第82話 勘違い

ナユタさんを連れて商店街の裏道の自動販売機の横に隠れる

ここまでついてきたらストーカーって事なんだろうな

「タルルちゃん… ついてきてる?」

自動販売機の陰から男が付いてきてないかを確認していると横のナユタさんが聞いてくる

「しー、静かに 足音が近づいてきています 自動販売機の後ろに隠れましょう!」

こちらに近づいてくる足音が聞こえてきたのでナユタさんに伝えて自動販売機の後ろに2人で隠れる

「やっぱり…」

さっきの男がキョロキョロと周りを確認している

「ちょっと確認してきます!ナユタさんはここで待ってて下さい!」

「ちょ!? タルルちゃん!?」

俺はナユタさんをその場に残して自動販売機の後ろから飛び出して男の正面に立つ

「お兄さん、少し聞きたいことがあるんですけど」

「き、君はあの子と一緒に居た…

あ、あの子は?」

周囲をキョロキョロする男

「居ませんよ、彼女から聞きました 彼女のストーカーなんですか?」

「ち、ちが こ、これを渡したいだけなんだ!」

男がポケットからビニール袋に入った布を見せてくる

「ハンカチ?」

「そうなんだ!彼女が落とした物を拾って返そうとしていただけなんだ!」

「だったらそう言えばいいのに」

「こ、こんな僕が話しかけたら通報されるかもって怖くて…」

自分に自信が無く相手は美少女、そりゃ怖くなるよな…

「私は彼女の友達なので間に入るんで返しましょうよ」

「い、いいのかい?」

「彼女、貴方がストーカーだと思って本気で怖がってたので安心させてあげて下さい」

「や、やっぱり… 申し訳ない…」

「謝罪は本人に言ってあげて下さい 少しここで待っていて下さい」

俺は自動販売機に近づいてナユタさんを呼ぶ

「ナユタさん、勘違いでしたよ 出てきて下さい」

「タルルちゃん!助けて!」

声をかけるとナユタさんが助けを求めてくる

俺は自動販売機の後ろのナユタさんの元へ駆け寄る

「う、動けなくなっちゃって…」

ナユタさんが自動販売機と壁の間で身動きができなかなっていた

「なんでそうなったんですか!?」

「む、胸がつっかえて動けないの…」

どうしてこんなことに…

ナユタさんの巨乳がこんな事態を引き起こすなんて…

「ひ、引っ張ります!」

「ご迷惑をお掛けします(泣)」

引っ張ることでナユタさんを救出することができた

「助けてくれてありがとう… それで勘違いって?」

俺は詳細を話して男の元にナユタさんを連れて行く

「す、ストーカーと勘違いさせてごめんなさい、このハンカチを渡したかっただけなんだ」

「あ、ありがとうございます お気に入りだったのに無くなって落ち込んでいたので嬉しいです」

誤解が解けて良かった良かった

「渡せて良かった あ、あの君のおかげで返せたよ ありがとう」

俺にお礼を言ってくる

「いえいえ、誤解が解けて良かったですよ」

これでひと安心だな

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