第52話 ホイッスル

カフェにてデザートを食べ終え今回はナユタさんがお会計を払ってくれた

店員さんにまた来ると約束をして店を出た

「ナユタさん、ご馳走様でした!」

「これはタルルちゃんへのお礼だから気にしないで!あのままだったら私何されてたか分からなかったし…」

あの時のことを思い出したのか、ナユタさんが自分の体を抱きしめる

そういえばあれを渡しとくか

「ナユタさん、よかったらこれ」

俺はこの前買っておいたものをナユタさんに渡す

「これって、ホイッスル? 可愛い形してる」

「はい、ナユタさんって可愛いから

トラブルに遭いやすいみたいだし、心配なのでそれ吹けば周りに気づいて貰えるかなって」

「タルルちゃんが私のために選んでくれたの?」

目を大きく開き固まるナユタさん

「はい、そのデザインならナユタさんの私服にも合うかなって、外出中でも身につけてはどうですか?」

「あ、ありがとう/// 一生大切にするね!」

ナユタさんがホイッスルを首にかける

「ど、どうかな?」

「よく似合ってますよ」

「似合ってるよ! いいな、ナユたんだけ」

「えへへ」

「むー」

頬を掻いて照れるナユタさん

喜んでもらえたようでよかったな

一方、マナさんは頬を膨らませて拗ねてしまう

「あの、マナさんさえよかったらこれ…」

もう一つ買っておいたホイッスルを

マナさんに渡す

「冗談だったのに私にも!?」

「マナさんは大人っぽいので不要かと思ったんですがやっぱり防犯の為ですので一応買ってみました」

少し照れながら説明する

「もう、タルルちゃん可愛すぎ!」

マナさんに抱きつかれる

「!?」

パニックになる俺

「ありがとうね、タルルちゃん」

ぎゅっと抱きしめられていて動けない

「マナ!私も入る!」

ナユタさんも加わり2人に抱きつかれる俺

「タルルちゃん大好き!ギュー」

「ナユタさん、痛いです!」

「ふふ、本当の仲良し3人組になれて嬉しいわ」

マナさんが言う

2人はまだ知らない、俺が男だということを

俺は2人をこれからも騙し続けていかなければいけない

この時、罪悪感が芽生え始めてしまった

この後、ホイッスルを身につけて嬉しそうな2人と街をぶらぶらしてデートは終了した

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