落ち着いたときこそ

シヨゥ

第1話

「優先度が低いあれこれが大事だと思うんだ」

 作業が一段落すると相方がそう言ってノートを取り出した。

「いきなりどうしたんだ」

「一段落したからこそ頭脳労働を始めようという提案だよ」

「嫌だよ。疲れているし」

「疲れていることを理由にしたら、このなにもない時間は失われてしまうんだよ?」

「いいじゃないか。休憩時間と思えば」

「そうこうしている内にまた小手先で出来る仕事に忙殺されて、脳死状態でひたすらに作業することになる。そうなったら脳を使うことなんて出来やしないんだよ」

「いいじゃないか。それで暮らしていけるんだから」

「今はね。でも将来は?」

 その質問に言葉が詰まる。それは漠然と感じていた不安だ。

「芯のないただの作業者は芯のある他の作業者に置き換えられるんだ。生き残るためにも、初心に立ち帰って、本当に成し遂げたいことを真剣に考えてみようよ」

 その提案を突っぱねられそうもない。

「だらだらとはやらないぞ。時間を決めて、しっかり休憩もとるからな」

「もちろん。ただ休憩を取りたいからって適当なこと言わないようにね」

 お互いに釘を差し合い会議が始まる。忘れていたことを思い出させる。そんな会議だった。

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落ち着いたときこそ シヨゥ @Shiyoxu

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