第1話
飛ばされて目を開けると俺の周りに多数の人々が立っていた 俺の事を見る目はキラキラしており、まるで野球少年がプロ野球選手を見るような目だ。
数秒時間が空き大歓声が上がる。
「救世主さまだ」「予言は本当だったんだ」「リアギシ教バンザーイ」「ゾルン様ありがとうございます」「これで救われる」
なんだこれは皆が俺に歓声を挙げ,中には泣いている人もおり、それを見ながら困惑していると人々を掻き分けから長老みたいな老人が俺の近くにより話しかけてきた。
「あなたは救世主様さまで間違いないですか 」
俺が救世主と呼ばれているということは、この人達はあの神のじいさんの信徒ということか、いきなり救世主って言われても困るが、否定してもいいことは無さそうだし、ここは肯定しとこう。
「一応 救世主だと思います」
と返事をするといつまにか静寂になっていた人々から驚嘆の声が聞こえる。
「やはり貴方様は救世主様なのですね 私はこの村の長老です。案内させていただきますのでどうぞこちらへ」
俺は長老がゆっくり歩きだしたの着いていく、 歩きながら周囲の建物や道具を見ると文明レベルはうちの世界でいうところの中世ぐらいの感じがする
しかし俺が救世主と呼ばれているということはあのじいさんの信者なのかと考えていると大きな建物に案内された。
「どうぞ こちらです」
老人に促されながら中に入るとそこにはベットやテーブル、椅子などが用意されていた。
「今日は夜遅いので、詳しいことは明日また説明させていただきます お世話の者をつけさせますので本日は
ゆっくりお休みください」
その言葉と同時に白を基調とした西洋の巫女風の服装した少女が、部屋に入ってきた。
「フィティナと言います なんでもお申し付けください」
「えーと あのー よろしくお願いします!」
突然現れたせいか動揺してしまう
「あの..救世主さまのお名前は?」
「あっ 千里秀 」
「素敵なお名前ですね 救世主さま!」
「ありがとう でもその救世主さま呼びは恥ずかしいから名前で呼んで欲しいな」
「えっ いいのでしょうか ではヒズル様と」
「呼び捨てでいいよ」
「それはいけません 巫女として様から呼び出された救世主の名前を呼び捨てなど...」
そういえばなんで俺が救世主なんて呼ばれているのか聞かなければ、あの神様から飛ばされたことをすでに知っているのか聞かなければ。
「あのさ ずっと気になっていたんだけど俺はなんで救世主と呼ばれてるんだ?」
「それは私が神のお言葉を聞き、本日の夜に救世主さまがこの村に召喚されると信託を受けたからです」
えっ まさかこの子あの神と話せるのか
「じゃあ今 あのじいさん...じゃなかったゾルン様と話せるのか」
もしそうならあの時全然説明なかったので、この世界や俺が持っている能力についてなどを聞きたいところだが 。
「いえ ゾルン様からはこちらから信託を受けとるのみです 。 お言葉は突然聞こえてくるもので生まれてから3度しか受けたことがありません」
3度しかって神様からの言葉を聞くだけですごいと思うのだが、謙遜するな俺ことを聞いたのが3回目だとすると後の2回が気になるが、少し落ち込んでるし謝っておこう。
「そうか 変なことを聞いて済まなかった 」
俺が軽く頭を下げるフィティナは大きく動揺していた。
「そっ そんな謝ることはありません これは私の巫女として能力が未熟なだけです..」
「いやいやそんなことないよ 神の言葉を聞けるだけで凄いって俺生まれてからそんな能力持った人見たことないよ 誇れる能力だよ 」
「そうですか ありがとうございます。でもヒズル様のお力に比べたら私なんて全然ですよ 」
待て待て今聞き捨てならない言葉が聞こえたぞ
「えっ 今なんと?」
「ヒズル様凄いお力を持っているんですよね 信託によればこの世界の全ての邪教徒が平伏し、リアギシ教が再び全ての人々に崇拝され、それは様によってなされると」
顔を紅く染め上げながら、それが全て事実になると言わんばかりに興奮している。
まずい これは不味いぞ そんな力が無いとバレたらどんな目に合うか分からないと考えていると興奮は落ち着いたのか は再び喋り始めた。
「では明日村の人々の前で力を披露して頂きますので今日はごゆっくりお休み下さい」
なにそれ 聞いてないんだが... 能力を得られるとあの神は言っていたが、それは信仰を集めることで得られるものであって 信仰集められてない今の俺は無能力者の筈だ その俺が能力披露なんてできる訳が無い...今日中にこの村から抜け出さなければ。
「ヒズルさま、青い顔をして大丈夫ですか? 今日は私が付きっきりでお傍に居させて貰いますので安心して下さい」
これはダメだ もう知らない。
「あっ ありがとう じゃあ俺は寝させてもらうよ 付きっきりなんて安心だな あはは」
その言葉聞いて、フィティナは笑顔になっている。
俺はその笑顔が死刑申告に見えてきた。そして俺はすぐに用意されたベットに入ると、明日の事を思っても仕方ないので考えるのをやめた
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