第2話:把握とスキル、そして可愛い。

「な~に。君が憧れた異世界じゃないか。もっと喜ばないのかい?」


 と言われるが……。


「い、いや突然だったし……なんなら準備も何もしてないし……」


 そりゃそうだ。

 突然すぎる。

 困惑するのもしょうがない事だろう。


「まあまあ。許してよ。チートあげるからさ」


 と《多元存在アカシックレコード》は言う。なんだか気持ち悪いやつに見えてきた。


「いや、怪しいだろ。そもそも無理やり誘拐してるし信用ならないんですが?」


 さすがに反論する。


「まぁ~そうだよねぇ~。でも信じてもらうしかないんだよぉ……」


 と弱々しい感じにすり寄ってくる。

 ……本当気持ち悪く見えてきた。こいつ嫌いかもしれん。


「しょうがない。許しますし信用しますよ」


 そう答えて様子を伺う。

 

「はぁ~よかった。じゃあ早速チートについて話そうか」


 話を進めてきたので


(ちっ、すぐには正体現さないのか。話進めるか)


 内心毒づきながらも


「わかりました」


 と答える。


「まず、君には最大限のチートをからね。

 どうしようかなぁ~」


 そう言い放ち突然思考に耽り始めた。


 あ、これなに言っても聞かない状態だな)


 と感じたので《多元存在アカシックレコード》をもう一度まじまじと見てみる。


「よし決めた。君にあげるチートは管理者権限相当のスキルだ。

 それでいいかい?」

「内容聞かせてもらってもいいですか?」

「あ、そうだったね。でもそんなに警戒しなくてもいいじゃないか」


 ちっ、バレてたのかよ。まあいいや。僕にどうにかできそうもない。

 


「はいはい、もう警戒しないから。話して。早く」


 と面倒くさそうに答え、抵抗を諦めるという意味も込め仰向けに倒れる。


「わかったよ。ふぅ。

 名前だけ言うと、

 スキル名は世界機関World System

 内容は

 ・システム世界操作

 ・最上位権限

 て感じだね。君のことだから説明は不要だろう?」


「ん、ま~ね。パソコンの操作と考えれば問題ないでしょ」

「一応知識の補完はしておくよ。■■■■■■■■■、■■、■■」


 と聞き取れない言葉が聞こえたと思った瞬間、


「いっっっっっったああ!!!! うあああああ!!!!」

 と激しい頭痛が僕を襲う。


「あ、ごめんごめん。■■、■■、■■」

 と言うと


「はぁ、はぁ、はぁ……急に何なんだよ!」

 と怒る。


「言ったろ? 知識の補完って。自分の記憶を探ってごらん?」


 ――――と言うので色々考えてみる。


「なるほど。チートスキルの説明と転生する世界の説明ね。それはありがたいけど嫌なことしてくれるね?」


 と返す。


「いや本当にごめんて。許して?」


 そう言って目をうるうるさせる。


「はいはい許すから。こっちくんな」


「ありがと。それ――」


 と《多元存在アカシックレコード》がなにかを言いかけると


「あ! やっと見つけましたよ! 《多元存在アカシックレコード》さん何やってるんですか? そんな少年を誘拐してきて!

 転生のことならわたくしリーディンに任せてくださいとったはずです! まだあのときの失敗を怒ってるんですか?もう何百年経ってると思ってるんですか!」


 と早口でまくしたてる紺色の髪の女の子が一人現れる。


「え、え~と、誰かな?」


 と聞いてみる。


「話し聞いてました?もう一度言いますね? 私の名前はリーディンです! こんな感じですが私は転生神なんですよ? えっへん!」


 と少ししか膨らみがない胸を張ってみせる。


(可愛いな……)


 と癒やされていると


「ちょっと! 聞いてるんですか!?」


 頬を膨らませて怒ってきた。


「あはは、ごめん。聞いてなかった」


 冗談を言ってみる。


「んもー! なんで話聞いてないんですか!」


 可愛いなぁ……よし。ここはこう言ってみよう――――


「なんでかって、まあ~可愛いから?」


 からかうような顔をして言い放つ。


「も、もぉ……! そんなこと言わないでくださいよぉ……そ、そんなんで騙されると思ってるんですか!?」


 若干顔を赤らめながら言っている。やっぱ可愛いなこの子。


「いやいや、聞いてたから。冗談だっての」

「も~! からかわないでくださいよ……!」


 と怒っている。

 可愛い。

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