第36話 先輩達への挨拶とクッキー

Vライバーに所属することになり、最初にしなければいけないことは先輩達への挨拶だ

挨拶は最初が肝心とよく言うし大切にしたい

しかしタルルの中の人は男なので実際に会うことはできないから悩んでいる

手紙とお菓子でも贈るのが1番楽かな

俺の書く文字は小さく可愛らしい、女の子の文字だと雫姉にいつも言われていた

まさか、それが今役に立つなんて

1枚1枚手書きで書く

内容は挨拶と自己紹介、仲良くしてください!と書き込んでおく

所属人数分を書き封筒に入れる

次は渡すお菓子作りだ

お手軽に作れるクッキーを作るか

味はチョコとミルクにしよう

クッキー作りに必要な型は以前に雫姉から作ってと頼まれたことがあり持っている

クッキーの生地を作っていると雫姉が台所に来た

「瑠夏〜、何作ってるの?」

「クッキー、Vライバーに持っていこうと思って」

「やるじゃん!型はハートがいいよ

女の子はハートの形が好きだから」

「そうなんだね、じゃあハートの形にするよ」

生地ができたので型抜きをする

後はオーブンで焼くだけだ

オーブンに入れて焼きあがるのを待つ

焼き色がつき良い匂いがしてくる

チーンと音が鳴りオーブンが止まる

「よし、いい感じ これをあと3回繰り返して袋をラッピングして完成!」

オーブンからクッキーを取り出し呟くと横に立っていた雫姉が跳ねながら言う

「瑠夏、味見してあげる!」

「はいはい、ほらあーん」

「あーん、美味しい!流石瑠夏!」

雫姉が美味しいというなら間違いはないな

クッキーを作り終えラッピングをする

可愛らしい袋に数枚のクッキーを入れてピンク色のリボンで口を締めて完成

大きな紙袋に手紙とクッキーを入れる

「後はこれをVライバーに届けるだけだな」

問題はどうやって届けるかだ

雫姉がVライバーのビルに行くか聞いてみるか

俺は雫姉の部屋へ向かう

トントンとノックをする

「どうぞ」

雫姉の許可を得て部屋に入る

「雫姉、今日Vライバーに行かない?これを届けてほしいんだけど…」

紙袋を見せながら言う

「報酬は?」

「はい、特製の特大クッキー2枚」

最後に余った生地で作った大きなクッキーを手渡す

「任せて!用事ないけど届けてくるわ! 手紙1枚とクッキー1袋を渡せばいいのね?」

「うん、よろしく」

この行為が他のメンバーから大好評で

Vライバー内で人気者になってしまうなんてこの時の俺は考えもしていなかった

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