第2話 異世界

すみません。2話目のコピーに失敗してました。

投稿し直しましたので良ければ見てやってください。


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 すんません。調子に乗ってました。そんな事全然考えてません。ホントです。信じて下さい。


 それでは。

 改めまして,ロックことハーロック・ロリングストンです。前世の名前は「真関 裕二」だった気がします。

 性格とかは前世の自分だと思いますが、自分の個人的な記憶とかの詳細に付いては、はっきりとしません。親の顔とか、どこに住んでたとか、どんな生活をしていたとかほとんど記憶にありません。学校自体は知っていますが自分が通っていたかどうかとかは分かりません。なん歳まで生きたのかとかも。


 ですが、逆に知識の方は不思議なことに、その場で実際に辞書を読んでいるのか、百科事典でも見てるのかの様にスラスラと出てきます。最初は少しずつ思い出すといった感じでしたが、その内容には間違いは無いようです。色々面白い知識とかがあって楽しくて、とても便利です。ラノベのお約束とかね。自分は無限知識と呼んでいます。


 でもまあ、あまり有効活用出来てません。子供ですので相手にもしてもらえません。どこからその知識を得たのか説明できないし、辺境の村なんでそこまで頭のいい人がそんなにいません。だから理解してもらえないです。

 いても教会の神父さん位ですかね。しかし、教会は色々まずいです。知識をひけらかすと異端審問とかされそうです。恐ろしい所です。

 それに色々試す時間やお金の余裕もないから無理ですしね。がっかりです。


 ついでにいうと、定番のトラックにひかれたとかの死んだ原因とか、生まれ変わった理由も分かりません。

 神は死んだ。いえ、会っていないし、天国も行っていないと思います。派手なチートも特に貰ってないみたいです。あっ、無限知識がチートって事ですかね。そんなに役に立ってないですが。


 もう恥ずかしい記憶になってますが、メニューとかを呼び出そうと、色々なキーワードを唱えましたがダメでした。

 電脳空間に閉じ込められたとか、神の箱庭での遊戯に巻き込まれたとかいった感じでも無さそうです。


 自分が生まれ変わったこの世界は、ケガをすれば血の流れる現実の世界で、大事な一日一日を精一杯生きて、苦しくてもその中に笑いがある普通の人々がいる、そんな当たり前の所なのだという事です。


 でも、少しだけ違う所があるとすれば、それはこの世界には魔力という物があって、そして魔獣という普通の人々にとって、とても恐ろしい存在も同時にいるという点ですか。


 まあ、細かい事はこの際、どうでも良いと思います。とにかく、転生したんだろうという事だけ確かなら、「大丈夫だ、問題ない」、はずです。


 俺は生まれ変わって得た新たな人生を全力で面白おかしく、そして出来るだけ後悔のないように生きると決めた。

 ただ、それだけなんだから。


  + + + + +


 とまあ、そんな事は今はどうでも良い。

 それよりも、今日は「精霊の導き」と村で呼ばれる、いわゆる成人の儀式の日だ。


 この儀式はこの辺りだけに古くから伝わる土着の精霊信仰のもので、この日は村の近くにある深い森の奥にある神殿まで、今年十歳になった子供達が皆で行ってお参りするというものだ。


 土着の精霊信仰というのは教会の教義に反するという事で異端宗教扱いされていて、この儀式は村にある教会にはずっと秘密で毎年行われている。ちなみに教会の宗教はオイエス教という。教義は良く知らない。


 その儀式に今年は、俺がついに参加できる歳になったことから、期待で今からワクワクが止まらない。

 なぜそんなに期待しているのかというと、儀式に参加するとなんと、スキルというのか職業というのかよく分からないがそういうものを、一つだけだが得られるというのである。

 それが神殿をお参りしたものに漏れなく与えられるという、大盤振る舞いなのだからいうことはない。


 得られるスキルらしきものの種類は色々あるらしいが、おおむね今までの人生の縮図というか自分のおこなってきた仕事や素質のある事の中から得られるらしい。全然知らない職業なんかにはならない。だから家を追放されるとかは起きない。多分ね。フラグじゃないよね? まあいい。

 だから、欲しいスキルらしきもの(面倒くさいので以下スキル)がある奴は皆、早めにその事を練習したりその仕事についたりする。


 スキルを持つことによる恩恵が当然ある。

 たとえば、剣術のスキルを得れば当然剣術が上手くなる。

 それは体の効率の良い動かし方や動作の正確さ、そしてなんと知りもしないはずの型なんかが身体や知識にすり込まれるというものだ。良くて達人、悪くてベテランになる。成れてしまう。


 まあもっとも、それに耐えられる身体が出来てなくちゃ意味がないんだけどね。だけど、頑張って身体を鍛えさえすればいつかはそこまでに達するという事は約束される事になる。皆、メッチャ頑張るよね。

 前提として、そんなすごいスキルはそうそう得られないって事を除けばだけど。


 あと、農家の家の子が、家の仕事をがんばって手伝っていたら欲しくもない農家のスキルに成ってしまっていたなんて悲劇もたまに起こっていたりする。かわいそうに。


 ともあれ、俺も剣術は云い過ぎでも、一段落ちた剣士のスキルが得られれば食うに困らないし、村長をついだとしてもあって困らないだろうと剣の訓練をそれなりしてきた。まあまあ自信もある。


 ちなみに、剣士のスキルは剣術より効果が低い。応用範囲が広い分、浅く広くって感じなのかな。脳の記憶容量とかがネックになってるのかも。やはり、一点突破が最強なのか。適材適所って気もするけど。要は使いどころ次第かな。


 得られたスキルを確認する為には本人が神殿に行けばいつでも出来るらしい。それ以外の方法は確認されていない。まあ、スキルのことを知ってるのは村の住人しかいないし、基本的にスキルが変わる事などないんだからそんな事どうでもいいか。


 ああ、ホントにどうでもいいけど早くスキル欲しい。早く夜にならないかな。

 そわそわ。


  + + + + +


 そんなこんなで、森の奥の神殿に行く夜遅くになった。教会の人たちに見付からないように深夜まで待って、行動する必要がある。俺は家族に頑張って来いと応援されて家を出た。今更頑張っても結果は変わらないよねと思いながら。

 周りを見ると今年対象になっているそれぞれの家から、ぱらぱらと人影が出てきて静かに森の入り口の方に向かって歩いて行く。俺も遅れまいと後に続く。


 森の入り口近くには、今回子供たちを護衛してくれる大人たちが既に待っていた。俺の父親も村長だからかその中にいた。まさか親ばかを発揮して無理についてきた訳じゃないだろうな。まあ息子の晴れ姿を一目見たいとか分からんでもないけどさあ。別に大したことがある訳でもないんでしょ? え、あるの? フラグとかじゃないよね? 大丈夫だよね? 頼むよホントに。


 そんな事を考えている内に全員集まったようだ。

 さあ、森の奥の神殿に向かって出発だ!




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