第53話 スランプ
マナさん達とデートしてからの毎日の配信は酷いものだった
罪悪感からか全てがうまくいかない
ゲーム配信をすればプレイが酷くなってしまいグダグダしてしまい
雑談配信をすれば心ここに在らずになってしまい雑談できず、歌枠をすると歌っている最中に歌詞を忘れてしまいリスナーに励まされる
これがスランプなんだと実感する
そして人間スランプ状態に陥るとマイナスのことばかり考えてしまう
ふと思いつきネットにてタルルと検索すると
タルル ボイチャ疑惑
そういうのが掲示板に書き込まれているのを発見してしまった
ついにバレ始めている
怖い、せっかく手に入れた居場所が無くなりかけている
その時に思った
こんなに悩んだり怖い思いをするんだったら、もうやめてしまおう
俺のマイナス思考が最悪の選択を選んでしまった
俺はそのことを雫姉に言った
最初は驚いて俺を止めようとしていたけど俺の意志を尊重すると雫姉は言ってくれた
薫子さんにも連絡をして会って直接伝えた
「そう… 私は止めないわ そのことを他のみんなにはなんて言う?」
「色々と考えたいので無期限活動停止ってことにして欲しいです」
「分かったわ、戻ってくる可能性はあるのね?」
「今は何も言えません、少しの間でしたがありがとうございました」
「私達Vライバーは君をいつまでも待っているわ」
最後に薫子さんがそう言ってくれた
そして俺はTwitterにてリスナー達に向けて無期限活動停止すると報告をしてスマホのチャットアプリを消して他の人との繋がりを切った
俺の元通りの生活が始まる
大学に通い家で料理をする
ただそれだけの生活、今までと変わったことがあるとすればVtuberの配信を見なくなったことだろう
俺はVtuberから逃げたのだ、スランプはちょうどいい言い訳にすぎなかった
男だとバレることなんて最初から分かっていたはずなのに、それが怖くなり全てから逃げてしまった
それからの生活で近くの人がタルルについて語っているのが聞こえてくる度に、俺はすぐに耳を塞ぐ
俺の近くてその名前を出さないでくれ
少し前まであんなに毎日が楽しかったのに今では毎日が辛い
俺はこれからどうすればいいんだろうか、罪悪感という沼にハマり俺は全く動けなくなってしまった
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