第83話 身バレ!?

「また助けられちゃったね ありがとうタルルちゃん」

「問題ないですよナユタさん」

俺達のやり取りを聞き男が大声で叫ぶ

「も、もしかして!!リアルの

ナユたんとタルル!?」

俺はすぐに周囲を確認する、商店街裏で他に誰も居なくて良かった 

「ば、バレちゃった!? ど、どうしよう引っ越さなきゃダメ!?」

テンパるナユタさん

「落ち着いて下さい、自滅してますよナユタさん、確かに私達はVtuberの中の人です この事はご内密に、お願いします!」

俺は頭を下げる

「な、内緒にします! 実はタルルの放送で作ってたクッキーを作ってみたくてホットケーキミックスを買いに来たんです!」

急に早口で話し出し買い物袋を見せてくる男

「わー、嬉しいです! これからも応援よろしくお願いします!」

「嬉しいねタルルちゃん! それに内緒にしてくれるみたいだし安心だよ…」

ナユタさんがこっちに微笑みかけてくる

「あ、あの あ、握手だけお願い出来ませんか!?」

男が大声で言う

「わ、わかりましたからお静かに! 私は大丈夫ですけどナユタさんはどうですか?」

「あ、握手くらいなら大丈夫!」

ということで急に握手会が始まる

先にナユタさんと握手をする男

無言で握手をする男とナユタさんを眺める俺

「ありがとうございました! これからも応援します!」

男がナユタさんにお礼を言う

「ありがとうございます あとハンカチもありがとうございました!」

ナユタさんもお礼を言い2人でお辞儀をしあっている

「次は私ですね、どうぞ」

俺はナユタさんと同じ右手を差し出す

「あ、左手でお願い出来ませんか? タルルとは利き手で握手したいので」

ナユタさんよりタルルの方を推しているのか?

「あ、了解です」

俺は左手を差し出しす

男は強く俺の左手を握り涙を流しながら言う

「タルルのお陰でこうして家を出る事が出来ました、本当にありがとう 復帰してくれてありがとう」

タルルの存在がこの人を変えたのか?

そう言ってもらえると嬉しいな

色々言いたい事があるけど一言だけにしよう、俺は一言だけ言うことにした

「これからも応援お願いします」

その一言だけ言った

あまりファンのリアルに踏み込むのはやめておこう

「はい!全力で応援します!」

力強く頷く男

「適度でお願いします、クッキー作り頑張って下さいね」

俺はクッキー作りを応援した

「はい!頑張ります! この事は誰にも言わず墓場まで持っていきます!」

そう言って男は俺の左手を離した

「ありがとうございます」

俺は頭を下げる

「では!失礼します!」

男は走って商店街の方に消えて行った

危ない危ない、バレたのがあの人で良かったよ…

外での名前呼びは気を付けたほうがいいな

そう思う出来事だった

その後、俺とナユタさんはスーパーに行き買い物を済ませて家に戻るのだった

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