違う…

〈ユメノ視点〉








「・・・広い…」





母「そう?ここは小さい方だと思うわよ?」






1月6日の今日…

お母さんがお寺に行くと言って

メイクをしだしたから

「お寺?」と言って反応した




私も…占いとか好きだけど

お母さんも似たような感じで…






母「浄岳寺じょうがくじの住職は

   見えるって評判なのよ!」






霊感があったり…

透視できる人がいると聞くと

あちこちに顔をだしているらしい…





( 血は水よりもって事ね… )





駐車場を降りて歩いて行くと

おじさんのお寺とは違って

石階段も立派で入り口には

銅像のが並べられていた…






「・・・ねぇ…私こんな格好で大丈夫?」






母「えぇ?笑」






敷居の高そうな雰囲気に

正装して来る様なお寺なんじゃと

不安になっていると

お母さんは可笑しそうに笑い出し

「着物でも来てくるつもり?」と言って

慣れた様にスタスタと歩いて行く…




お母さんいわく…

このお寺はそんなに大きくもないし

敷居の高さもいたって普通らしい…





( ・・・全然違う… )





お寺のすぐ隣りには

住職さん達が住んでいるであろう

綺麗な日本家屋の建物があり

凄いなと眺めていると

中から女の人が出て来て

このお寺の坊守さんかなと思った






「・・・坊守ぼうもりさん?」





母「えっ?なに??」






50代位の女の人は

服も髪型も綺麗に手入れされていて

「オバさん」なんて呼ぶ雰囲気の人じゃなかった…





( ・・・・・・ )






何もかもが違うなと思い

顔をキョロキョロとさせて

歩いているとお母さんから

恥ずかしいからちゃんと歩きなさいと

叱られてしまった…




母はここの常連らしく

名前を告げると中へと通されて行き

中にいたお坊さんは白と黒の袈裟ではなく

濃ゆい紫色をした綺麗な袈裟を着ていた





( ・・・おじさんに似合いそう… )





目の前の住職さんは

見るからに品がありそうな

立ち振る舞いをしていて

「どうぞ」と高そうな座布団を

指差す手つきも…綺麗だった…





( ・・・・・・ )





お母さんが家の事などの相談をしている間

建物の中を見渡しながら

儲かってるのかなと

そんな事ばかりを考えていて

帰り際に住職さんが差し出して来た

暦と年間行事が書かれた

パンフレットの様な物を見て

お母さんが一枚一枚筆を取って書いていた

姿を思い出した…





( ・・・違う… )





私が知っているお寺とは全く違い

おじさんの実家がこんなお寺だったらなと

何度も思ったけれど…





「・・・高そうな紙…」





パンフレットに使われている紙は

分厚くしっかりとしていて

綺麗な色で印刷がされていた





( ・・・なんだろ… )





何もかもが羨ましく輝いて見えた筈なのに

綺麗なパンフレットを見て

どこか寂しい気がした…





「・・・手書き…しないのかな?」





























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