マセキ・コントローール! ~異世界転生放浪旅編~

さんご

プロローグ

第1話 目覚め

 僕の名前はハーロックです。

 正式に言うとハーロック・ロリングストンです。

 友達からはロックくんとあだ名で呼ばれる事が多いね。

 王国の端っこにあるロリングストン村の領主の長男だよ。


 僕の憶えている一番古い記憶は地面を歩いているアリの群れをしゃがんで眺めているというものだった。

 視界の下の方を左から右へとチョコチョコと可愛らしく規則正しく整列して移動していたアリをいつも楽し気に飽きもせずに見ていた。


 だけどそれはなぜか僕にしか見えていないみたいだった。可愛いのにね。勿体ない。

 領主である父親のバズロックに上から覗かれて皆には見えないアリをじぃーっと見ている変わった子だと良くからかわれていた。

 その頃の僕はいつもなんでかぼーっとしている事が多かったらしくてそんな風に笑われている状況をよくわかっていない様子だったみたい。


 ある日いつもの様にアリたちの事を見ていたらいつもとは違う事が急に起こった。

 アリの行進がなんでか急に終わっちゃったんだ。

 もうアリの行進が二度と見られないのと涙目になりながら思っていると不意にどこかから女の人の大きな声がはっきりと聞こえてきた。

 ママンでもお姉ちゃんでもない少し冷たい感じの怒ったような声だった。


『パーソナルデータのダウンロードが完了致しました。

 引き続きデータファイルの展開及びインストールを開始いたします。

 了承しますか? 』


「はい? お姉ちゃんはだれ? どこにいるの? 」


 急に聞こえて来た声にびっくりしてキョロキョロと辺りを見回してみても近くには誰もいなかった。


『了承を確認致しました。処理を開始します。』


 女の人の声が又したと思ったら急に眠たくなってきて覚えているのはそこまでだった。

 後から家族に聞いた話によると僕は気絶して地面に倒れているところを偶然通りがかった村人に見付けられて慌てて家に運びこまれたらしい。


 今まで割と健康だったのに急にこんな事になって家族にすごく心配されたみたいで付きっ切りで看病されたらしい。

 それから四、五日の間結構な高熱を出して寝込んだみたいだ。

 寝込んでいる最中にも知らない女の人の声が聞こえていたような気がしたけど話していた内容は治ってからは全く覚えていなかった。

 ただなにかの事で相手とケンカでもしていた様な気もする。


 数日して熱も下がってようやく目が覚めると頭の中にあったバラバラに放置されていた積木が綺麗に整理整頓されて片づけられた後のようにすごくスッキリとし僕の自我は何故か「俺」に変化していた。


  + + + + +


 あの変化からもう五年がたって俺も今年で十歳になった。

 これまでの日々でも色々あったけれど森の神殿で今日の夜に行われる「精霊の導き」によってもっと色々起こると思う。

 だけどこれまでと同じように仲間の皆と一緒に何とか乗り越えて行けると思っている。


 俺の名前はハーロックだ。

 正式にはハーロック・ロリングストンだ。

 仲間からはロックとあだ名で呼ばれる事が多い。

 王国の辺境にあるロリングストン村の領主の長男だ。


 そして前世の記憶を何故か取りもどしてこの世界を端から端まで好きなようにトコトン突き進んで行ける覚醒者の俺は皆が最も憧れる「異世界転生者」だっ!!


「ヒャッハーッ!! 世界の全ては俺のもんじゃーっ!!」







―――――――――――――――――――――――――――――――――


念の為に解説して置くと、

+ + + + +

で区切られた文章は時間経過を、

∼ ~ ~ ~ ~

で区切られた文章は場面転換をしています。

参考にしてね。






  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る