第4話
杉原夏来に告白されてから早三日。
僕の日常はそれほど変わっていない。
放課後の教室、告白されてからの流れを振り替える。
『・・・は??』
告白されて3秒おいたあとにやっと出た言葉はその一言だった。
それから杉原を見ると、真っ直ぐに僕を見つめている。
『だから、俺の好きな人は青柳なんだけど』
なんで?としか言えないし、なんでこんか社交的で明るくて、明らかにリアルが充実してそうなこの人に、そんな前代未聞の告白をされてしまったのだろう。
なによりも杉原は男だ。
『青柳が誰も好きにならないことは知ってる。
それに俺は男だし、見込みないってゆうのはわかってる。』
真っ直ぐに僕を見ていた瞳が揺れていた。
目は潤んでいた。
それから杉原は顔をそむけた。
僕は何故か体が動いた。杉原のそばに歩み寄る。
そして両手を頬に置いて、顔を上げさせた。
・・・・・なんでだろう。何故かその時体が動いたんだ。
杉原は目に涙をためて、さらに少し眉間にシワを寄せて信じられないとばかりに僕を見ていた。
『・・・・・そんなに目を大きくして驚かなくてもよくない?』
僕はそう言った。
杉原は僕の行動に本当に驚いていた。
僕自信も自分の行動に驚いた。
『付き合う?』
僕はその時特に何も考えずにそう言葉を発した。
びっくりしてこちらを見る杉原は今にも涙がこぼれるような顔をしていた。
僕は続ける。
『僕が君を好きにはなれないとわかっていてもいいのなら。』
僕は手を離した。杉原は首を縦に振った。
それから僕をみた。
『それでもいい。』
そして僕らは付き合うことになった。
特別に何かが変わったわけでもない。
生活は何も変わっていないし、僕は自分から連絡を取り合わない。
少しだけ杉原が話に教室に来るくらいだった。
変わったのは杉原のオーラで、杉原に恋人ができたとゆうのは瞬く間に学年中に広まった。
もちろん、相手が僕だなんて誰も気づいてはいない。
「青柳、ほらこれ」
「ありがとう。」
「うん。すっごい面白いから早く読んでみて!」
周りはなんか急に仲良くなり出したとは思っているらしいが、まさか付き合ってるとは思っていないだろう。
知っているのは俺の弟の月哉くらいだった。
付き合うってどうゆうことなんだろう。
僕は思わず考えてしまった。
これまで女と適当に付き合っていた。
その時、自分の生活を変えるつもりはなかったしその意図も伝えた。
なのにいつも文句を言われて別れる。
どうして二人の時間を作ってくれないのかと。
杉原は何も言わなかった。
文句なんて何一つ。
たまに嬉しそうに僕に本を渡して少しおしゃべりをする。
「じゃあ、またな」
いつも優しさに満ちている顔で僕を見る。
不思議な気持ちだった。
なんだろう。
こんな雰囲気の顔を僕は知っている。
懐かしさがこぼれる。
無くしていた何かがほんの少しずつだけど戻っていくような気がした。
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