第51話 雫姉の教え

席に座り注文を済ませて2人と雑談をしていると注文した品が届いた

ナユタさんは特大パフェ、マナさんはブラックコーヒーとシフォンケーキのセット、そして俺はアイスの乗ったパンケーキと紅茶が届いた

「「「いただきます!」」」

挨拶をして食べ始める

俺はマイクを隠すため顎マスクの状態で食べているため話すことはできない

パンケーキを切り少しのアイスを乗せて口に入れる

美味しい!

自然と顔が緩んでしまう

ナユタさんとマナさんがこっちを見て微笑む

「凄く美味しそうに食べるねタルルちゃん」

「美味しい?」

コクコクと頷く

「そうなんだ、今度頼んでみようかな」

そのセリフは雫姉からよく習ったセリフだった

雫姉いわく、そのセリフが出た時は相手にひと口あげた方がいいよとのこと

その教えを思い出した俺はパンケーキを切り少しのアイスを乗せてスプーンでナユタさんの前に差し出す

「タルルちゃん!?ひと口くれるの?しかもあーんで!?」

俺は頷く

「わ、私は何をみせられているの…」

自分のことのように照れながらこちらを見ているマナさん

「あ、あーん」

顔を赤くしながら口を開けるナユタさんの口の中にパンケーキを丁寧に入れる

「は、恥ずかしすぎて味が分からなかったよ///」

3人にでいて、1人にしないってのは不公平だよな

そう思い次はマナさんの前に差し出す

「た、タルルちゃん もしかして私にも? そ、その私は恥ずかしいから遠慮しようかなって」

俺はパンケーキをマナさんにグイグイ近づけていく

「タルルちゃん強引… わ、わかったから少し待って! すぅー、はぁー」

深呼吸を繰り返すマナさん

「マナ、深呼吸しすぎだよ タルルちゃんが疲れちゃうから早くしてあげて」

「よし!こい! あ、あーん」

それはあーん前にいれる気合いではない気がするけど、俺はマナさんの口にパンケーキを入れる

「なるほどね、ナユたんの言っている意味が分かったわ、恥ずかしすぎて味なんて分からないわ…」

無事に雫姉からの教えを完了して安心した俺を待ち構えていたのは…

「はいタルルちゃん、お返しだよ!

あーんして!」

「さあさあ、私を辱めた分照れてもらわないとね!こっちもあーんしてね」

2人からのあーんだった

周りに助けを求める

店員のお姉さんと目が合った

すると両手でハートを作るお姉さん

くっ、腹をくくってあーんするのだった

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