第1章 プロローグ
第1話 朝起きたら美少女に!?
俺は杉田浩二、21才。俺の住んでいる都内のマンションは、14階建ての最上階の2DKで、家賃17万円の部屋でそこそこいい暮らしをしている。
その理由は、東京のとある場所で特殊な仕事をしているからだ。
まぁ、スパイみたいなことをしているが、法で裁き切れない社会の『闇』を粛正する組織に勤務していると言ったところか。
俺は、組織が開発した身体能力を瞬間的に高める薬品摂取により、超人的な能力を得ている。
このチートみたいな能力で、武器を持っている相手でも負ける気はしない。
この薬品でここまで成功したのは俺だけだから、組織にも期待されている。
まぁ、そんな感じで俺は、普通では味わえない仕事も遊びも充実して、順風満帆な人生を送っていた。
そして、そんなある日……。
いつものように、東の窓から朝日を浴びながら目を覚ました。
人間は太陽の光を浴びると、自然に起きれるようになっているらしい。
だから、俺は目覚ましが無くとも、自然に目覚めて快適に起きる事が出来る……。
の、はずなんだが……。
今日は何か変だ。
しかも、なんでこんなに目覚めが悪いんだ? 身体も軽いし……軽い?
それに俺のベッドこんなに大きかったかー?
目覚めも悪いし、まだ寝ぼけているだけかもしれない。とりあえず、顔を洗いに行こう。
俺はいつものようにベッドを降りて、洗面台に行こうとした。すると!
「あっ! いってー!!」
俺はベッドから降りようと足を置いたら、いつもとベッドの高さが違う感じがして、思わず転んでしまった。
何だ!? どうなっている!? なんか服もぶかぶかだ。それに床に金髪みたいなこれは何だ!?
俺の髪の毛か!?
何か尋常でない事が、俺の身に起こっているんじゃないのか!?
俺は鏡で自分の姿を確認する為、洗面台まで向かった。
う~ん、何かおかしい……いつもと同じ部屋なのに……なんだこの違和感は?
視線が低い……のか?
服がダボダボで歩きずらい……。
胸の辺りが膨らんでる気がする……。
とりあえず、顔を洗って目を覚まそう。
今チラッと鏡に女の子が見えた気がするが……。
おいおい朝から幽霊かな……ははは……。
俺の手こんなに小さかったかな……。
しかも肌がプリンプリンだ……。
もう自分の身体が、別人になっていたことに気付いていたのだが、確認するのが怖かった。
俺は洗面台の鏡の前まで行くと、鏡を見ずに下を向きながら深く深呼吸をした。
確認するのは怖いが、ここは覚悟を決めるしかない。
「ふーーーーう」
よし! 驚く準備は出来た! 確認するぞ!!
俺はゆっくり鏡の方を見上げた。
「俺、かわええぇぇぇーーー!!!!」
何が「俺かわえぇ」だよ! 思わず言ってしまったけど、どういう事だよ! おい! やばいな! ど、どう理解したらいいんだろう!
と、とりあず落ち着こう!
本当に今のは俺なのか? 知らない女の子がいたって感じだ。
もう一回見てみようかな。
「あ! ど、どうも初めまして……」
そこに映るのは、驚いた表情した美少女だ。鏡を見れば普通、いつもの自分の姿が映るのが当たり前過ぎるから、そこに美少女が映ると別人にしか見えない。
あれが俺!? いやいやいや、そんなはずは……ない。俺の身長は185の男だぞ。なのに少女?
俺は鏡の前で色んなポーズをとり、鏡に映る女の子とポーズが一致することで、ようやく自分であることを認識した。
なんで俺は女の子になっているんだ!?
しかも、かなりの美少女だ!
身長は……140……ぐらい?
髪型は、何も止めてないのに、綺麗な黄金色の『ツインテール』になってる。
顔は西洋人の童顔だ。お人形さんみたいだ。しかも胸もそこそこある。
肌は白く、もの凄く艶があって、赤ちゃんみたいだ。触り心地も最高だ。
俺の女性の好みは、年上で金髪のナイスバディーなお姉さんだが、この美少女も幼女体型ながらもなかなかだと思う。
もう少し詳しく調べる必要があるな。調べると言っても服を脱いで、色々と確認するだけだ。
って、色々ってなんだよ?
……30分経過。
色々と確認にしていたら、結構時間を費やしてしまった。
ただ一つ分かった事がある。それは、この身体は間違いなく女の子だ。
しかも、計算されたかのような美しいボディーラインで、すべすべ肌。さらに、髪をいくら触ってもすぐにツインテールに戻る。
うーん、何かそういう設定にしたような、なんか趣好みたいなものを感じる。
これは冷静になって、なぜこのような状況に陥ったのか、マジで考えた方がいいだろう。
まぁ、考えるまでもなく、何かあったとしたら昨日の出来事になるだろう。
何せ、昨日は異世界人やら魔法やらで、ファンタジック事件が起きたからな。美少女になってしまったのもこのせいだと思う。
昨日は特に任務も無く職場にいた。職場と言っても、表向きは研究所に偽装している。
確か、日本の食料自給率を上げる為、農作物を工場で大量生産する研究だったはず。その建物の地下に俺が所属する組織が活動している。
ちなみにこの組織の名前は『組織』と呼んで、名前が無いらしい。
俺はこの組織で主に情報を集める為に潜入調査したり、証人の護衛だったり、また、少々手荒な事もあったりする。
そして、それらの情報を元に、犯罪組織の内部分裂を誘発させて、弱体化させるという感じだ。
一人の人間の悪事なら普通に裁けても、大きな組織となればそう簡単にはいかない。さらに周りが恐れをなして忖度でもすれば、悪が強くなり正義は負けてしまう。
そういう社会の『闇』と戦うのが俺の働く『組織』というわけだ。
話は戻るが、この組織に昨日大胆にも侵入した男がいた。この時の俺はまだ知らなかったが、この男はなんと!
異世界から来た魔法使いだったのだ!!
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