〈マリコ視点〉









マリコ「えっ…60%?」





久しぶりに会った夢乃から

あの後もう一度一人で占いに行った話を聞き

運命にパーセンテージがあるなんて

初めて聞いたと驚いた…





「アタシも驚いたわよ…」





夢乃は自分の左手を顔の高さまで上げ

「引っ張られてるんだって」と呟き

何もついていない薬指を「えいッ…えいッ…」と

引っ張る様な間抜けな仕草をしている…






( ・・・・複数の相手… )






「ガソリンスタンドで店員さんに

  偉そうに「満タン」とか言ってさ!

  窓拭いてもらっても当たり前みたいに…

  あんな彼氏コッチが恥ずかしいわよ!」






「スーパーに買い物に行ったら

  お茶とか牛乳とかカゴに入ってて重いのに

  持とうともしないし…あんなのイヤッ!」






「ドライブデートなのに

  スピードリスニングとか言う

  英語の教材CDをずっと聞かせてくるとか…

  もうホント…無理!!」






夢乃の過去の恋愛は…

本当にしょうもない理由からの

別れが多くて…

別れたと思ったら

翌月にはスケジュール帳に

新しい記念日のマークが

つけられていて…




運命10〜20%の相手ばっかりと

出会っていたのかなと思い

夢乃の薬指に目を向けて

〝複数〟ってまたそんな複数なんじゃ…と

少しだけ不安になってきた…






マリコ「・・・・その先輩は?」






「あぁ…神宮寺先輩?

  カッコいいけど…彼女いるし…」






そう言って

人が作ってあげた明太子パスタを

クルクルとフォークに

巻き付けて解いてを繰り返している…






マリコ「60%は中々出会えないんでしょ?」





「・・・・うーん…」





マリコ「桔平君に負けないイケメンなんでしょ?」






「・・・・うーん…」






マリコ「・・・・・・」






イマイチ乗り気に見えない夢乃に

なんかあったのかなと思いながら

スーパーで買った安いワインを

夢乃と自分のグラスに注いでいき

「何…気になる相手でもいるの?」と

問いかけてみた…






「・・・・・・」





マリコ「・・えっ…いるの??」






今までの夢乃ならもっと騒いで

そのイケメン先輩に熱をあげそうなのに

そうじゃないから何となく問いかけた質問に

何も答えないから誰かいるのかと思った





「・・・不動産…や?」





マリコ「不動産??」





夢乃は部屋を探しに通勤途中にある

不動産屋へと立ち寄りって

一つ年下の担当君に食事に誘われているらしいけど…






( ・・・なんか…違う気がする… )






普通ならもっと…

「どうしよっかなー」と声を弾ませて

話しそうなのにそうは見えないし

どうでもいい相手の話をするみたいに

空を見てパスタの麺をクルクルと

巻き続けている…






マリコ「・・・・なんか…あった?」






「・・・んー…

  麻梨子が羨ましいなって…」






マリコ「えっ?」






「運命の相手にちゃんと出会えて…

 ちゃんと付き合って…

 プロポーズまでされて…

 来年にはウェディングドレスだって着れて…」






つい1ヶ月前までは

自分もそろそろかもと一緒になって

騒いでいたのにと肩を落とす夢乃に

「まだ24歳じゃん」と言うと

少し唇を突き出して

「そんなに若くないらしいよ」と呟いていて

「はっ?」と聞くと「何でもない」と

フォークに巻き付けたパスタを頬張っていた






( ・・・誰か紹介してあげるか… )













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