえて人見知りだからな笑」

「さみしんぼなんだよ笑」


「どこがだよ笑」



思い切って話してみたが、いつもの隆との会話で安心した。

テストが終わったから、久々にベースを触った。




10月23日


テストの採点が戻ってきた、思っていたより良い点数だった。

この調子だと、今まで一番良い点数になるかもしれない。



10月24日


5教科のテストの結果が出た、今まで一番良い成績だった。

嬉しかったのと、孔明のおかげだと思ったので、孔明に話しかけに行った。


「孔明は合計何点だった?」


「493」


「は?」


「え?だから5教科493点だよ」


「お前、すごくねえか?それ」


500満点中の493点だぞ?普通じゃないだろ・・・・

でも、東大を目指すやつはこれくらいは当たり前なんだろうか・・・・


「まあ・・・今回はまあがんばったし・・・」


・・・・・


たまたま折原が通りかかったので


「折原は、合計何点だった?」


「テスト?うーんと450点くらい」


・・・・・・・・・


なんだこいつらは・・・

東京の奴らはみんな頭が良いのか?

孔明はともかく・・・折原は・・・・・

アンドロイドは頭が良いのか?


初めて430点を超えたことに喜んだ自分が恥ずかしくなったが・・・

このまま頑張っていけば、隣街の大学だけじゃなくてもう少し上のランクを目指せるんじゃないか?


『お前が一緒に行ってくれるなら考えてみるよ笑』


隆の言葉を思い出した。

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