だめな友達…

〈マリコ視点〉









マリコ「へっ!?」






「・・・どうしよう…」







紹介した相手を遊園地に残したまま

勝手に帰って行ったと聞き

説教でもしてやろうかと呼び出し

話しを聞いていると…





( ・・・えっ…なに4人?? )






リップ男と言う

あだ名がつけられた健太郎君以外に

3人の男の名前が出てきて…

2日の内にその3人全員とキスをしたと聞き 

空いた口が塞がらないまま夢乃を眺めていた…






マリコ「・・・えっ?何??

   不動産屋の年下君とは付き合うの?」






「・・・分からない…」






マリコ「60%の何とか先輩は?

   彼女がいるんじゃないの??」






「・・・いる…」






マリコ「1番気になるのは

   バーのお兄さんなんだけど…

   あの後もずっと会ってたわけ?」







グッと体を夢乃に寄せて

俯いている顔を覗き込んで問いかけると

夢乃は「偶然…会って」と…

あのバー以来、お兄さんとは

偶然何度か会っていて…

自分からキスをしたらしい…






「・・・でも…全然相手にされなくて…」






マリコ「・・・・・・」






年下君は夢乃のに気があり

今回の契約では大分サービスを

してくれたみたいだけど…





( ・・・ちょっと…怖くない? )





付き合ってもいないのに

一方的にそこまで良くされてしまうと

中々断り辛くなりそうだし

何かある度にネチネチと

恩着せがましく言ってきそうな気がした…





そして…期待していた運命の先輩は

夢乃が思っている通り…

軽い気持ちの遊びの様な気がしたし

夢乃の様に声をかけられている子が

沢山いそうだなと思った…






( ・・・なんて言うか… )






厄介な糸達に

引っ張られている様に見える

友人に目を向け…




改めて恋愛運が無いなぁと

頭が痛くなってきた…





「うちに来る?」と

言ってあげたいけれど

アタシも来月から

たっちゃんと一緒に住む事になっていて

この部屋の契約解除の申請も終わっている…







マリコ「家電品はさ…

   来月まで待ってもらったら

   アタシの今使ってるやつあげるから

   その先輩に頼るのはやめなよ!」






明らかに引っ越し後に

部屋に入り浸ってろくでもない

関係だけが続きそうな男に思え

運命だろうが何だろうが関係なく

スパッと切ってしまった方がいい気がした





夢乃は自分の唇を撫でながら

「キス…」と小さく呟き

ゴロンっと床に寝転がると

「おじさんに会いたい」と

クッションに顔を埋めて言った…






マリコ「・・・はぁ…

   番号も教えてくれなかったんでしょ?」






夢乃の言うおじさんは

キスの途中で電話が鳴り出すと

夢乃から身体を離してスマホを確認し

「気をつけて帰れよ」とだけ言って

その場から帰ってしまったらしい…






( ・・・どう聞いても脈無しだよね… )






住む世界が違うと突き放されているし

おじさんにその気はない様だし

今回のキスも夢乃の方から

積極的にした様だった…






マリコ「とりあえず…

   おじさんの事はいいから!

   不動産屋の年下君どうするの?」






「・・・後藤君ね…はぁ…」






「どうしよう」と悩んでる声は聞こえても

クッションに顔を埋めたまま唸っている姿は

おじさんの事ばかりを考えているのが分かり

「はぁ…」と呆れたタメ息を零した…






マリコ「・・・先輩もだけど…

   後藤…君?も部屋に来る気満々でしょ…」






「・・・・アタシ風俗嬢じゃないもん…」






夢乃だって馬鹿じゃないんだから

近づいて来ているその男二人が

ニコニコと笑っているだけの

善良な紳士じゃない事は分かっている様で

部屋に来たその後の事も…

ちゃんと理解している…






マリコ「年下君とは…

  ちゃんと付き合えるならいいけど…

  そうじゃないなら面倒くさそうだね…」






「・・・・担当別の人が良かった…」






マリコ「そもそもお金も無いのに

   贅沢な部屋ばっかり希望するから

   こんな事になるのよ!」






「・・・・だって…」






マリコ「ただでさえ美容院だの

   マツエクだのネイルだので

   金遣い荒いんだから

   1Kの部屋で我慢するべきなの!」






少しキツく言って聞かせると

夢乃は「だって…」と何度も呟いていて…

「だいたい男を軽く、甘く見過ぎ!」と

ずっと前から言いたかった事も含めて

延々と説教をし続けたアタシも…

夢乃自身も…





10日後には…

住む場所も仕事も…

何もかも失ってしまうなんて

この時には思ってもいなかった…





あの日…

運命の相手ではないと言われた日から…

夢乃の〝運命〟が大きく変わっていたなんて…

気付いてなかったから…















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