第五章 導きの星
アデルは肩で息をしながら、必死の思いで駆けていた。否、正確に言えば逃げていたのだ。自分を追ってくる小さな影――踊るように跳ねながら、ときおり甲高い笑い声を上げる気狂いの道化から。
――もういいかぁい、まぁだだよ。
白い壁がずっと続く歩廊の中で、道化の哄笑が断続的にこだまする。ひき離したと思えばふいに間近から聞こえるその声が、いっそうアデルを怯えさせる。
ここが夢のなかだということはわかっていた。夢は醒めれば消えてしまう。しかし逆に言えば、醒めないかぎりこの悪夢は続くのだ。早く起きなきゃ、と願っているにもかかわらず、一向に目覚めの兆候はなく、自ら覚醒を促そうにも声が出ない。
白と黒の正方形が交互にくり返すタイル地が距離感を曖昧にし、いつからこうして逃げているのかすでに感覚があやふやだ。直線状の歩廊の先は行き止まり――、いや、扉になっていた。すぐ背後から道化の笑い声が響いてくる。焦りながらドアノブをつかみ、追い立てられるように押し開いた。
そこは向かい合わせに白と黒、たがいちがいに並ぶ扉が視界の彼方にまで延々と並ぶ回廊だった。
(サア、ドノ扉ガ正解?)
気狂い道化が訊ねる。
アデルは唾を飲み、一枚の扉にとびつく。震える手でドアノブを回し――、
バタン、と大きな音を立てて扉が開いた。とたん、強烈な風が噴きだし、アデルは反射的に顔をかばった。
痛いほどの向かい風に、アデルは恐る恐る目を開いた。目前に、ひとりの女性――おそらく老齢の、だろう。こちらから見えるのは背中だけだが、風に煽られている豊かな髪は雪のように白い。
フードとローブの裾を激しく逆巻く空気の渦にはためかせ、前方に右手を突き出したまま、微動だにしない。体のあちこちに傷を負っているらしく、ズタズタに裂けた布地には、濃い赤がじわりと滲んでいる。
彼女が何事かを叫ぶ。風の勢いにかき消されてなんといったのかはわからない。だがその瞬間、まばゆいばかりの光が老女を中心とし、爆発するように広がった。
周囲すべてを白く焦がす強烈な閃光に、アデルは反射的に両眼をかばった。手で覆っていてもなお、まぶたに突き刺さるようなそれに歯を食いしばる。まぶしいというよりは痛いような光に耐えながら、涙で潤む眼を必死に凝らした。何が起こったのか、どうしても知らねばならなかった。
老女が対峙しているその先に、光に目を灼かれ、苦悶の絶叫を上げる女がいた。豊かな金の髪を逆立て、体から白煙を噴出しながら、女は憎悪に美貌をゆがめる。よろめくように後ずさったその背後に、一枚の大きな姿見があった。金髪の女性は身をひるがえし、次の瞬間、鏡の中へ吸いこまれるように姿を消した。
アデルは目をみはる。――あれは。
老女ががくりと膝をつく。間をおかず鏡の表面が光を反射し、倍加した光量にアデルはたまらずまぶたを閉じた。
あれは、まさか。
(パトリ、
*
「アデル、アデルっ? どうしたんですかっ、しっかりして下さいっ!」
耳元で名前を呼ばわれ、アデルは目を開けた。至近距離に焦った様子の使い魔の顔があり、驚いてがばっと上半身を起こす。アデルの肩口に身を乗り出していたノアがはずみでおおきくのけぞった。
にゃああ、と猫らしい悲鳴を上げてベッドの端にひっくり返った小さな体を、アデルは慌てて腕を伸ばして受けとめた。
「あ、アデル~……」
ひどいじゃないですかぁ、と非難する使い魔に、アデルは謝った。
「ご、ごめんね。とても驚いて」
「びっくりしたのはこっちですよ。うんうんうなされて、何度呼んでも起きないから心配しました」
見回すと、そこはようやく慣れてきたと感じられるようになった自分の部屋だ。決して広くはない室内の様相――本棚や机などの輪郭が、カーテンの隙間からさしこむ月の光でぼんやりと浮かび上がって見える。
「わたし、うなされてた?」
「ええ。また何か妙な夢でも見たんですか?」
今は夜中だ。アデルは眠っていたのだ。危険なことなど何もないこの部屋で。
「ゆめ……」
とそれこそ夢うつつにつぶやいて、無意識に前髪をかき上げる。額がしめっていることに気づき、アデルは驚いた。眠っている間にひどく寝汗をかいたらしく、寝巻きの背中や首のまわりもじっとりとして気持ちが悪い。よほど恐ろしい夢でも見ていたのだろうか。
「怖い夢だったのかしら。よく覚えていないけれど」
少なくとも楽しい内容ではなかっただろうと推察できる。けれど、恐怖よりももっと別のものが強く脳裏に焼きついている気がする。まぶたの裏にちらつく色は、白と金。それから、――鏡?
「……だめだわ、思い出せない」
頭の中のもやもやしたものを形にできないもどかしさに、アデルは眉根を寄せて顔をしかめる。心配になったらしいノアがぽんぽんと膝をたたいて注意を促した。
「今は無理して考えなくても良いじゃないですか。本当に大切なことならいつか思い出しますよ、きっと」
「……うん」
「そんなことより寝巻きをかえないと。汗も拭いてください、体が冷えると風邪をひいてしまいます」
はやくはやく、と口うるさくもありがたいノアの忠告に生返事で答えながら、アデルはベッドから出た。
(大切なことなら、いつか思い出す……)
本当に、そうだろうか。漠然とした不安と焦燥が熾火のように胸にくすぶる。濡れた背中にぺたりとはりついた寝巻きがひんやりと冷え、アデルはかすかに体を震わせた。
*
「アーデール。アデルったら、もう。聞いてるの?」
ぶんぶんと手を振られ、はっと我に返った。目の前に、こちらを覗きこむようなカレッサの顔がある。アデルは慌ててうなずいた。
「え、あ、うん。もちろん聞いてるわよ」
「うそ。ぼうっとしていたくせに」
本当のところ、アデルはまったく話を聞いていなかったのだが、カレッサは呆れたように苦笑するだけだった。
「小さなお客さんが、このふたつの茶葉ならどっちがおすすめか知りたいんですって」
青と赤の缶を差し出しながら、カレッサが言う。カレッサの隣には十歳くらいの少女がいて、恥ずかしそうにはにかんでいた。
アデルは少女と視線を合わせるように少し身を屈め、赤い缶を指さした。
「ええと、こっちのジンジャーとレモングラスのお茶は、シナモンが入ってるから少し甘みがあります」
「青いほうは?」
「ミントとカモミール、ほかにオレガノなんかも。おなかにやさしいお茶ですよ」
アデルがすらすらと答えると、少女はわずかに逡巡したあと、青い缶の茶葉を選んだ。カレッサがこっそり聞きだしたところによると、体調の悪い母親への贈り物にするそうだ。
「ありがとう、おねえちゃんたち!」
うれしそうな顔で元気よく礼を言う少女に、アデルのこころもじんわりとあたたかくなる。役に立てたと思うと誇らしかった。
「どういたしまして。お買い上げ、ありがとうございました」
うきうきと弾んだ足どりで去って行く客を見送り、アデルはほうっと息をついた。
「よかった。ごめんね、助けてくれてありがとうカレッサ」
「どういたしまして」
助け船を出してくれた友人は、今日はたまたま午前からアデルの店をひやかし――もとい、遊びに来ていたのだ。
「ずいぶん眠そうね。どうしたの? 慣れない生活続きで疲れた?」
「ううん……」
アデルは曖昧に首をふった。トロイメンで生活をはじめてから、はや数日。慌ただしい時間は飛ぶように過ぎて、あまり疲れたという自覚もない。ただなんだか、ひどく眠いと思うことが何度かある。
「でも、寝覚めはあまりよくないかも」
欠伸がもれそうになり、アデルは口元を押さえた。眠気を払おうと大きく頭をふる。
「やっぱり環境が変わったせい?」
「わからないわ。眠れないというわけじゃなくて、むしろ寝つきはとてもいいの。だけどときどき、変な夢を見るみたい」
「変な夢?」
「うん。でも目が覚めたとたんに全部忘れてしまって、内容はよく覚えていないの。ただ……」
「ただ?」
アデルは答えに迷う。以前からこういう感覚が何度もあった。それを正直に打ち明けると、カレッサはふんふんと相槌をうちながらしばし耳をかたむけていたが、ふとおとがいに指を添えると、ことりと首をかしげた。
「ねえアデル、あなたってもしかして〈
「……トロイ、メリア?」
アデルは目を瞬かせる。
「〈星読〉――つまり、ステラレーゼは文字通り星を読む魔女でしょう? 〈夢見〉は夢を介在にして他人の精神のなかに入ったり、遠くはなれたところにまで意識だけを飛ばしたりできる魔女。〈夢渡り〉、トロイゲーエンと呼ぶこともあるけど」
「そういう魔女がいることは知っているけど……でも、わたしが?」
カレッサはうなずいた。
「魔女の言葉にもあるじゃない、『時の川も、夢の中では絶えず流れを変え、様変わりを見せる』って。夢はね、時間にすら左右されない独立したひとつの空間なのよ」
「う、うん」
「いい? 夢はね、現実なんかよりもよっぽど自由が利かない空間なの。すっごく怖いのに、悲鳴を上げようとしても声が出なかったことって、ない? あるいは、逃げようと必死にもがいても、手足が動かなかったりとか」
「……ある」
「夢を媒介にする魔法は、魔女の歴史の中でももっとも古くからあるの。夢に入ることで他人の意識と同調したり、心を読んだり、夢自体に手をくわえたり、もっと高度なものだと病気を治したり」
「夢なのに、病気の治療までできるの?」
「そうよ。限定された空間だからこそ、一方でとても強力だから。――もしも、もしもよ。夢の中で誰かに心臓を突き刺されて、ああ自分は死んでしまったのだと、こころの底から本気で思いこんでしまったらどうなると思う?」
ごくりとのどが鳴った。
「アデルの心臓は、そこで本当に鼓動をやめてしまうかもしれない」
「…………」
「夢というのは本来それほど怖い空間なの。そして、夢のなかでは〈夢見〉以上に強い魔女はいない。方法さえ身につければ、夢という空間ごと自由に操れるようになるかもしれない」
「そんな、まさか。母や叔母がそんな力を持っているなんて聞いたこともないのよ」
「もしかしたらアデルのご先祖さまに、〈夢見〉の力を持った魔女がいたのかもしれないわ」
魔女の力は血で継承される。遠い先祖にでもその力を持った魔女がいたなら、可能性は零ではない。アデルは急に自分が恐ろしくなった。
「で、でも……本当に、わたしにその〈夢見〉としての力があるの?」
「あくまで可能性の話よ。まだそうだと決まったわけじゃないわ」
カレッサはかぶりをふるが、アデルの顔色は青ざめたままだった。黙りこんでいると、カレッサはふしぎそうに肩をすくめた。
「前から疑問に思っていたのだけど、もしかしてアデルは魔女としての力が欲しくないの?」
「そ、そんなことない! 魔女の家系に生まれたのに、わたしはちっとも魔女らしいことができないんだもの。才能がなかったせいで母には疎まれるし、叔母さまにだって――」
「アデルのお母さんや叔母さんの話じゃなくて、私はあなたに訊いてるのよ」
ぴしゃりとカレッサが遮った。厳しい声音に、アデルは思わずびくりとなる。ごめん、とカレッサは肩をすくめた。
「怒ったわけじゃないの。ただ、私はあなたの本当の気持ちが知りたいだけ」
――本当の気持ち。
萎縮しかけたアデルだったが、その言葉が背中を押した。
「う、うまく言える自信がないのだけど」
「うん。うまく表現できなくてもいいから、言ってみて」
自分自身にもあるのかどうかわからない本音を、カレッサは知りたいと言ってくれている。そのことが素直にうれしいと思えた。
「たぶん、わたしは『怖い』の……だと、思う」
「怖い?」
「魔女の家に生まれたのに、本当の魔女になってしまうのが怖い。未知の……、自分に制御できるかどうかわからない力を持っていると思うことも、怖い。どんな力であっても、正しく使えるかどうかわからないんだもの。ごめんなさい、うまく言えないわ」
しどろもどろにもアデルが言葉をつむぐと、カレッサはうん、とちいさくうなずいた。
「アデルは、力を持つ怖さをちゃんと知ってるんだね」
「え?」
「自分じゃ気づいてないかもしれないけど、それってすごいことなのよ。少なくともアデルは、力におぼれて身を滅ぼすような魔女にはならないもの」
「そ、そう……なのかな」
アデルが首をかしげると、カレッサはにっこり笑った。
「そうよ。それに、ちゃーんと自分の言葉で説明できたじゃない。あなたに必要なのは、もっと自分に自信を持つことよ」
力強く断言して、カレッサは唐突にがしっとアデルの手首をつかんだ。
「ねえアデル、今日はこれから何か予定ある?」
「え、ううん。予定というか……いつものように日が暮れるまでお店を開けていようと思ってるけど」
「ねえ、じゃあ午後からお店はお休みにして、外に買い物にでも行かない? この町、まだ不慣れなんでしょ? あちこち案内してあげるわ、お店とか市場とか」
「それはうれしいけど……でも」
カレッサの申し出はありがたいが、本音を言うとあまり外出する気にはなれなかった。いつまた〈石の目の魔女〉があらわれるのではと思うと不安で、家から出るのが怖い。
「もしかして、私が前にした魔女の話を気にしている? 大丈夫よ、最近は誰かが襲われたという話も聞かないし。魔除けのお守りなら私も持ってるから」
「え、ええ」
アデルは口をつぐんだ。さすがに気まずくて、つい昨日〈石の目の魔女〉に襲われたばかりだと話すのはためらわれた。
「怖いからって、魔女が迫害されていた頃みたいにずっとこのまま永遠に家に閉じこもっているつもりなの? せっかく平和な時代に生まれたんだから、外に出てお日さまにあたって、新鮮な空気を吸わないと」
「う、うん」
カレッサの言うことはわかる。だが実は、パトリシア師が帰ってくればなんとかなるかもしれないという一縷の希望にすがっていたのだ。
(でも、師匠が明日にでも戻ってきてくれるなんて保証は、どこにもないのよね)
このまま何日も不在がつづくなら、たしかにずっと篭っているわけにはいかなかった。なおも渋るアデルに業を煮やしたのか、カレッサはこちらにずずいとつめよる。
「アデルはね、少しは遊ぶことを覚えないとだめよ。まだ若いんだから! そうでしょ?」
なんだかよくわからないが迫力のある台詞に、アデルは反射的にうなずいてしまう。するとカレッサはにっこり笑い、朗らかにこう宣言したのだった。
「よし、じゃあ決まりね。準備をしたら、さっそく出かけましょ!」
カレッサの提案通り、アデルは午後から店を閉め、秋めいた日差しの下に飛び出した。
いまだ冬の訪れを告げるにははやい、心地の良いひざしが石畳をぽかぽかとあたためている。アデルは目を細め、陽の光を手をひさしにしてさえぎった。久しぶりに日の下に出ると、太陽のまぶしさにくらくらする。なんだか冬眠から目覚めたばかりの虫になったような気分だ。
「もう、どうしてそんなに憂鬱そうな顔色なのよ」
不満げな顔で、そう指摘したのは隣を歩くカレッサだ。
「せっかく外に出たっていうのに。もっと明るい顔をしたら?」
「あ、ご、ごめんなさい」
アデルは慌てて謝った。思えば、いままで同じ年ごろの女の子といっしょに遊びにいく経験もなかったのだ。
(女の子同士って、いったい何を話せばいいんだろう?)
むしろもう、そこからわからない。ううん、と思い悩んでいるとカレッサが苦笑するように隣から覗きこんできた。
「もしかして、ノアが心配?」
使い魔のノアは、現在家で留守番中だ。
たまには別行動もいいのじゃない、と提案したのはカレッサだったが、ノアははじめ、かなり難色を示していた。ついて行くといってきかなかったのだが、それを「過保護すぎるのも主人のためにならないわよ」とカレッサに強引に押しきられ、最後は完全にへそをまげて机の上で丸くなっていた。
アデル自身、ノアは主人を案じすぎる傾向にあると思っていたので、今回ばかりは使い魔に不在のあいだ家を守るように申しつけてきたのだった。
「え、あ、ううん。そういうわけじゃなくて……」
「じゃあ、私と『お出かけ』するのは嫌だった?」
「そ、そんなことない!」
急いで首をふった。カレッサはアデルにとって、はじめて出来た同じ年代の魔女仲間だ。こうやって隣を歩きながら話しているだけでも、どきどきと緊張してしまうぐらいには浮かれている。
「じゃあ、楽しい?」
「楽しいし、誘ってもらえてすっごくうれしかった、わたしは。でも」
「でも?」
「カレッサにこそ、つまらなく思われるんじゃないかって、心配……してる」
しどろもどろに答えると、カレッサははああ、と海より深いため息をついた。
「まったく、この子はどうしてこう……、あーもう」
がばっと顔を上げ、カレッサはがっしりとアデルの手をつかんだ。
「わかった、こうなったら徹底的に再教育よ。私が必ず自信を持てるようにしてあげる。まずは〈万華鏡横丁〉から行くわよ!」
カレッサはそう高らかに宣言すると、勢いよく駆け出した。手を引かれているアデルも、その強引さにひっぱられるかたちで石畳の上を走り出す。
「えっ、あ、ちょっとカレッサ!? 待ってってば!」
まずはじめにやってきたのは、かわいい雑貨屋や靴屋、服屋が多く建ちならぶ、トロイメンでもそこそこのにぎわいをもつ通りだった。
「この〈万華鏡横丁〉は女の子に人気のある通りなの。アクセサリーや装飾品も売ってるから、若い娘がトロイメンを訪れるときはまずここね」
見まわしてみれば、たしかにアデルと同じ年ごろの少女たちがおしゃべりしながら横をとおりすぎてゆく。みな明るい色合いのスカートをひるがえし、髪を結い上げたりして華やかに着飾っている。
対して店の入り口のガラスにうつる自分の姿といえば、いかにも垢抜けておらず、野暮ったい感じがした。トロイメンの町の少女たちと自分は、ずいぶんと遠いへだたりがあるように思える。彼女らを日向に咲く花とすれば、自分は日陰でしおれた雑草のようだ。
「もう、また暗い顔をして! 言ったでしょ、私が自信を持てるようにしてあげるって!」
来なさい、とばかりにカレッサに腕を引かれ、アデルは若い女性用の服屋に放りこまれた。好きな生地を選んで、と言われ、アデルが地味なものを選ぼうとすると、即座に叱咤が飛ぶ。
「茶色なんてだめ! もっと鮮やかな色にしなさい。好きな色は?」
「え、えっと水色とか橙色とか……」
「若草色はどう?」
アデルがうなずくと、カレッサはすぐさま落ちついた若草色の普段着をアデルのために見立ててくれた。
「ほら、これなら派手すぎないし、アデルに似合うわ」
大きな姿見に映った自分を見て、アデルは気後れしそうになった。印象がぐっと華やかになって、自分の雰囲気とはまるで異なっている。ほんのささやかなレースの飾りさえ、自分には過分な装飾に思えた。
「これ、本当にわたしに?」
「似合ってるってば。というより、アデルはどうして暗い色の服ばっかり選ぶの?」
「あ、それは……むかし、母に『明るい色は似合わない』って、言われて」
アデルが答えると、カレッサは深々とため息をついた。
「これは、相当根が深いわ……」
「えっ?」
「いいの、こっちの話。その服はどう、気に入った? じゃあ、今度はこの水色ね。ハイ」
と、次から次へと服を手渡され、アデルは何度も着替えをする羽目になってしまった。
服だけでなく、次に入った装飾品屋では小さな髪飾りを。小物屋でこまかなビーズの縁取りがついた小箱や、彫刻の入った本立て(ブックスタンド)を。花かざりのある帽子も思いきって買ってみた。
はじめのほうこそ調子に乗らないよう財布の紐はきつくしめていたのだが、だんだんと買い物をすること自体を楽しいと思えるようになってきた。
(なんだか、ちがう人間になったみたい)
等身大の姿見の向こうに、華やかな色合いの服を着た、年頃の少女が佇んでいる。頬をかすかに赤らめ、少し恥ずかしそうにしているが、とても幸福のように見えた。少し前なら、自分の身を飾り立てることなど考えもしなかっただろう。こんなふうなささやかな喜びがあることを、はじめて知った。
「……そうか、こういうものって、外見的なことだけじゃないのね」
カレッサがそうそう、とうなずきながらアデルの胸元にフリーデの花をあしらった小さなブローチを飾る。とても清楚で愛らしい、とアデルは思った。
「かわいいものやうつくしいものを身につけるとね、女の子は強くなれるのよ。自分に自信を持つために、お化粧をしたり、着飾ったりするの。誰もがみんな、最初から自信を持っているわけじゃない」
「ほかのひとも、そうなの?」
カレッサはうなずいた。
「女の子はね、かわいくなることをがまんなんてしなくてもいいの。『かわいくなりたいと思うこと』や、少なくとも『かわいくなろうとすること』は誰でも望んでいいことよ。もしアデルが自分にはその資格がないと思っているのなら」
アデルは虚を突かれたような思いで、カレッサを見つめた。
「わたし、がまんしてる?」
カレッサは肩をすくめた。
「私にはそう見えるわ。アデル、あなたはいろんなことを最初から決めつけたり、がまんしすぎたりしているんじゃないかしら」
「わからない……」
そんなこと考えたこともなかった、とアデルは首をふった。
「いいのよ、これから学んでいけばいいんだもの。さてと、そろそろ小腹がすいてきたころよね。近くにおいしいお菓子屋さんがあるの、アデルもきっと気に入るわよ」
行きましょう、とごく自然に手をひかれる。
カレッサが太鼓判を押した菓子店には、思わず目移りしてしまうようなカラフルな飴玉、選ぶのが楽しくなるような形のクッキーなどが、ガラスケースのなかに所狭しと並べられていた。
「どうしよう、どれも美味しそう」
あれこれ眺めて迷っていると、カレッサにチョコレートを口の中にほうりこまれた。とろけそうなほど甘いクリームが中に入った、少しほろ苦いビター味のチョコだ。
ほっぺが落ちそう、と素直に感想が漏れて、アデルは文字通り頬をおさえた。子どものような仕草にカレッサが笑う。
「ねえ。アデルは、家ではあんまり甘いものを食べさせてもらえなかったんじゃない?」
「う、うん。そうだけど、どうしてわかったの?」
「なんとなくそんな気がしただけ。たぶん、いろいろなものを欲しいと言えなかったんだろうな、って」
ぺろりとくちびるを舐め、カレッサは苦笑した。彼女が口にしていたのは、ふんわり優しく舌の上で溶けるというマシュマロだ。
「うんとむかしね、アデルみたいな子がいたの。ずっと色んなことをがまんして、がまんさせられて、誰に対しても甘えることができなくなってしまった子」
「……それは、カレッサの友だち?」
訊ねると、カレッサは一瞬だけさびしげな顔になり、首をふった。何かを悔やんでいるようでもあり、痛みをこらえているような表情にも思える。
「カレッサ……?」
何か言わなければ、とアデルが口を開いたのと同時に、たまたま気づいたらしい菓子屋の主人がおおきな声で話しかけてきた。
「お嬢ちゃんたち、そんな景気の悪い顔をしなさんな。おれのつくった甘いもん食ったやつは、六十過ぎの偏屈ジジイだってにっこにこ顔になるんだぜ。ほれ、こっちの食ってみな。笑いが止まらなくなるからよ」
「あ、ありがとうございます」
彼のすすめにしたがって、メレンゲを固めて花の形にした菓子を口にする。アデルの口元が自然とほころんだのを見て、主人は「それ見たことか」と豪快に笑い、つられたようにカレッサも微笑んだ。
「アデルは甘いものを食べているときがいちばん素直でかわいいわね。落ちこんでるときもかわいいけど」
「カレッサったら、もう。か、からかわないで」
照れくさくなって顔を隠そうとすると、くすくすと笑われる。
「別にからかってないわよ。照れない照れない」
「もう!」
店のガラス窓には、面はゆい表情をしたひとりの少女が映っていた。その少女はほほを赤く染め、怒っているようでありながら、その実とても楽しそうに笑っていた。陰鬱な影など何もない、本当にただのふつうの――年相応の女の子だった。
*
そろって店を出たとき、太陽の位置はすでに西の方角におおきくかたむいていた。
遠くから夕刻を告げる庁舎の鐘の音が、風に乗ってここまで運ばれてくる。石畳の歩道にならんだ町ゆくひとびとの影が、ゆるやかな速度でのびてゆく。
「アデルはほかに買い物したいもの、ないの?」
「買い物……あ、そうだ。鏡を忘れてた」
「鏡?」
「うん。小さな手鏡は持ってるんだけど、師匠の家には姿見がなくて」
「そうなの? じゃあ最後に鏡屋さんに……ああでも、大きなものが必要なのよね。割れ物だしけっこうな荷物になるかしら」
「あ、そうね」
「鏡を見に行くのは今度にしましょう。買い物なんていつでも行けるんだし。私ももちろんつき合うから」
「うん、ありがとう。カレッサ」
また今度、いっしょに買い物へ行けるのだと思うと、アデルは嬉しくなった。甘えることを許されているのだと素直に感じられて、なんだかくすぐったい。
いままで、同年代の少女とこんなふうに気兼ねなく接したことなどなかった。悩みを打ち明けるのも、いっしょに買い物へ行くのも、服を選んでもらうのも生まれてはじめてだ。抱えていた不安や憂鬱な気分が、いつの間にかきれいに吹き飛んでいる。
足どりがふわふわとして、背中に羽でも生えているかのように身が軽い。そしてそんな内面の変化に、アデル自身がいちばん驚いていた。
「……カレッサって、すごい」
「ん、なにが?」
並んで帰路を歩きながら、しみじみとつぶやくと、カレッサがふしぎそうに訊きかえしてきた。
「だってわたし、同い年くらいの女の子と接したことなんてなかったから、ずっと苦手だと思ってたの。ただでさえわたしはひとに好かれるような人間じゃないし……、相手があなたじゃなかったら、きっとこんなふうには思えなかった」
しかし隣を歩くカレッサは呆れたように苦笑し、肩をすくめた。
「何度も言うけど、アデルは自信がなさすぎるのよ。私には、あなたがどうして自分の枠を狭くつくってしまうのかわからないわ。落ちこむことなんてないし、堂々と胸をはっていればいいのよ」
「…………」
堂々と胸をはる。そんなことさえ、普段のアデルにはむずかしい。自信というものがどこからわいてくるのかも、まだわからないままなのだ。
「ほかの何者でもない、アデルはアデルでしょ。あなたはたったひとりしかいないのよ。他人と比べて卑下したりする必要なんてないし、無意味だわ。誰かと誰かのあいだに優劣なんてね、本当はひとつもないの」
早足でアデルを抜きさると、カレッサは数歩進んでこちらをふり返る。赤毛がふわりと風に揺れ、正面に立って彼女は続けた。
「長所や短所はどんな人間にもあるし、その数をいちいち数えて比較したところでなんの意味がある? 才能のあるなしなんて誰が決めるの。そんなもの、見る人によって変わるわよ。外見の美醜も同じ、結局は主観でしかないんだから」
行く手を遮られる形になったので、アデルも自然と足を止める。
髪の色と同じくらい赤い夕日に照らされたカレッサが、真剣な表情で訊ねてきた。 逆光になった彼女の翠の目が、真っすぐにこちらと対峙する。
「アデルは、自分は魔女の家に生まれたからどうだとか、『魔女のくせに』と思うことはある?」
「……ほんの少しだけ、そう思ったことはある」
「じゃあ、魔法を扱える者はそうでない者より偉いと思う? それとも逆に、劣っていると思う?」
アデルは即座に首を横にふった。「ううん」
トロイメンの町が少しずつ暮色に染まっていく。通りすぎていくひとびとや家並みの影が、緩やかに時間が過ぎていくことを教えてくれる。
「力があるかどうかじゃない。魔女だからどうだということでもない。血や家のしばりが不要なものだとは私にも言えない。――だけど、私はね、あなただから友達になりたいと思ったのよ」
カレッサはにっこりと笑い、再び前を向いて歩き出した。
アデルは呆然とその背中を見つめながら、大きく息をすいこんだ。気がつけば頬を、一筋の涙が伝って落ちていた。哀しみのためではなく、うつくしいものを見てこころを打たれたときに自然とこぼれるような、そんな涙だった。
あなただから友達になりたい。
大げさかもしれないが、その言葉だけでも、誇りにして生きていけるとアデルは思った。
(……ありがとう、カレッサ)
ぽろぽろと涙が次から次へとあふれて止まらなくなる。胸があたたかくて、いっぱいで、感謝の気持ちがとても言葉にならない。だがきっと、口にせずとも伝わっただろう。数歩前を行く彼女はこちらをふり返り、目を細めてアデルを見守っているから。
――ああ、そうか。
(わたしは『これ』が、欲しかったんだ)
はじめてわかった。ありのままの自分を認めてくれる人がいること。それだけで、こころの奥底から強い力がわいてくる。
自信なんて、いったいどうやって持てばいいのかわからなかった。信じるほどの何かが、自分にあるとは思えなかったからだ。だが、そうではない。そうではなかった。
(もう、だいじょうぶ)
アデルはぐいっと目元を強くぬぐうと、小走りでカレッサに追いついた。背筋を伸ばし、胸をはって隣に並ぶ。今なら俯かずに歩けると思った。
そうして見上げた空には、小さな白い一番星が瞬いていた。
*
夕食を多めに作ったから、とブルーノが家を訪ねてきたのはその日の夜のことだった。彼が「おすそわけ」に持ってきた野菜スープの深皿を受けとったアデルは、お礼にハーブ茶をご馳走することにした。ブルーノもこころよく応じ、即席の夜の茶会が開かれる。
「当夜祭、ですか?」
あたためた湯をポットに注ぎ、アデルは砂時計をひっくり返した。きっかり三分。
それを確認しながら訊ねると、ブルーノは好々爺の表情でうなずいた。
「そう、明日の夜は新月だろう? 魔女にとって、新月や満月の夜は特別なのじゃないかね」
「ええ、はい。そうなんです。魔法の力が強くなったり、特殊な条件で可能な儀式があったりするので」
「トロイメンでは秋の新月の夜に魔女のお祭りがあるんだ。ちょうど一か月前、アデル嬢ちゃんがこの町に来た頃か、前夜祭ならぬ前月祭があったんだが……」
ああ、とアデルは思い出した。そういえばこの町に着いたとき、祭りの喧騒に巻きこまれてもみくちゃにされたことがあったのだった。
(そうか、あの日も新月だったんだ)
ぼんやりと考える。思えばあれからもうひと月も経ったのか。時間の歩みが早いような遅いような、よくわからない気持ちになる。
「明日がその本番でな。トロイメンの中心におおきな庁舎があるだろう? 明日の晩、あの広場が即席のサーカスになるんだよ」
言いながらブルーノはアデルが用意したお手製のハーブ入りクッキーに手をのばし、うまい、と舌鼓をうった。
「演奏の楽団も来るし、火を吹く大道芸人や手品師、猛獣を扱う獣使いやブランコ乗りもいる。人形劇や、からくり仕掛けで動く回転木馬なんかもある」
「すてきですね! 見てみたいです」
「ぜひ見に行くといい。お友達も誘ってな」
はい、とアデルはうなずいた。友達と聞いて、いちばんにカレッサの顔が浮かぶ。今日の買い物のお礼に、今度はこちらから誘ってみようと決めた。
カレッサと魔女のお祭りに行く。考えるだけでわくわくしてきた。
「友達は本当にいいものさ。アデル嬢ちゃんも、はじめて会ったときよりもはるかに明るくなった。見違えるようだよ」
「本当ですか?」
ああ、と孫を見守る祖父のように目元をやわらげ、彼は微笑む。自分が変われたのだとしたら、それはやはりカレッサのおかげだ。そのことがとても誇らしく、うれしかった。
「ところで、今日は白猫のお嬢ちゃんの姿を見かけんようだが」
「ええ」
うなずき、アデルはわずかに顔を曇らせた。主人がどこに行こうとつねにつき従っていた過保護なノアは、完全に拗ねてしまったようで、今日は出かけてから一度も姿を見せない。アデル自身もそろそろ使い魔ばなれしなければいけないと思っていたところだが、やはさみしくもある。
(わたしも、主人としてふさわしいようにならなきゃ)
茶葉を蒸すあいだ、ブルーノとしばし天気や町の噂話など、当り障りのない世間話に花を咲かせる。聞き上手な老職人と話すのは、やはり楽しい時間だった。
「どうぞ」
アデルが手ずから淹れた茶を渡すと、ブルーノはありがとうと相好を崩す。自分のカップにも茶を注ぎ入れ、店のカウンター越しにブルーノと向かい合う。
「うん、このハーブティーもうまい。どれどれ……ウスベニアオイとレモングラスかの? ほかにも何種類かブレンドしてあるようだが」
「ええ。わたしの一番お気に入りの配合なんです」
「嬢ちゃんのお手製かね。すばらしい、さすがはパトリの弟子だ」
褒め言葉に、アデルは少し目を瞠った。
「師匠もお茶を?」
ブルーノはうなずいた。よく考えてみれば、家にこれほど大量のハーブがあり、道具もそろっているということは、師匠も自分で茶を淹れるぐらいはしただろう。だがなぜか、それがひどく意外なことのように思えたのだ。
「わしがひどく気落ちしてこの家を訪ねたときに、あたたかい茶を淹れてもてなしてくれたよ。いまでもよく覚えておる。ほっとするようなやさしい味だった」
懐かしむように目を細め、ブルーノはぽつりとつぶやいた。その表情に、隣人というだけではない親しみを感じ、アデルは気になっていたことを口にした。
「お尋ねしてもかまいませんか」
「うむ、なんだね?」
「ブルーノは、パトリ師匠とはずっと親しくされているんですか?」
アデルの問いに、ブルーノは今まで見せたことのないような顔をした。古傷に触られたようにぎゅっと眉間にしわを寄せる。アデルは慌てて言い添えた。
「あの、ぶしつけことをお聞きしてごめんなさい。言いたくないことなら別にいいんです」
苦笑としか言いようのない顔で「いいや」とブルーノは首をふった。
「かまわんよ。むかしのことを思い出しただけなんだ」
ふっと息をつき、彼は遠くを見るように瞳を細めた。
「若いころのわしは、職人気質でたいそう石頭な男だった。まあ、いまもそんなに変わったとは言えんのだがね。目に見えるものだけが真実で、正しいのだと思いこんでいた。逆に目に見えない……魔法やそれを扱う魔女を信じられんと思い、頭からその存在を否定しておったんだ」
はじめて聞くブルーノの言葉に、アデルは驚く。意外だった。この町に越してきて初めて顔を合わせたときから、彼がパトリシア師やその弟子となるアデルに対し、偏見を持っているようには見えなかったからだ。
「パトリに出逢ってはじめて、わしはようやく魔女という存在を受け入れられるようになった。それまではむしろ、毛嫌いしていた――いや、信じようとしていなかった、んだな」
苦い表情で、ブルーノはカップを傾ける。
「信じようと?」
「ああ。わしが若いころに死に別れた妻が魔女だったんだ。だが、いまとなればわかるが、妻は魔女としては大した存在ではなかった。パトリのように偉大な魔女とは――それこそ比べるべくもない。だがわしは、魔女の存在を知りながら同時に恐れてもいた。いま思えば、理解できないことがただ単純に恐ろしかったのだろう」
アデルは黙って相槌を打ち、話を聞いている。
「妻は早逝し、子をひとり残した。だが、わしは……。わしは大切なものをもう一度うしなうことになった。悔やんだときには、すでに遅かった。おのれの愚かさに、わしは深く絶望したよ。そんなときに現れ、諭し、支えてくれたのが嬢ちゃんの師匠なんだ」
「パトリ師匠が……」
ブルーノはうなずいた。
「わしにとっては救い主のようなものだ、パトリはな」
幾本もの皺を目尻の下につくり、やわらかく微笑む彼は急に何年も歳をとったかのように見える。
不用意な質問で深く傷つけてしまったことを悔やみ、アデルは「ごめんなさい」ともう一度謝罪した。ブルーノは否定のしるしに首をふる。
「嬢ちゃんが何を謝ることがある。いいんだ、わしはあんたに聞いてほしかったから話したんだ。言いたくないことならわざわざ口に出したりはせんよ。頼むから、そう落ちこんだ顔をしないでおくれ」
職人らしいごつごつとした節だらけの手がアデルの頭を撫でる。やや乱暴だが、父親が娘にするような、やさしさに満ちた慰めだった。父を知らないアデルは、その不器用な慰めにかすかにうなずく。
「はい」
「過ぎた話さ。すでに起きてしまったことはどうあっても変えられん。わしにできることは、過去を悔やむことじゃない。これからさき、おなじ間違いをくり返さんようにすることさ。もう二度と、後悔することのないようにな」
そう言って、ブルーノはほほ笑んだ。笑っているのに、どこか泣いているように見える、そんなふしぎな微笑だった。
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