第9話 黄金の一勃ち
「な、なになになに!? なんなの、これ!?」
いきなり股下で光りだした俺の股間に驚いているパコリーヌ。
彼女は見たことがないのだろう。男が魔法を使っている瞬間を。
サキュバスたちにとってこの学園に来る男たちは搾取対象でしかなかったはずだ。
抵抗する技もきっと力技。
それらは魔法で無力化できる。
なら、俺たちが対抗する方法はないのか?
答えは否だ。
俺たち男にはあるじゃないか。サキュバスにはなく、男にしか付いていない立派なそいつが……!
苦楽を、人生を共にしてきた愛棒がな!
「本当に見覚えはないか?」
「……っ!? う、嘘でしょ? もしかして魔法を……!?」
「そうだ。俺は股間に溜められた魔力を使って、魔法を放とうとしている」
股間に宿りし魔力に目を付けたのは安庵島に来てからすぐだった。
童貞チェックの際にクラリアから魔法使いの存在を聞いた時から、どうにかして魔法を使えないかと思案していたのだ。
霧島さんに頼み、魔法の資料を運んでもらい、昨晩全てを魔法の実験に費やした。
そして、俺は魔法の習得に成功。
なにも童貞は三十歳に達しないと魔法を使えないわけじゃない。魔力を自覚できるのが三十歳になってから、というだけの話。
俺は童貞チェックのおかげで自身の魔力を認識することができた。
その結果が光る股間である。
今朝は消耗してしまったせいで普段よりも深い眠りについてしまったがな。
「に、人間がたった一日で魔法を? 笑わせないでよ」
「笑いたいのは俺の方さ、パコリーヌ。この島に来れる男子の条件は国が認めた優秀な遺伝子の持ち主。一日あれば魔法くらい使えるようになる」
「…………」
「今ならまだ戻れる。普通の友だちとしてやり直さないか?」
「ふ、ふふふっ……あははははっ!」
俺の提案が可笑しいのかパコリーヌは大きな口を開けて笑っている。
堪えきれずにバンバンと俺のおなかを叩く。
「忘れちゃったの、みやっち? あーしがクラリアから助け出した時に使った魔法をさぁ!」
覚えているとも。
それを理解したうえで俺は彼女に最初で最後の和解案を提案した。
だが、残念ながら彼女とは一戦交わらなければならないみたいだ。
「やってみろ」
「えっ……」
「お前の魔法で萎えさせられるものなら試してみたらいいさ。だが、一つ忠告しておく――あまり俺の愛棒を舐めないほうが良い」
「は? ジュポジュポ舐めるものじゃん。いいよ、バキバキをシナシナにさせてあげる。いつまで強気でいられるかな?」
まだ自分の立場が上にあると勘違いしているパコリーヌは意気揚々と手を掲げる。
そして、光り輝く俺の股間へと叩きつけた。
「【
しかし、何も変化はない。
俺の股間はまばゆい光を放ち続け、霧散したのはパコリーヌの橙色の魔力。
「あ、あーしの魔法が効かない!? な、なんでっ!?」
「よく思い出してみろ。俺に大量摂取させたものを」
「……ま、まさかあーしの体液の効果で……!?」
「気づいたか。俺の魔力を高めたのは……お前だぜ、パコリーヌ」
媚薬を投じられたことによって、より強固になった股間棒。
激しく精嚢が稼働することによって作られるのは子種だけじゃない。
魔力だって生み出されていたのだ。
魔法と魔法がぶつかる時、より魔力が多い方が勝つ。
パコリーヌは俺を犯す前に、自らの首を絞める過ちを犯してしまっていたのだ
……さて。
「次は俺の番だな、パコリーヌ」
「ひっ!?」
パコリーヌは襲い掛かる恐怖に顔を引きつらせる。
こうなってしまった時点で彼女は詰みだ。
逃げようにも、拘束した男を目の前にしてヤラなかったサキュバスとして一生の恥を背負って生きていくことになる。
淫行をしない淫夢魔など嘲笑の対象でしかない。
パコリーヌはこの盤面になってしまった時点で、俺の魔法を受ける未来が確定していた。
「覚悟しろ、パコリーヌ。少しだけ痛い目に遭ってもらうぞ」
「う、うるさい! あーしはサキュバス! 童貞なんかに負けたりしない!」
彼女は真正面から俺の魔法を受けきる意思を固めた。
グッと腰を落として、身体を密着させる。
しかし、そうはさせない。
軽い彼女の体ごと腰を浮かせるなど容易。
イメージしろ。誰にも止められない、どこまでも自由に、雄大に伸びる姿を。
壁を、雲を、天を突き抜ける偉大さを!
わからせてやるんだ、俺の愛棒の力で。
「【
「ひゃっ、うそっ……! こんな力強い硬さ……聞いてことがな――きゃぁぁぁぁぁぁっ!?」
勢いよく上へと伸びる光の股間棒。
直撃したパコリーヌは耐えきれずによだれを垂らしながら宙を舞う。
あくまで彼女を攻撃したのは魔力で作り上げられた光の棒。
それもパンツ越しだ。決して童貞は失っていない。
プルプルと生まれたての小鹿のように体を震わせるパコリーヌ。
【幻光の性刃】によるダメージが残っていて、上手く起き上がれないのだろう。
俺は倒れ伏すパコリーヌに近づくと、手を握って立ち上がらせた。
「パコリーヌ……」
「……ば……ご……っ……ま……」
呼びかけても彼女はブツブツと呟くばかり。
加減は出来なかった。
中途半端な魔法では反撃されただろうし、威力を調整できるほど腕は磨けていない。
限られた時間で俺にできたのは魔法を覚えるまで。
だからこそ、魔法を使うような真似は避けたかったのだが……どうしても童貞は捧げられない。
俺の股間に晴夏の未来がかかっているのだから。
「とにかく今はいったんパコリーヌを寝かせて」
「すごかったぁ……!」
「……えっ?」
俺の言葉を遮ったパコリーヌは両肩を抱きしめて、ブルリと体を震わせる。
水音がしたので下を見れば、彼女の代名詞になりつつある水たまりが出来上がっていた。
しかし、パコリーヌは全く気にした様子はない。
興奮して、テンションがおかしくなっている。
「みやっちの魔法棒が一瞬だけあーしを貫いた瞬間、今まで感じたことない快感が体を走って……! 今もその快感で、あーしヘンになっちゃってる……!」
テンションが変な方向にハイになっている彼女の目の焦点は合っていない。
はぁはぁと息を荒くさせ、ギョロリと獣のように鋭い双眸が俺を捉える。
マズイ……!
嫌な予感がして、一歩後ずさるも時すでに遅し。
パコリーヌは俺の胸もとへと飛び込み、顔をグリグリと押し付けた。
「み、見つけた……あーしの、あーしだけの――」
「――ご主チン様……!」
「……嘘だろ……?」
これは余計厄介な展開になってしまったかもしれない。
だらしないとろけ顔を晒すクラスメイトに思わず頭を抱えるのであった。
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