俺をベッドに押し倒してくるえっちなアイドル先輩
俺の妹『
一歳年下で、気難しい年頃となった今――俺と楓の関係は。
「
めっちゃ仲が良かった。
本当の兄妹……いや、それ以上の蜜月の仲。前世は恋人同士だったかもしれない疑惑あり。毎日、ゲームをしたり、ラインしたりするくらいお互いを信頼し合っていた。
楓は目を星のようにキラキラ輝かせ、俺に“すいっち”を向ける。今遊んでいる暇はない。先輩の件が優先だ。
「楓、話があるんだ」
「う~ん? 話ぃ?」
俺と楓は身長差があるから、楓が自然と上目遣いになる。うん、今日も可愛い。
「実はな、この家に『先輩』が
「は? 何言ってるの、啓にぃ……頭打った?」
「打っとらん。冗談じゃないんだよ、今俺の部屋にシャツだけ着た半裸の先輩がいるんだよ。助けてくれ」
「た、助けてくれって……えっ! 本当に先輩さんがいるの?」
「ああ、本当だ。下着もつけてない先輩がいる。このままだと俺がどうかなりそうだ……楓、悪いんだが下着を貸してやってくれ」
「ええッ!?」
さすがに顔を赤くし、ドン引く楓。
ですよねぇ……。
当然の反応だし、いきなり下着貸してくれとかキモすぎるよな。だが、そうも言っていられない状況なのだ。許してくれ、我が妹よ。
「マジなんだから仕方ない。一度、来るか?」
「マジぃ!? わ、分かったよ」
俺は楓を連れ、部屋へ向かった。
◆
「このガチアイドルが『
「…………うそ」
紹介すると楓はカチコチに固まっていた。驚きすぎて石像になってしまったようだ。なんてこった、こんな衝撃を受けるとは想定外。
「先輩、このマフィンのような髪色をした女の子は、俺の妹で『楓』です」
「わぁ、可愛い妹さんね。よろしくね」
楓の手を取り、ぶんぶん振る先輩。しかしながら、楓は石化して微動だにしない。こりゃイカンな。ショックがでかすぎた。
「おーい、楓。戻ってこいって」
俺は自然と楓のおでこに手を当てた。すると、パチクリ目を覚ましして楓は動き出す。
「け、啓にぃ!
「なんだ、楓は知っていたのか」
「知ってるよー! 有名人じゃん! アイドルユニット『ウィンターダフネ』のメンバーだよぉ!?」
アイドルユニット……?
ウィンターダフネ……?
「そこまでは知らん」
「知らんって、啓にぃ……この前、テックトックで見せたじゃん。踊りがキレキレで凄いんだよ~」
あー、三日前にそんなのを見せてきたな。興味がなかったので忘れていた。俺は先輩がアイドルだってくらいしか知らなかったが、そんな凄いユニットだったのか。
「とにかく、先輩の下着を頼む」
「わ、分かった! じゃあ、代わりに買ってくるよ」
「なるほど、その手があったか」
俺は楓にお小遣いを渡した。
「ご迷惑をお掛けします、妹さん」
「か、楓でいいですよぉ~。あたしも和泉さんって呼んでいいですか!?」
「じゃあ、名前で」
「わぁ! 憧れの人を名前呼びできるとか夢のよう。啓にぃ、凄い人を連れてきちゃったね。元から好きだけど、もっと好きになったわぁ! じゃあ、行ってくる」
テンション爆上げで部屋を去っていく楓。あんなに
「とても可愛い妹さんね」
「ええ、あの笑顔には救われます。だから頑張ってこれた」
「これは負けていられないかな」
「え?」
「なんでもない。それより、藤宮くん……二人きりだね」
いきなり俺をベッドに押し倒してくる先輩。その口元にはいつの間にか『0.01』が……って、まてまて、普通逆だろ――――――!!!
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